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スカイフックが行動範囲をさらに広げる|KAWASAKI VERSYS 1000 SE

ロードスポーツモデルベースのエンジンや車体を持ち、その住処をロードセクションに求めたアーバンアドベンチャー。近年は6軸IMUによるコーナリング制御や電子制御サスペンションといった電脳進化が著しく、その進化の恩恵でロードセクションから再び飛び出そうとしているモデルもある。そんな最先端にいるKAWASAKI VERSYS 1000 SEを見てみよう。

快適性と運動性を両立する電子制御サスペンション

ダート性能という呪縛を解かれたアーバンアドベンチャーは、そのキャラクター作りの自由度が高い。さらに電子制御技術の進化により、その振れ幅は一層拡大した。

カワサキのVERSYS 1000 SEは、その最右翼と言っていい。搭載するエンジンは水冷4ストローク直列4気筒エンジンと、ロードスポーツ由来でどちらかといえば過激なキャラクターだ。その有り余るパワーを電子制御技術でコントロールすることで、モードを切り替えるだけで過激な設定と、扱いやすい出力設定の両方を味わえるようにしたのだ。

そのなかでも特筆すべき装備はサスペンションだろう。VERSYS 1000 SEの電子制御サスペンションには3種類の減衰力設定に加え、加減速時のピッチングモーションを抑制するスカイフック制御を導入。路面のギャップが伝わらないおかげでとても快適なのだが、その一方でスポーツ走行への親和性にも驚かされた。

想定外の用途だが、スカイフックサスペンションはダートでも効果的。257kgの車体を普通に走らせられる

極力ピッチングを減らす制御のおかげでブレーキングからスロットルオンへの流れがスムーズに決まる。相当乱暴なブレーキでコーナーに侵入してもノーズダイブしすぎないので間髪入れずスロットル操作に移行できる。 

電子制御技術の進歩は、既存の快適性とスポーツ性の〝妥協点〞の探り合いという常識を覆し、両方の能力の共存をもたらすことになった。

3種類の走行モードに加え、ライダーモードでは、2種類のパワー、3種類のトラクションコントロール、3種類の減衰特性を組み合わせられる
各電子制御の設定はハンドル左側のボタンで行う。コーナリングランプやクルーズコントロール、グリップヒーター、上下方向クイックシフターなど装備も充実
幅広でアップライトなハンドルはオフロードではなく、あくまでロードセクションのためのもの。ヴェルテックスシステムの根幹がここにある
Ninja1000系エンジンからパワーダウンしているものの、ギア比を変更したことでより低中回転域で直列4気筒エンジンらしいパワー感が味わえる
スロットルのON/OFF、ブレーキングなどで起こる前後のピッチングを極力減らすスカイフック制御を導入。それでいてしっかり接地感が感じられるのがすごい
フロントマスクはニンジャシリーズに通じるデザイン。手動調整式のスクリーンは調整幅約45㎜。アクセサリーソケットや電源コネクタも装備

KAWASAKI VERSYS 1000 SE

“VERSYS”という名前は、頂点という意味の“ vertex ”と“ system ”を組み合わせた造語。その意味するところは、「公道ワインディングではアップライトな高い視点から先を見通し、高いコントロールポジションでマシンを操るシステムこそ頂点」ということ。スムーズに回る特性のエンジンと、あえてスロットルケーブルの操作感を残した電制制御スロットルなど、自然な乗り味にこだわっている。

  • エンジン:水冷4ストローク直列4気筒DOHC 4バルブ
  • 総排気量:1043cc
  • 最高出力:120ps/9000rpm
  • 最大トルク:10.4kgf・m/7500rpm
  • シート高:820mm
  • 車両重量:257kg
  • 燃料タンク容量:21L
  • 価格:199万1000円

製品ページでは詳細情報がわかるほか、プラザ店検索により、モデルの展示状況・試乗・レンタルの予約が可能です。

スカイフックサスペンション

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