【Historic Bikes/~KAWASAKI・Z400~】~クラスレスな上質さを持つ秀作~【R/C インプレッション】
※この記事は過去に掲載された記事を再編集した内容です。
シンプルに「バイクって気持ちいいな」と思える 2019年2月に発売が始まったカワサキのスポーツネイキッドがZ400だ。ニンジャ400をベースに持ち、セパレートハンドルをアップライトなバーハンドルに変更。デザインコンセプトに「Sugomi(凄み)」を掲げる通り、シャープなフロントマスクが与えられている。
ただし、そのアグレッシブな雰囲気とは裏腹に乗り味は極めて優しい。クラッチをつないで走り出した瞬間からしっくりと体に馴染み、その時に得られる手の内感はまるで長年の愛車のようでもある。 演出の一環として、ハンドリングの軽さやエンジンのレスポンスが盛られているバイクが少なからずある中、Z400は実に誠実だ。
スロットルを開ければ開けた分だけ加速し、減速する時も同様。エンジンの過渡特性にも車体がバンクしていく時の振る舞いにも不自然さやあいまいさがなく、受け答えが常に明瞭だ。いつでもどこでも対等なコミュニケーションが成立する、実に心地いい存在である。
こういうバイクは往々にしてスペックがまったく気にならない。馬力がどれほどあっても(またはなくても)、車重が何kgでも、どんな制御が入っていても大した問題ではない。シンプルに「バイクって気持ちいいな」と思えるからだ。
そうは言っても、快適さの一端に触れておいた方がいいだろう。なによりまずスリムでシート高が低いため、乗り手の体格を選ばない。シート表皮とステップのグリップが適切で身体をホールドしやすく、車体を自在に操ることができる。
エンジンは特別トルクフルなタイプではないものの、燃調はよく作り込まれている。例えば6速に入れて40㎞/hで走行しているような状況からでも、スロットル操作だけでスルスル加速するフレキシビリティを披露。当然ながら兄弟モデルの250cc版とは決定的に異なる。 中でもクラスレスな上質さを見せるのは、ミッションのタッチの良さだ。テスト車は降ろしたての新車にもかかわらず、吸い込まれるようにギヤが切り換わり、その時のストローク量や操作力も絶妙なものだった。
唯一気になったのは、ツマ先でステップに入力した時に右のカカトがマフラーガードに触れることだが、当然目くじらを立てるほどでもない。 キャリアを問わず、誰にでもおすすめできる秀作モデルである。
KAWASAKI(カワサキ)Z400 ディテール
フロントフォークには大型モデルと遜色ないφ41mmの正立タイプを装備。ホイールはエンケイ製でハブ部分は極限まで肉抜きされ、美しい仕上がりを持つ
Specifications:KAWASAKI(カワサキ)Z400
エンジン | 水冷4ストローク並列2気筒 |
バルブ形式 | DOHC4バルブ |
総排気量 | 398cc |
ボア×ストローク | 70mm×51.8mm |
圧縮比 | 11.5対1 |
最高出力 | 48ps/10000rpm |
最大トルク | 3.9kg-m/8000rpm |
変速機 | 6段リターン |
クラッチ | 湿式多板 |
フレーム | スチールパイプトレリス |
重量 | 166kg |
キャスター/トレール | 24.5°/92mm |
サスペンション | F=テレスコピックφ41mm正立 |
R=リンク式モノショック | |
ブレーキ | F=φ310mmシングルディスク |
R=φ220mmシングルディスク | |
タイヤサイズ | F=110/70R17 |
R=150/60R17 | |
全長/全幅/全高 | 1990/800/1055mm |
軸間距離 | 1370mm |
シート高 | 785mm |
燃料タンク容量 | 14L |
価格 | 66万7440円 |