鈴鹿8耐3連覇のヤマハの祝勝会に行ってみた
8耐3連覇という偉業
多くの人は鈴鹿8時間耐久レースというイベントをご存知だと思う。
炎天下を8時間に渡ってレースをする、世界一過酷な耐久レースのひとつだ。他の24時間耐久レースなどとは違い、走行速度がスプリントに近いため、『8時間のスプリント』と言われる、マシンにもライダーにももっとも厳しいレースだ。
その過酷なレースに、ヤマハ・ファクトリー・レーシングチームは3年に渡って勝ち続けている。鈴鹿といえば、ホンダグループの所有するサーキット。そのホンダのお膝元の真夏の祭典で、ヤマハが勝ち続けているのだから、これは尋常ではない。
まず、使われているマシンは、公道を走れるヤマハYZR-R1M。
このバイクが、フルモデルチェンジしたのが3年前。完全なニューモデルで、直4なのに脈動感のある1000ccのクロスプレーンエンジンを搭載。市販二輪車では初となった3次元的な車両の動きを感知する6軸制御センサーを搭載し、エンジン出力から、サスペンション特性までをすべて高度に電子制御する意欲的な製品だった。ちなみに税込市販価格で300万円以上する高価なバイクだ。
このYZR-R1Mの性能をアピールするためのチャレンジが、ファクトリー体制での8耐チャレンジだった。
実際に、1年目から他を寄せ付けない安定した高速性能他を圧倒していた。今年もレース開始1時間ぐらいは様子を見るように2位を走っていたが、1時間目の最初のライダー交代あたりからトップを確保すると、粛々と走り続け優勝を獲得する。
ホンダはFCCテクニカルスポーツホンダ、ハルクプロ、カワサキはチームグリーン、スズキはヨシムラのマシンが、ヤマハ・ファクトリーを負ったら、転倒なども含め、どのチームもヤマハの安定した速さを脅かすことはできなかった。
いまや1000ccのエンジンはこんなに小さい。高度な電子かがYZF R1Mの特徴だ。
メーターは当然液晶。サスペンションなども非常に高度なものが使われていることが見て取れる。
市販車のようにも見えるフロント周りだが、ブレンボのキャリパーや鋳鉄ディスクなど高度な性能を持つもの。ちなみに、アクスル周りは素早いタイヤ交換のために特殊な構造となっている。
そして、耐久レースならではのガソリンのクイックチャージのためのフューエルリッド。これは市販車と大きく姿を異にするところだ。
1年目には「1度勝ったぐらいで祝勝会を開けるか!」と言われたそうだが、3連覇という偉業の達成に、ようやく祝勝会を開催することになったそうだ。ちなみに過去にはチーム・キャビン・ホンダが3連覇をしたことはあるが、その時はライダーはほぼ年ごとに違った。チームだけでなく、ライダーにとっても3連覇だったのは今回が初めてだ。ライダーの中須賀は3年とも走っている。
祝勝会では、チーム監督である吉川和多留がライダー中須賀をはじめとしたチームスタッフをねぎらった。また、スポンサーやパーツなどのサプライヤーが集まり、3連覇の偉業を祝った。
木村副社長も「勝ち逃げは許されんわな」ということで、この席で来年のチャレンジが発表された。4連覇、5連覇をめざして、全力で戦っていくとのことだ。
(村上タクタ)]]>