40年前、四輪のF1を引退してから二輪のマン島TTで優勝した男がいる『マイク・ザ・バイク』
9度の世界チャンピオンに輝いた伝説のライダー マイク・ヘイルウッド(Stanley Michael Bailey Hailwood)という伝説的なレーシングライダーがいる。1940年にイギリスで生まれた彼は若くして天才ライダーと称され、1961年以降にロードレース世界選手権で9度の世界チャンピオンに輝き、『マイク・ザ・バイク』というニックネームで呼ばれた。
二輪レースから引退して10年後に現れて、マン島TTで優勝
そのキャリアの中心になったのは日本のホンダとイタリアのMVアグスタで、ホンダで5つ、MVアグスタで4つの世界タイトルを獲得している。
1962年には当時の最年少記録で500ccクラスの王者となり、また3つのクラスでタイトルを獲得した史上初のライダーでもあるマイク・ヘイルウッドは、2000年にMotoGP殿堂入りを果たしている。
そんなマイク・ヘイルウッドとイタリアのバイクメーカーであるドゥカティには、浅からぬ因縁がある。マイクはホンダが1967年をもって世界グランプリから撤退したことから4輪のフォーミュラカーレースに転向したのだが、1974年の事故で負傷しF1を引退。
その後1978年に2輪のマン島TTで2輪レースに復帰した。 じつはその際に選んだバイクがドゥカティ・900SSで、当時38歳だったマイクは並み居る若手現役ライダーを尻目に、コースレコードを樹立して優勝を遂げたのだった。
それを記念して作られたMike Hailwood Replicaが大ヒット作となったのはご存じの通り。日本でも販売されていたので、「憧れのバイクだった」と言う人は多いのではないだろうか? そして今年、2018年はこの劇的な優勝から40周年となる。
これを記念し、ボローニャのドゥカティ本社に隣接するミュージアムで、若き日のマイクが駆った3台のレーシングマシンが展示される。“The Desmo Twins of young Hailwood”……日本車が台頭してくる以前の、3台の美しいデスモツインだ。
若きヘイルウッドの乗った3台のマシンが展示される
125、250、350ccの3台は1958年から1960年にかけてファビオ・タリオーニが手がけたスペシャルなレーシングマシン。ドゥカティムゼオ(博物館)では2016年のリニューアル後で初となる期間展示(5月22日~9月15日)となる。
ロマーニャ生まれのエンジニア、ファビオ・タリオーニが手がけた125ccのレーシングマシンは、1959年の世界グランプリ第7戦、アルスターGPでマイク・ヘイルウッドに世界選手権における最初の勝利をもたらした。複雑なエンジン機構ゆえにトラブルも多く、タイトル獲得には至らなかったが、その美しい姿は60年近くが経った今でも色褪せない。
125デスモツインのエンジンおよびフレーム(1958)
350デスモツイン。手仕事の匂いは現代のバイクにはない雰囲気(1960)
1960年、250デスモツインを駆るマイク・ヘイルウッド。エンジニアたちも誇らしげ ムゼオ(博物館)訪問に関する詳細は以下。
http://www.ducati.com/ducati_museum/index.do 工場ツアーとムゼオの予約をし、その日に合わせて諸々の日程を組むとよさそうだ。ボローニャには直行便がないので要注意。 (RIDERS CLUB編集部)