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【KAWASAKI Z650RS】カジュアルに走りを楽しめる新世代のZAPPER|中野真矢&平嶋夏海 インプレッション

カワサキ重量級スポーツバイクの象徴が“Z”であるとするならば、ミドルクラスを担ってきた、もう一つの本流が“ZAPPER”。コンパクトで軽量、軽快な走りが“ZAPPER”の身上だ。その正統後継車Z650RSを、中野真矢さんと平嶋夏海さんがインプレッション。

PHOTO/H.ORIHARA TEXT/K.ASAKURA
取材協力/カワサキモータースジャパン 70120-400819 
https://www.kawasaki-motors.com/mc/

令和のZAPPERは走りもZAPPERだった

中野:今回のバイクは、カワサキのミドルネイキッドZ650RSです。兄貴分のZ900RSと同じように、カワサキの名車〝Z〞をオマージュしたモデルだよね。現代に蘇ったZAPPERというところです。

平嶋ZAPPERって何ですか?

中野:Z900RSは、空冷Zのルーツ的存在であるZ1をイメージのモチーフにしているじゃない?

平嶋:そうですよね。それは知ってます。勉強しましたから!

中野:エラい! その空冷Zのラインナップの中に、排気量650㏄のエンジンを搭載したZ650というモデルがあった。Z1に比べると軽量コンパクトで、軽快な走りで評価が高かったバイクなんだ。

平嶋:そうなんですね。でも、それがZAPPERにどう繋がるかが分からないんですけど……。

中野:元々は風を切る擬音を表現した「ZAP」から派生した言葉で、軽快に走るスポーツバイクを意味する造語なんだって。カワサキのスポーツバイク全般についてのコンセプトワードだったけど、Z650の愛称として定着したものらしい。

リッターでもヨンヒャクでもない650ccという排気量こそこだわりを感じる部分【中野真矢】
リッターでもヨンヒャクでもない650ccという排気量こそこだわりを感じる部分【中野真矢】

平嶋:ははあ、なるほど。勉強になります。ずいぶん詳しいですけど、中野さんはZAPPERに思い入れがあるんですか?

中野:Z650は、’70年代のバイクだから、リアル世代じゃないんだよね。先輩たちが「ZAPPERがさあ……」とか話しているのをみて、ツウっぽいなあ、仲間に入りたいなあ。と、憧れてました。

平嶋:なんだ、ツウぶりたかったんですか?(笑)

中野:ツウぶりたかったのかもしれない(笑)。それで、Z650RSなんだけど、やっぱりZAPPERの血を引くバイクなんだなあって感じたよ。

平嶋:どの辺りがですか?

中野:スタイルはZ900RSを踏襲している感じじゃない? でも、乗り味はちゃんと違う。Z900RSには剛性感や4気筒エンジンの面白さがあって、Z650RSは軽快感が強いから。

平嶋:ですね。ホント、軽快で楽しく走れるバイクですよね。

扱いやすいエンジン特性と軽快感抜群のハンドリング

中野:平嶋さんは、Z650RSは初めて走らせたんだっけ?

平嶋:そうですね。以前、この企画でZ650は乗っていますけど。

中野:Z650RSと基本コンポーネンツを共有する、現行Z650ね。

平嶋:そうです。あと、兄弟車といえばZ900RSにも何回か乗らせてもらっています。私って、ネオクラシック系のバイクが好きじゃないですか? だから、Z900RSもカッコいいなあって思うんですけど、やっぱりリッタークラスのバイクですし、重くて大きいと感じるんです。走っている時は、気にならないんですけど……。

中野:まあ、900㏄のエンジンを積んだビッグバイクだからね。

平嶋:Z900RSのデザインで、もっと軽くて小さければ、すごく良いのになあって考えていたんです。

中野:じゃあ、望んだ通りだね。

平嶋:そうなんですよ。でも、中野さんが感じた通り、Z900RSが小さくなったバイクではありませんでした。

中野:どんなところから、そう感じたのかな?

