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バイクは、アートだ DESIGNED by SHINICHIRO ARAKAWA 

バイクは、アートだ DESIGNED by SHINICHIRO ARAKAWA 金属の表面に直線的な「キズ」をつけることで、美しさを強調するヘアライン加工。 それを塗装で再現する巧みなデザインと、ペイント技術を用い、シンイチロウアラカワとYFデザインのコラボレーションが実現!F4をキャンバスに、カラーリングデザインの新たな可能性を見せた!

MV AGUSTA F4
第2世代となる2010年式F4は、初期型同様の星型ホイールが特徴のひとつだ。このホイールとフレームは前オーナーがペイントしたもので、今回の施工ではあえてそれらを生かした


イタリアンスポーツといえばロッソ(赤)のイメージがある。MVアグスタも、往年からいまに至るまで、やはり鮮烈な赤がメインカラーだ。
赤はイタリア国旗の三色のひとつでもあるから、なおのことイメージカラーとして定着している。だからこそイタリアンスポーツマシンには、あえて赤とは異なるカラーリングが映える。アズーロ(青)はその代表格だろう。
それでいて、イタリア空軍バッジの背景色でもあるし、サッカー代表チームのカラーでもある。あるいはやはりイタリアが得意とするファッションに目を向けてみても、かの地の人々は男性用スーツなどでブルーを巧みにデザインし、着こなしている。
「淡いブルーをしっかりと美しく表現できるかは、できあがってみるまで、実は自信がなかった」
オーナーの依頼でF4のカスタムカラーリングのデザインを手がけた荒川眞一郎さんはそう話す。ペイント施工を手がけたYFデザイン代表の深澤裕司さんも異口同音に語る。
オーナーの依頼から完成まで半年以上を要したそうだが、塗料の選定と納品までにかかった時間が長かったという。ヘアラインが透けて見えるクリアで淡い青は、光の当たり方でその表情を一変させるだけあって、調色が非常にむずかしいのだ。
オーナーである村上さんは、ある化粧品のスプレー缶を持ち込んで荒川さんにイメージを伝えたそうだ。それはヘアラインを生かしたアルミにクリアのブルーを塗ったもので、このF4よりは濃い青だ。
村上さんはさらに一枚のイラストを提示してイメージを伝えたのだが、それはパステル調の薄い青だ。
「F4にこの青を選んだオーナーさんの発想もいいですし、それをまとめた荒川さんのデザインセンスもさすがのすばらしさですね」
深澤さんがそう話す裏では、荒川さんが「深澤さんはいつも想像以上の色使いで仕上げてくれます。もちろん信頼しているからこそずっと依頼しているのですが、今回も絶妙な色に仕上げてくれました」と語る。
車両を引き取りに来たオーナーの村上さんも「実車を見たのははじめてですが、写真で見るよりも青の色合いがきれいで、仕上がりには大満足です。
これからもツーリングやサーキット走行で走らせて楽しみます」と喜びをあらわにしていた

ブルーは数種が使われており、ツヤ有りとマットを巧みに使い分けている。フェアリング先端からテールカウルまではマットな淡いブルーが走り、流麗なラインを作り出している
巧みな技術を有するYFデザインだからこそできるヘアラインペイント。間近で見てもこれがペイントであることを見分けるのが困難なほど完成度が高い。当初は青部分のみにヘアラインを施す予定だったそうだが、フェアリング全体に施したことでシャープな印象がより際立った
タンク上面の中央は濃い青でアクセントをつけたほか、マットブルーの子持ちラインが見事なグラデーションを描いている。また、タンクのMVアグスタのロゴのうち、金色部分のみクリアでペイントしてヘアラインを透けさせている
シート表皮はアルカンターラを用い、フェアリングの青と見事に調和するカラーリングとしている。施工を手がけたのはノグチシートだ

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