ライダーのアクションで運動性は大きく変わる【ネイキッドでスポーツライディングする:Part01】
スポーツ走行におけるライディングフォームの基本は、スーパースポーツもネイキッドも同じ。ただしネイキッドは、自由度が高めであり、バーハンドルの形状に惑わされることも多い。また、デザインや重心位置も車種ごとにかなり違うので、愛車に合わせた微調整も必要になる。
成功体験を求めるならプロに教わるのも近道
スーパースポーツの場合、車体設計の段階で旋回力を引き出しやすいポジションになっています。しかしネイキッドは、一部のストリートファイター系に例外があるとはいえ、基本的にはツーリングでの快適性などを考慮して開発された車種が中心。アップライトなバーハンドルと前後に長いシートを採用した車種が多く、僕が乗る場合でも、すぐに合理的な着座位置が探せず、サーキットを数周する間に微調整を繰り返して試行錯誤することだってあります。
ライパではライディングフォームチェックを担当していますが、シートがそれほど前下がりではないネイキッドのユーザーでも、シートの一番前側に座ろうとする人が多いです。ネイキッドの場合、ハンドル位置が高めなので、これだとかなり上体が窮屈になってしまいます。
他にも、高めにセットされたハンドルのため、上体を伏せたときに、肘が上がりすぎ……なんて人も多いです。
ネイキッドはライディングポジションの自由度が高いのが利点ですが、それによって適正なフォームを掴みづらいというデメリットも生まれやすくなってしまいます。まずはいろいろ試してみて、できることならスーパースポーツのフォームに近づけてあげることが大切です。
自分自身で解決できない場合、ライパに参加いただければ、理想的なフォームを僕たちインストラクターが指南しますよ!
(中野真矢)
Lesson_1:上体を下げることで“曲がる”を引き出す
バーハンドルのネイキッドは上半身の自由度が高く、車種によってはシートの前後長もあるので座る位置も自在。そのため、旋回力を発揮できるポジションをライダーが積極的に探ってあげる必要がある。
バーハンドルでフロント荷重が少ないというのが、ネイキッドに共通する特徴。立ち上がりでスロットルを開けたときに、前輪がフラフラ……なんてことにつながりやすい。そのため、上体(頭)は低めの位置をキープするのが基本だ。
またハングオフのときは、グリップ位置が遠めでアウト側の肘がピンと伸び切りやすいので注意。これだとハンドルに余計な力が入りやすく、車体を旋回させようとするセルフステアを阻害してしまう可能性もある。
Lesson_2:手を放してもいいくらい外足でしっかりホールド
ハングオフに限らず、ライディングの基本は下半身での車体ホールドと操作。とくに、右で解説したように低い姿勢を維持して、なおかつ車体の旋回力を最大限に引き出すためには、下半身だけで車体をしっかりホールドする(=ハンドルにしがみつくなど余計な腕の力を使わない)、正しいライディングフォームが必須となる。ハングオフの場合、外足の内ヒザ付近を燃料タンク後端あたりにしっかり押し付けてホールド。
このとき、両足ともにステップはつま先で踏むと、しっかり入力できて素早く動けるだけでなく、外足がステップに届きやすくなるし、内足はヒザをしっかり開きやすくなる。
Lesson_3:ネイキッドこそ直線はしっかり伏せるべし!
スーパースポーツの場合、設計の段階から車体姿勢がリア上がりで前傾姿勢を強いる傾向なので、適正な位置に座れば直線では自然に上体を伏せやすい。
一方、ネイキッドはアップライトな姿勢なので、何も意識せずに乗っていると上体はかなり起きているし、少し伏せたくらいではまだまだ頭の位置は高い。ライダーが任意で動ける幅が広いのだ。これは逆に考えると、伏せているときと伏せていないときの重心位置によるハンドリングの違いなどを、ライダーが感じやすいということでもある。
まずはストレート区間から、かなり大胆に上体を伏せる姿勢にチャレンジ。加速中の前輪荷重を稼ごう。