80年代を代表する名車の衝撃のスタイリング
ケルン・ショーでの衝撃のデビューで世界を驚かせたKATANA。しかし、時代はその後レーサーレプリカ全盛へと動き、レーシングマシン然とするデザインが主流となっていた。そしてKATANAやNinjaのような、レーサーとは趣を異にするバイクの王者としてのフォルムが次第に影を潜めることとなった。しかしだ。KATANAは1987年に一度は生産を終了したものの、1990年に根強い人気に応えるカタチでスズキ70周年アニバーサリーモデルとして復活、そこから何と2000年に至るまで継続生産されるという紛れもない伝説の存在となったのである。まさにオンリーワンのマシンとなったのである。
[caption id="attachment_491010" align="alignnone" width="1200"] 1990年 スズキの創立70 周年アニバーサリーモデルとして再販されたモデル。Fフォークの作動性の向上やブレーキパッドの材質変更などを行いながら、’81 年型を忠実に復刻。タンクに70年記念ステッカーが配された[/caption]
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2000年 スズキの創立80 周年を記念して、1100 台限定で発売されたファイナルエディション。ブラック塗装されたアッパーブラケットにはシリアルナンバーを刻んだプレートが付く。エンジンスペックに変更はなく、フロントに対向4ポットキャリパーとφ300 ㎜ディスクが奢られた[/caption]
感性で捉えるバイク
スポーツバイクは確かにパフォーマンスを楽しむのが一般的にプライオリティとして位置づけられるが、ファン心理はそれだけというほど単純なものではない。何よりKATANAの成功と、時代を超えた人気の高さがそれを立証してみせている。もちろん、それはノスタルジックを求める復刻調を意味しているのではない。KATANAはあのままで存在し続けることがファンには大事なのであって、この延長線上に進化したモデルを望んでいないのは明白だ。求められているのは、KATANAのデビュー時に与えた衝撃のような、バイクを新たな感覚で捉えることができる感性なのではないだろうか。
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大柄なライダーが多いドイツに合わせたGSX1100Sカタナシリーズの車体はボリュームがある。また、乗り味もアウトバーンを超高速でクルージングするときの高速直進性と安定性が優先されていた。コーナリングでは癖を感じるが、コツを覚えれば、それが操る醍醐味へと変わる[/caption]
デザインで世界を変えた
考えてみれば、KATANAはTSCCエンジンこそ搭載していたが、それまでの価値観を引っくり返すような画期的なテクノロジーが反映されたバイクではなかった。人々の心を揺さぶったのは、この他に比べるものがないオリジナリティ溢れるフォルムだ。そうしたスズキのチャレンジにファンは拍手しバイクを好きであったシアワセも噛み締めていた。
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1982年 輸出仕様の1100の1年後に、国内仕様のGSX750Sが発売開始。当時の運輸省の認定を受けるために“耕運機ハンドル” 仕様でデリバリーされた[/caption]
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1984年の3 代目は、スポーツバイク初のリトラクタブルヘッドライトや角パイプフレーム、さらにリヤがモノサスになるなど大きく進化。車重も10㎏軽量に[/caption]
SUZUKIが持つ独自性
スズキはKATANA以降も、レーサーレプリカで油冷エンジンという、ファンを泣かせる美しいエンジンで酔わせたり、隼(HAYABUSA)のような、これも他に類をみないフラッグシップを世に送り出してきている。スズキには、他社では躊躇しがちな思いきった独自性に割り切れる、同社ならではの気概があるのだ。
ビッグバイクでは、個性やこだわりという面で外国勢にリードを許しがちな昨今、日本のメーカーの中にあってマイノリティの側で戦略を練ってきたスズキやカワサキを、依然として多くのファンが支持している現状からもそれは間違いのない事実といえるだろう。将来、どんなカタチの、独自の個性を魅力としたバイクが我々の前に登場して新たな伝説を構築してくれるのか? 既に35年を過ぎているにもかかわらず依然として新鮮な感動を与え続けているKATANAを見るにつけ、その思いを強くせずにはいられない。
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1991 年にはシリーズ末弟となるGSX250Sカタナが発売された[/caption]
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1992 年にはGSX400Sカタナを発売。1100や750とは、車体サイズが異なるため、全面新設計されたボディはバランスよくスケールダウンされ、排気量こそ小さなものの、カタナと呼ぶにふさわしい仕上がりだった。低中速での扱いやすさを重視した水冷4 気筒エンジンが搭載され、デザインと共に多くのファンを獲得した[/caption]
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