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サーキットを見据えたストリートタイヤが劇的進化| DUNLOP SPORTMAX Q5

impression/H.TAKADA photo/S.MAYUMI summary/K.ASAKURA
取材協力/住友ゴム工業

注目のスポーツタイヤを高田速人さんがインプレッション

【高田速人】
世界耐久選手権、全日本、8耐などで多くの実績を持つレーシングライダー。タイヤ開発の経験を豊富に持ち、インプレッション能力の高さにも定評がある

SPORTMAX Q5をテストして、一番強く感じたのは“曲がりたがる”キャラクターですね。自分が想定していた以上に強く旋回していく。ハンドリングは、ややオーバーステア気味といえるほどです。オーバーステアというと、フロントが巻き込んで危険なタイヤという印象を受けるかもしれませんが、このQ5は違います。

コーナー進入時には、しっかりとフロントタイヤが潰れて、ステアリングに舵角がつく。ここで、オーバーに感じる旋回性が生まれます。ですが、適度に潰れたところで、タイヤ自体がその状態を保つので、フロントからブレイクすることがありません。そこからリアタイヤが回り込んで、キレイにコーナリングしてくれるんです。

ギャップ吸収性も良好ですね、ピットロードを出ていくだけで解りました。先代モデルのQ4では、コトコトと小刻みなショックが伝わってくるシチュエーションで、Q5は衝撃を柔らかく吸収してくれる。この“ギャップのいなし感”は、かなり好印象でした。ケーシングの、柔らかくあるべき領域と、踏ん張って欲しい領域の最適化が進んでいます。

ウォームアップも早く、走り出してから早い段階で、グリップや接地感を感じられました。もちろん、ツーリングタイヤのように、冷間時から最高値に近いグリップレベルを発揮するわけではありませんが、スポーツタイヤとしてはグリップの立ち上がり方が、かなり早いですね。

フロントは、高強度かつ軽量で衝撃吸収性に優れるアラミドのコード層をクロスして重ねる「2CUTベルト」構造。リアは、トレッドゴムを連続して巻きつけることで真円度を高め、安定性向上に寄与する「JLT(ジョイントレス・トレッド構造)」を採用する
Q5は、Q4と比較するとフロントのセンター部の外径が大きく、エッジ部での幅は狭められる。リアも同様にセンター部の外径を拡大し、エッジ位置をホイールセンター側に変更。縦方向の剛性を下げることで、トレッドの接地面積を拡大し、接地感を向上させている

Qシリーズは限界がかなり高く、サーキット走行が十分に楽しめるスポーツタイヤです。ダンロップにはサーキット専用タイヤとしてD213GPがあり、ストリートで高い性能を持つタイヤとしてα-14がラインナップされています。

SPORTMAX Q4はD213GPに近いサーキット寄りの性能で、α-14ほど汎用性が高いわけではありませんでした。

例えば、ある程度ウォームアップに時間が必要であったり、フィーリングの硬さからくるウェットコンディション時の怖さといったところです。その点Q5は、サーキットでの性能はQ4を凌ぎ、ストリートでも安心して走れるキャパシティの大きさがあります。乗り心地も良くなっていますしね。サーキットを存分に楽しみたい自走派のライダーには、ピッタリのタイヤだと思います。

粒子径が小さいことで、ポリマーとの結合力が高く発熱効率にも優れる「レース用微粒子カーボン」をコンパウンドに使用。より高いグリップレベルと、素早いウォームアップ性能を実現
Q5ではフルバンク時の接地面積を拡大し、接地圧力分布を最適化。深いリーンアングルで安定したグリップレベルを維持する
従来モデルと比較して、タイヤに求められる性能要件の全ての面で上回っているQ5。スポーツタイヤの新たな基準になりそうだ

DUNLOP SPORTMAX Q5

【フロント】
110/70ZR17
120/70ZR17
【リア】
140/70ZR17
150/60ZR17
160/60ZR17
180/55ZR17
180/60ZR17
190/50ZR17
190/55ZR17
200/55ZR17

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