rizoma代表に独占インタビュー「完璧なデザインを生み出す、それこそがrizomaの哲学」
ハイグレードなカスタムパーツを次々に生み出しているのが、イタリアのリゾマ。リゾマのCEOを務めるファブリツィオ・リゴリオさんに数々の質問を投げかけてみた。
PHOTO/S.MAYUMI TEXT/T.TAMIYA 取材協力/56design TEL043-445-8856HOME
オリジナルに対するリスペクトも忘れない
編集部(以下、編):リゾマのカスタムパーツには、常に美しさがあります。なぜ、そのような製品を手がけることができるのですか?
リゴリオさん(以下、リ):そもそも私自身がデザインすることを愛しているし、リゾマとしては、人間が衣服でドレスアップをするのと同じように、モーターサイクルにもドレッシングを施したいと考えているから、結果として製品に美しさが宿るのだと思います。
編:パーツをデザインするとき、とくに気をつけていることは?
リ:まずは、クリーンあるいはピュアであること。そして、対象となるモーターサイクルのコンセプトやオリジナルデザインをリスペクトしながら、それらをより高めるパーツをデザインしようと心がけています。
編:現在、何名くらいがリゾマでデザインに携わっているのですか?
リ:全体では約100名のメンバーがいて、そのうちデザインに関わっているのは約25名。スケッチを描くとか、デジタルでデータを作るだけではなく、試作品を製作して検証するところまでがデザイン部門なので、これくらいの人数が必要です。
編:社員はイタリア人のみですか?
リ:以前は他国出身のメンバーも少しいたのですが、現在は全員イタリアンですね。
編:リゾマとして、イタリアのアイデンティティやファッション性を重要に感じていますか?
リ:日本に滞在しているときに、母国の魅力を話すのは気が引けるんですけどね(笑)。でも、たしかにリゾマはミラノに拠点があります。イタリアはファッションの国だし、芸術関連の大学なども多くあるので、デザインに関してかなり恵まれた国であることは間違いありません。
編:今後のビジョンとして、例えばホイールや燃料タンクなど、製品カテゴリーをさらに拡大する予定は?
リ:我々は、デザインがメインの会社です。現在は自分たちで生産まで手掛けていますが、求めているクオリティや生産体制が整う会社とタッグを組めるのであれば、カテゴリーを制限する気はありません。
編:ところでリゾマは、MotoGPで最初にブレーキレバーガードが採用されたメーカーでもあります。今後、ドレスアップパーツだけでなくレーシングパーツにもより力を入れていく可能性はあるのでしょうか?
リ:我々はデザインのスペシャリストだと自負しています。一方でレースというのはテクノロジーの世界。デザインとテクノロジーの融合を求められるようなパーツであれば、ぜひ挑戦したいという気持ちは持っています。MotoGPに限らずスーパーバイク世界選手権なども視野に、機会があればレース関連のパーツ開発もやってみたいと考えていますよ。
編:ここからは、リゴリオさんご自身のことを少し質問させてください。最初に、これまでの人生でデザインや考え方などで影響を受けた人物というのはいらっしゃいますか?
リ:モーターサイクル以外のデザインに、インスピレーションをもらうことは多々あります。例えば建築関連とか、メーカーならアップルやダイソンなど……。あらゆるところから、異なる刺激を受けています。
編:もちろんバイク乗りですよね?
リ:当然です(笑)。リゾマはパーツ開発用のバイクをたくさん所有していますから、いつも違うバイクを楽しんでいますよ。
編:ご自身で所有しているのは?
リ:CR&Sというメーカーのバイクを2台所有しています。’92年に創業されたミラノのメーカーで、とても美しいデザインなのですが、年間20台程度しか生産していないんです。1台は2000cc、もう1台は600ccで、このうち600ccのほうは外装類を外してディスプレイとしてキッチンに飾ってあります。
編:メジャーブランドの中でとくに好きなのは、やはりイタリアンメーカーですか?
リ:その質問はダメですよ。だって私は、ニュートラルな立場ですから(笑)。冗談はさておき、すべてのメーカー、あるいはそこで設計されているすべてのバイクに、それぞれの良さやクールな部分があると思うんです。サッカーチームを応援するように、どこかひとつに絞るなんてできませんよ!
編:イタリアにも日本にも、たくさんのバイクメーカーがありますしね。では、日本のバイク市場やカスタムパーツマーケットに対して、どのようなイメージをお持ちですか?
リ:イタリアと日本では、カスタムパーツに関する好みが似ていると思います。車種のトレンドは両国で少し違っていて、イタリアのほうがより大排気量傾向かもしれませんが、好きなデザインの方向性はかなり近いはず。これまで日本にはほとんど来る機会がなかったのですが、これからはもっと頻繁に訪れて、日本の二輪市場について理解することが必要だと感じています。それに、日本にもインスピレーションをもらえるデザインがたくさんあるので。
編:最後に、日本のリゾマファンにメッセージを!
リ:日本とイタリアのバイクには、共通するデザイン要素や思想がたくさんあると思います。だからこそ、我々イタリア人がデザインしたリゾマ製品の魅力は、日本のモーターサイクルファンにも深く理解していただけると信じています。
DUCATI Monster by rizoma
モンスターのスポーツ性を独創のエアロパーツで徹底的に強化した最新作
リゾマの日本総輸入代理店を務める56デザインが、新たに製作したコンプリートカスタム。
アルミ製フロントフレームに937㏄水冷Lツインエンジンを搭載する現行型のドゥカティ・モンスターを、多彩なリゾマ製パーツを用いてよりスタイリッシュに仕上げてある。サイドウイングレットやヘッドライトフェアリングをはじめ、車種専用設計パーツも多数。
これまでアルミビレットパーツのイメージが強めだったリゾマだが、モンスターには高品質なカーボンファイバー素材も積極的に導入しており、リゾマの新境地を感じさせる。テーパーハンドルバー(MA006/1万7490円)には、ブレーキレバーガードやフルードタンク、ブレーキやクラッチのレバーなど、リゾマの美しいパーツがふんだんに装着されている。
YAMAHA XSR900 by rizoma
東京MCショーで初披露されたカフェレーサースタイルは最新アイテムが満載!
3月下旬に開催された東京モーターサイクルショー2023に合わせて、56デザインが製作したリゾマの最新カスタム。’22年6月に登場したヤマハの新型XSR900がベースで、これから発売される車種専用設計パーツもふんだんに使われている。
とくに注目したいのは、ラジエターサイドに配されたシュラウド風のアルミ製パーツ(市販予定)と、超小型ウインカーのライトユニット(FR070BM/1万2100円)の組み合わせ。公道走行に必要な要件を満たしながら、エンジンまわりの質感を大幅に向上している。
’80年代レーサーの雰囲気を取り入れた現行XSR900のコンセプトも尊重しつつ、より正統派のカフェレーサースタイルに昇華させている。「さすがリゾマ!」と言いたくなる最高の仕上がりだ。