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2022年のMotoGP予習【バスティアニーニ、開幕戦で初優勝、ドゥカティファクトリーと分かれた明暗】

21年型マシンで挙げた勝利タイヤマネジメントが奏功

照明に照らされた表彰台の頂点で、バスティアニーニの笑顔が弾けた。モトGPクラス参戦2年目、24歳のイタリア人ライダーが最高峰クラスでの初優勝を噛み締める。そしてトロフィーを受け取ったバスティアニーニは、人差し指を天に向けた。この優勝は、所属するグレシーニ・レーシング・モトGPにとって16年ぶりとなる優勝だったのだ。 

故ファウスト・グレシーニ氏の遺志を引き継ぎ、チームを率いるナディア・パドヴァーニ氏と喜びを分かち合うバスティアニーニ

昨年2月に新型コロナウイルス感染症によって、チームオーナーのファウスト・グレシーニ氏が逝去したのち、妻のナディア・パドヴァーニ氏がその職を引き継いでいる。バスティアニーニは会見で、「このチームは雰囲気が最高で、みんなモチベーションが高いんだ」とチームについて触れていた。 

カタールGPの決勝レースは、ポル・エスパルガロがリードする形で始まった。少しずつ差を広げていくエスパルガロ。しかし、エスパルガロがフロントとリアにソフトタイヤを選んだのに対し、バスティアニーニはフロントにソフト、リアにミディアムタイヤを選択していた。バスティアニーニはレース終盤に向けてタイヤを温存し、そして残り5周でエスパルガロをかわすことに成功したのだった。

「フロントローからスタートするのは初めてだったから、今日は特に作戦というものはなかった。序盤は4、5番手あたりを走行していて、レース終盤のためにタイヤを温存しておく必要があったんだ。レース後半に向けてタイヤを温存しておくのが常に最善の選択だ、ということはここ2〜3年で学んできたことだから」 

バスティアニーニは、モトGPクラスではルーキーイヤーの昨年にも2度の3位表彰台を獲得しており、2月のセパン公式テストでもトップタイム叩き出すなど、才能の片鱗を見せていた。そして開幕戦の優勝という形で、ポテンシャルの高さを明確に証明してみせたのである。 

バスティアニーニが今季走らせているのは、ドゥカティの21年型マシンである。昨年、強さと速さを発揮した仕様だ。今回は、このドゥカティのマシンについても触れておかねばならないだろう。というのも、ドゥカティのサテライトチームであり21年型を駆るバスティアニーニと、ファクトリーチームのライダーであるバニャイア、ミラーが対照的な結果となったからだ。 

ドゥカティ・レノボ・チームのバニャイアは、9番手走行中の12周目に、前を走るドゥカティのサテライトチームのライダー、マルティンを1コーナーでかわそうとしてスリップダウン。アウト側にいたマルティンを押し出しながらグラベルに滑っていき、リタイアとなった。

ミラーは7周目に電子制御系統のトラブルでピットに戻り、リタイア。これらの原因が同じところにあるのかは定かではない。ただ一つ言えることは、ドゥカティ・レノボ・チームが今季の開幕前に、最新型エンジンを搭載しない選択を下していた、ということだ。これについてバニャイアは

「僕たちは22年型(最新型)エンジンを使っていない。可能な限りベストなパッケージを使用しているんだ。マンダリカテストのあと、この決断を下した。これは昨年のエンジンでもないし、完全に今年のエンジンというわけでもない。ミックスなんだ」と説明している。

つまり、バニャイアとミラーは、カタールGPを通して選択したこのエンジンについて、セッティングの作業が必要だったということになる。ドゥカティの状況は、第2戦以降も注視しておきたいところである。

2番手スタートのバスティアニーニはレース序盤に後退するもタイヤの選択と温存が奏功し、残り5周でポル・エスパルガロをかわしてトップに立った。最終ラップは「人生で最も長いラップだった」と振り返る
バニャイアは12周目にマルティンをパスしようとしてマルティンを巻き込む形で転倒。ミラーも電子制御系のトラブルでリタイア。ドゥカティのファクトリーチームは2人そろって開幕戦をノーポイントで終えた

2位ビンダー、3位のポルともに上々の開幕戦

表彰台を獲得したライダーに話を戻すことにしよう。2位はKTMのビンダー、3位はホンダのポル・エスパルガロが獲得した。ビンダーは7番グリッドから好スタートを切って3番手に浮上。レースでは終始、表彰台圏内を走り、バスティアニーニから約0.3秒という僅差の2位だった。ビンダーはKTMのRC16の進化について特に旋回性が向上したと言い、また、「昨年は、『もっとうまくやれたんじゃないかな』と思うこともあった。けれど、今日はバイクがすごくよく走っていた。このパッケージから得られるものはまだあると思うけれど、全体的なフィーリングとして、レースの最初から最後まで、こんなに心地よく走れたのは初めてだ」とも語った。

一方のエスパルガロは、レースをリードする展開は予想外のことで、レース終盤にタイヤがもたなくなると分かっていたという。ホンダは2年間の苦戦を経て、今季のバイクをコンセプトから変えて進化させた。エスパルガロにとって、カタールGPは今季のRC213Vについて手ごたえを感じていたところが大きかったようだ。

「ここでは昨年みたいにバイクに乗るのが難しくなかった。僕たちは(マルクとともに)二人とも表彰台争いができるくらい速く走れている。いつもなら苦戦するカタールでね」 

両者ともに、上々のカタールGPだったと言っていいだろう。 

そんなカタールGPで、予想外の結果に終わったのがスズキのミルとリンスだった。トップスピードを向上させ、テストでの様子からカタールGPでは有力候補と目されていた。けれどその結果は、ミルが6位、リンスが7位。昨年までのスズキは、レースに焦点を当てたバランスのいいバイクで決勝レースでは後方からしばしば表彰台圏内に追い上げていたのだが、今回はそうした展開を見せなかった。リアのグリップに問題があったというミルは、その原因はエンジンパワーの向上にあるのか、という質問に「そうではないと思う」と否定している。とはいえ、スズキにとって開幕戦は、苦しい結果に終わってしまった。 

総じてカタールGPは、今季の混戦を予感させるような結果だったと言えるだろう。

ポル・エスパルガロが3位を獲得した一方、マルク・マルケスは5位フィニッシュ。体調については問題なく、大きく変わった今季のバイクについて探っているところがあるということだ
テストで好調だったアプリリアのアレイシ・エスパルガロは、カタールGPでも気を吐いた。表彰台まで1秒差に迫る4位フィニッシュを果たした
トップスピードの向上に成功したスズキ。しかし予選でも、決勝レースでも好結果につながらず、ミルは6位、リンスは7位に終わった
中上は10位でレースを終えた。予選ではニュータイヤのときリアタイヤのグリップがあり過ぎる、という問題を抱え、後方からのスタートとなった
昨年の王者クアルタラロは4列目からスタートして9位。2周目の時点で、タイヤの内圧が上がり過ぎる問題が発生し、ペースが上がらなかった

Moto2&Moto3 Pick Up

鳥羽海渡がMoto3で3位表彰台を獲得

Moto3 クラスでは、鳥羽が3位表彰台を獲得。2019年に優勝を飾って以来となるカタールGPでの表彰台に立った。鳥羽は今季のため、トレーニングに変更を加えてきたのだという。また、Moto2クラスでは小椋藍が3位を争い、最終ラップでミスをして惜しくも6位だった。

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