MFJ公認インストラクター高田速人さんに聞く|【サーキット走行の心構え】
RIDING PARTYでインストラクターを務め、ライディングスクール講師やサーキットアドバイザーなど、ビギナーへの指導力に定評がある、高田速人さんからのメッセージ。
【高田速人さん】
’76年、東京都出身の国際ライダー。全日本選手権や鈴鹿8耐で活躍、世界耐久選手権の年間ランキング4位。RIDING PARTY他、様々な走行会やスクールで講師として実績多数。本誌ライテク企画「高田速人のスポーツライディングブートキャンプ!」も連載中
サーキット走行に興味があるのなら、とりあえず一度は体験してみて欲しいですね。ライディングテクニックを磨くには、サーキット以上の場所はありませんから。
自分は遅いから……と、尻込みされる方もいますけど、気にする必要はありません。サーキットは速く走るための場所ではありますが、速い人だけが走る場所ではない。誰もがサーキットを楽しんでいいんです。
遅いからといって、文句を言われる筋合いはない。ただし、ルールとマナーを守っていることが前提です。一般道に比べて走行速度が高い分、アクシデントが起きた時にダメージが大きくなる可能性はあります。限界に挑戦すれば、転倒することもあり得ます。サーキットの運営サイドは、安全面への配慮をできる限り行っています。ですが、走行するライダーがルールとマナーを守らなければ、その努力も意味がありません。
サーキットの安全は、運営とライダーの、あるいはライダー同士の信頼と相互理解があって成り立っています。サーキットを走るなら、それだけは肝に命じて欲しいですね。うるさいことを言うようですが、サーキットを走る全ての人に痛い思いをして欲しくないんです。自分だけではなく、周りを巻き込むこともあります。その点だけは本当に注意して欲しいです。
また、速く走る必要はないと言いましたが、速く走る努力は怠ってはいけません。皆、速く走ることを目的に走っていますから、目的なくダラダラと走ると、周りとリズムがズレて危険です。ルールとマナーを守りながら、自分なりのベストで走ってもらえば何の問題もありません。
自分はライディングパーティをはじめ、走行会のインストラクターを多く務めさせてもらっています。参加者の方にお願いしたいのは、お客様ではなく参加者という意識を持ってもらいたいということです。走行会は、参加者がお金を負担しあって、サーキットを貸し切って楽しむイベントだと考えてください。ですから参加者には走る権利がある、けれど周りの方々も同じ権利を持つ参加者なんです。仲間とワリカンで楽しんでいると思えば、独りよがりの勝手な行動はとれませんよね?
あと、疲れを感じたら、どんどん休憩してください。先導走行中でも、自己判断でピットインして構いません。疲れてくると思ったように走れなくなります。サーキット走行は体力も精神力も使います。まだ走行時間内だからと無理に走り続けず、休憩する勇気を持ってください。そうした方が、より深くサーキットを楽しめますから。
わからないことがあったら、インストラクターにどんどん質問してください。自分たちは、そのために呼ばれています。何を聞いたらいいかわからないという人もいるかもしれません。だったら、このコーナーが怖いとかの漠然とした質問でも、雑談でもいいんです。こちらもプロですから、何らかの回答や提案を提供できると思います。せっかく走行会に参加したなら、何か持ち帰って欲しいですからね。そのお手伝いをさせてください。