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現代バイク用語の初級講座【DCT】

何かと専門用語が多いバイクの世界。自分でも使うけど、実はよく知らない……なんていう言葉も多いはず。「今さら」なんて言わずに、Let’s Study!

シームレスでダイレクトな加速感

DCTは、デュアル・クラッチ・トランスミッションの頭文字をとったもの。その名の示す通り、ひとつのミッションに二つのクラッチを持つシステムだ。 

一般的なマニュアルトランスミッション(以下MT)は、ギアを変えるときに一旦クラッチを切る必要があるため、一瞬駆動力が途切れてしまう。DCTは、奇数段ギア用のクラッチと偶数段ギア用のクラッチを設けることで、ギアを切り替えるときにも駆動力が途切れず、スムーズな加減速を実現したものだ。

ミッションは使いたいギアとエンジンからの動力が伝わるシャフトが噛み合うことで、任意のギアでの走行を可能とする。通常のMTでは、1速で走行中、2速ギアはフリーの状態で、クラッチを切ってシフト操作を行うことでギアを切り替える。DCTでは、1速に入っているとき、予備動作として既に2速もシャフトと噛み合っている。だが、実際に駆動するのは奇数段ギア用クラッチで、偶数段ギア用クラッチは切れた状態のため動力は伝わらない。ギアを2速に入れると、奇数段用ギアを切り、偶数用ギアを繋ぎ、素早くシームレスなシフトチェンジが可能となる。 

現在、バイクでDCTを実用化しているのはホンダのみ。構造が複雑で部品点数も多いので、エンジンのサイズが大型化するのは否めない。そのため、ゴールドウイングやレブル1100など、重量級のバイクを中心にラインナップされているが、オフロードでの運動性も考慮したアフリカツインにも採用されている。技術の進歩でダウンサイジングが進めば、スポーツバイクもDCTが当たり前の時代が来るかもしれない。

これはゴールドウイングのDCT。ギアが7速ある上に、リバースギアまで存在するので、かなり複雑だ。奇数段ギア用クラッチと偶数段ギア用クラッチは同軸上に配置されているが、メインシャフトが二重構造となっており、それぞれクラッチが繋がった状態のみ動力の伝達が行われる仕組み。シフト操作はモーターが自動で行う。使用ギアに対して予備動作で入れておくギアの選択は、IMUや車速などからコンピューターが判断している。
DCTはオートマチック(AT)としてのメリットが大きい。従来のCVTやトルクコンバーターといったATは、パワーロスが大きく、ダイレクト感に欠けるためスポーツバイク用としては敬遠されてきた。DCTはMTと同様の動力伝達性能を持つため、スポーツバイクのAT化に向いている。

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