現代バイク用語の初心者講座【逆回転クランクシャフト】
何かと専門用語が多いバイクの世界。自分でも使うけど、実はよく知らない……なんていう言葉も多いはず。「今さら」なんて言わずに、Let’s Study!
車体が暴れない!? エンジンの最新トレンド
スポーツバイクの世界で、急激に増加しつつあるのが逆回転
クランクを採用するモデル。では逆回転クランクとは何か? BMWのフラットツインや、モトグッツィの縦置きVツインなど、クランクシャフトが進行方向と平行方向に配置されたものを除き、多くのエンジンはクランクシャフトが進行方向と直交する方向に置かれている。この横置きクランクでは、クランクシャフトの回転方向は、車体前方に向かって回転するのが一般的。逆回転クランクは、それを反対にしたものだ。
大パワーかつピックアップの良いエンジンでは、スロットルを急開すると容易にウイリー状態になる。この現象には、パワーが急激に立ち上がっただけでなく、クランクシャフトの回転による反作用も働いている。クランクシャフトは、エンジンの構成パーツの中で最も重い。その重量物の生み出す回転モーメントは、車体の動きにも影響をえるのだ。
そこで逆回転クランクだが、正回転クランクとは逆に、回転時の反作用が車体のクランクシャフトより前側を路面に押し付けるように働く。ウイリーを抑制するので、パワーを有効に使いやすいのだ。また、スロットルを閉じた時は、クランクより後ろ側を路面に押し付けるように働くので、バックトルクを使っての減速時も車体がより安定する。さらには、ホイールの回転で発生するジャイロがクランクシャフトのジャイロを打ち消す効果もあるので、ハンドリングも軽快になるのだ。
【DUCATI パニガーレV4】前後にシリンダーを持つ構造上、前後長が長くなるV型エンジンは前輪荷重が稼ぎにくい。逆回転クランクの効果は、顕著に現れるだろう。