サーキットデビューには軽量ミドルがオススメ!Under100万円のスポーツバイク!
「サーキットは最新スーパーバイクで……」という気持ち、ライダーの心情としては理解できる部分もあるけど、楽しさやスキルアップを考えたら必ずしも正解じゃない!かつて世界最高峰のMotoGPで活躍した中野真矢さんは、「まずは軽量ミドルが、サーキットデビューの最適解」と推す。
軽い、スリム、開けやすいYZF-R7のスペックは絶対正義だ!
今年の2月にヤマハが新発売したYZF-R7。元MotoGPライダーの中野真矢さんは、このバイクにかなり期待を寄せている。
「リッタークラスのスーパースポーツから乗り替えると、まるで250ccクラスのよう。でもそれはパワーが足りないということではなくて、軽二輪クラスのようにさまざまなトライができて、なおかつ扱い切れる楽しさがあるという意味です」
実際YZF-R7に乗る中野さんは、まるでミニバイクでも扱っているかのよう。バイクの限界を引き出している感じが、こちらにも伝わってきた。
「まず軽いこと、そして出力が滑らかであること。これがとても大事。YZF-R7は、ライディングモードやトラコンなどの電子制御は省かれていますが、このクラスならネガティブな要素になりません。重量やパワーがあると、操作ミスをした時にはリスクも増えがち。YZF-R7ならそのような心配はほとんどありません」
中野さんは、ポケバイやミニバイクからMotoGPまで、着実にステップアップしながらプロレーサーとして活躍してきた。自分自身、排気量が上がるたびにマシンの速さに驚きながらも対応してレベルアップしてきただけに、「できることなら一般ライダーにもある程度の段階は踏んでほしい」と常々語っている。
「車重が200kg以上とか最高出力が200psとかになると、すべての操作をかなり手前からしっかり考える必要があります。でもR7のような軽量ミドルなら、ちょっと遅れたり、ミスしてもリカバリーしやすいです。スロットルを開けるときも、タイヤが滑ることをあまり考えずに操作できます。1000ccクラスになると、バイクの動きを深く理解して、それに対応する操作技術がないと、イメージどおりに気持ちよく走らせるのは困難。でもミドルクラスなら、パワーバンドがどこで、どの回転数でシフトアップするのが効率がいい……なんてことも体感しやすいです。このクラスで学ぶことで、リッタークラスを操るスキルも身につくはず。逆に、ミドルクラスをある程度のレベルで操れなければ、いくら電子制御が充実していても、重さとパワーがあるリッタークラスを自在に乗りこなすのは不可能。ミドルクラスで腕を磨くことが、結果的には上達の近道だと思います」
ちなみに中野さんは、「このクラスは250〜400ccからのステップアップにも最適」と話すが、逆に「これまでリッターに乗ってきたようなベテランライダーにも、ぜひオススメしたい」と着目している。
「例えばR7は、僕が乗ってもかなり楽しめます。鉄フレームだけど車体がプアな感触もないし、本気で攻めたら小さめのサーキットならリッターと遜色ないタイムも刻めそう。意外と奥深さがあるので、ベテランが肩肘張らず気軽にサーキットを楽しんだり、あらためてライディングを学んだりするためのバイクとしても、最高出力がせいぜい100ps程度で車体が軽めのミドルクラスはちょうどいいと思いますよ!」
パラレルツインエンジンのおかげで、車体は非常にスリム。“扱える”と感じやすい
スポーツライドを楽しめるUnder100万円のミドルクラス
KAWASAKI Ninja 650 KRT EDITION
ルックスは本格的なスーパースポーツに近いが、乗り味は意外とツアラー寄り。クイック過ぎない適度な運動性能で、初めてサーキットを走るライダーに優しく寄り添う。使い切れるパワーだ。
SUZUKI GSX-S750
エンジンは旧型のGSX-R750用がベースで、低中速寄りに仕様変更。フレームもスチール製。カリカリのストリートファイターというよりはバランス重視だ。3モード+オフのトラコンを備える。
HONDA CB650R
レースとは無縁で、公道でのスポーツ性と扱いやすさをテーマに設計された直列4気筒エンジンを、しなやかなスチール製フレームに搭載。基本部が共通化されたフルカウルのCBR650Rもオススメ。
TRIUMPH TRIDENT660
メジャーな英国ブランドのミドルクラスが100万円切りの衝撃価格。しかも、2種類のライディングモードやオンオフ式のトラコンを備える。3気筒ならではの力強い中回転域のフィーリングも魅力。