2019年モデルとして導入されたFTR1200/Sの上級版として翌年に追加されたのが炭素繊維素材をまとうFTRカーボン
“本物”の香りを全身に漂わせたこのフラットトラックスタイルを元MotoGPライダーの中野真矢さんが敢えてサーキットで斬る!
INDIAN FTR Carbon 迫力あるルックスと低中速域のトルクや鼓動に酔う
インディアンのFTR1200シリーズが市販車として登場したのは、2019年のことだった。1901年に設立された米国最古のモーターサイクルメーカーで、1923年からインディアンを名乗る同社だが、1950年代以降は所有権の移転と再興、事業停止が繰り返され、激動の半世紀以上を過ごした。しかし2011年、ATVやスノーモビルやマリン系などのブランドを数多く有する米国企業のポラリス社が買収したことで、状況が一変。新機種の開発や導入を精力的に続ける。
そして新体制となったインディアンは、モータースポーツ参戦にも積極的だ。全米フラットトラック選手権にも2017年にワークス体制で電撃復帰して、その最高峰クラスでいきなりチャンピオンに輝いた。FTR1200シリーズは、そこで使われたワークスマシンのFTR750が持つ遺伝子を受け継ぐモデルとして開発されている。
といっても、レーサーレプリカというわけではない。レーサーの750が鋼管パイプ製のダブルクレードルフレームに水冷53度Vツインを搭載するのに対して、市販車の1200は水冷60度Vツインと鋼管パイプのトラスフレーム。雰囲気は似ているが、あくまでもレーサーをモチーフとしたストリートモデルだ。
このFTR1200シリーズに、2020年型で追加されたのがFTRカーボンだ。上級装備を持つFTR1200Sをベースに、燃料タンクカバーをはじめとする各部の外装をカーボンファイバー製とし、ブラックサイレンサーのアクラポビッチ製エキゾーストシステムを備える。
初めてこのマシンと対峙した元モトGPライダーの中野真矢さんは、
「本当はレーシングスーツではなくて、もっとカジュアルなウエアで楽しむバイクですよね」と笑いながらサーキットにコースイン。しばしFTRカーボンの走りを堪能した。
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FTR1200シリーズは、フラットトラックレーサーから受け継がれた圧倒的な存在感と明確な個性がスタイリングとしての大きな魅力。FTRカーボンはそこに、カーボンファイバー製の外装類と黒いツインサイレンサーでさらなる高級感をプラスしている[/caption]
「トルクを楽しむバイク。ギアをどんどん上げていって、エンジンの鼓動を味わうのが気持ちいいです」
それが試乗を終えた中野さんが最初に語ったインプレッションだった。
「低中回転域がおもしろくて、やはり最初の印象どおり、ツナギにフルフェイスではなく、ファッショナブルあるいはカジュアルに公道で乗るのが向いているモデル。約170㎝の僕の身長だと、シート高やペダル位置がやや体格に合わない感じもあるのですが、でもこのスタイリングはとにかくカッコいいですから、嫌いじゃないですねえ」
ライディングポジションに関してはある程度はカスタムの余地もある。中野さんも、「ノーマルでも迫力や所有感はかなりあり、これをカスタムすれば存在感もさらに増すはず」と興味を向ける。


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FTR1200Sをベースに、燃料タンクカバーやヘッドライトナセル、フロントフェンダーやシングルシートカバーを、光の反射で浮き上がる模様の美しさを特徴とする綾織りのカーボンファイバー製としたのがFTRカーボン。燃料タンクカバー上部のプレートには、さりげなく「CARBON」の文字が刻まれている[/caption]
一方でサーキットの走行性能については、「限界は低いけど楽しさは十分にある」と中野さん。「タイヤのグリップが高くないので、膝を擦るくらいまで寝かせるのは大変ですが、本来はそういうバイクではないですしね。トラコンとABSはカットできるのですが、トルクがあるバイクなので基本的にはオンのままが安心」とのことだ。
ちなみに2020年モデルまでのFTR1200 / S /カーボンが履くタイヤは、このシリーズ専用にダンロップが開発したDT3-R。フラットトラックレース用タイヤのDT3をベースとしていて、サイズはフロント19インチ、リア18インチとなる。2022年型では前後17インチ化を控えているが、大径ホイールにDT3-Rを履く姿こそがFTRの原型。中野さんが「大迫力」と絶賛する容姿は、このホイール径とタイヤによるところも大きい。
「ちなみに、エンジンは低中速の鼓動が気持ちいいだけでなく、すごくフラットな特性で、トラコンをカットしても、リアがスライドし始めたときもコントロールしやすかったです。そういう部分にも、スライド走行が基本のフラットトラックレーサーとの繋がりが感じられました」
容姿と走りにアメリカンモータースポーツのDNAを宿す公道用モデル。それがFTRカーボンなのだ。
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スイングアームおよびリアフェンダー&ナンバーステーも鋼管で組まれている[/caption]
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ワイドなステップはラバーレス。一見滑りそうだが、「ホールド性などが気になるようなことはない」と中野さん[/caption]
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リアのモノショックは車体右側にオフセット配置されたリンクレスのザックス製。FTRカーボンはフルアジャスタブルだ[/caption]

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ワイドなテーパーハンドルバーを採用。そのクランプ部にメーターをマウントする[/caption]
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倒立のフロントフォークはフルアジャスタブルで、フロントブレーキキャリパーにはブレンボ製のM4.32モノブロックキャリパーを使う[/caption]
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ワイドなテーパーハンドルバーを採用。そのクランプ部にメーターをマウントする[/caption]

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直感的に操作できる4.3インチLEDタッチスクリーンメーターを搭載。ライディングモードはスポーツ/スタンダード/レイン。トラクションコントロールとABSを一括してカットできる「トラック」モード機能もある[/caption]
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指先でもハンドル左側のスイッチでも各種の設定ができる[/caption]
2022モデルは17インチ化! アクセサリーキャンペーンも実施中
すでに発表されている22 年の新ラインナップは、前後ホイールを17インチ化。鍛造アルミ製の軽量ホイールに、メッツラー製スポルテック・ストリートを装着し、より軽快でスポーティな走りが期待できる。日本への導入時期は未定だが、楽しみなモデルであることは間違いない。
また現在、現行FRTカーボンを成約すると、RSD製のエンジンカバーやハンドルガードなどのドレスアップパーツ5点がセットになった「スタイルパッケージ」が、現行FTR1200ラリーを成約すると、ラゲッジラックなどの旅装備5点がセットになった「ツアーパッケージ」が提供されるキャンペーンを実施中! 期間は6月30日までなので、今すぐ正規ディーラーへGO!
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2022 FTR R Carbon[/caption]

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