平嶋:Z900RSは、やっぱり現代のビッグバイクなんですよ。ネイキッドとは言ってもパワフルだし、乗り味は軽快だっていわれますけど、ちゃんと重厚感もある

中野:そうだね。

平嶋:その点、Z650RSは、車重も取り回した感じも全然軽い。ルックスは近いですけど、キャラクターは随分違うなって。

中野:軽快感は、圧倒的にZ650RSの方が高いよね。

【お見事! という他ない流れるようなデザインワーク】「タンクからサイドカバーに繋がる、流れるようなラインは素晴らしい! ここは手のつけようがないと思います」と、Z650RSのデザインは、カスタム好きの中野さんも脱帽
【お見事! という他ない流れるようなデザインワーク】「タンクからサイドカバーに繋がる、流れるようなラインは素晴らしい! ここは手のつけようがないと思います」と、Z650RSのデザインは、カスタム好きの中野さんも脱帽

平嶋:エンジンは、そんなに速いって感じはないんですけど……。うん、速さはあまり感じませんでした。

中野:確かに。そこは、排気量の差は大きいし、4気筒エンジンと2気筒エンジンの違いもある。でも、街乗りやツーリングで、不満を感じることはないと思うけど?

平嶋:このところ、スゴいバイクばかりが続いていたから、感覚が狂っちゃったのかな?

中野:そうかもね(笑)。なにしろ、Ninja ZX-10RとNinja H2 SX SEと、弩級のバイクが連続してたから。

平嶋:もうっ! 神経使いましたよ。楽しかったんですけど。

中野:楽しんでいたよね(笑)。その2台と比べちゃうと、たいがいのバイクが遅く感じると思うんだけど、僕はZ650RSのエンジンは好きだなあ。今日は天気も絶好だし、このままツーリングに出かけたいと思ったくらいだもん。

平嶋:中野さんが〝ツーリングに行きたい〞って言うなんて!(笑)

中野:最近、ツーリングに目覚めてますから(笑)。Z650RSのエンジンは、とりたててパワーがスゴいわけでも、びっくりするようなレスポンスをみせるわけでもないんだけど、スイートスポットが素晴らしく広いんだよね。どの回転域からでも、スロットルを開ければフツーに加速してくれる。

平嶋:わかります。コーナーに進入する時とかに〝何速で入るんだっけ?〞とか、全然意識しなくても走れちゃいます。

【伝統と革新をミックスディティールにギャップ萌え】ネオクラシック系のデザインが大好きだという平嶋さん。意外にも、現代的なショートタイプのマフラーがお気に入りだとか。「全体のフォルムは、すごくオーソドックスなバイクの形ですよね。その中に、現代的なマフラーがあるギャップがたまりません」
【伝統と革新をミックスディティールにギャップ萌え】ネオクラシック系のデザインが大好きだという平嶋さん。意外にも、現代的なショートタイプのマフラーがお気に入りだとか。「全体のフォルムは、すごくオーソドックスなバイクの形ですよね。その中に、現代的なマフラーがあるギャップがたまりません」

中野:それこそ、エンジン回転数が3000rpm以下に落ち込んだところからも、何も考えずにスロットルを開けていけばいい。トルクが極太ってコトもないし、恐ろしくスムーズ。ギクシャクするようなシチュエーションが全然ない。

平嶋:コーナリングは、どう感じましたか? 私、ハンドリング特性も気に入ったんですよ。良い意味でダルい部分があるっていうか……。スーパースポーツって、ハンドリングがクイックで、乗り手の意識より先にバイクが曲がっちゃうような感覚があるじゃないですか?

軽くて素直な操縦性扱いやすさは抜群だから操る楽しさを実感できる【平嶋夏海】
軽くて素直な操縦性扱いやすさは抜群だから操る楽しさを実感できる【平嶋夏海】

中野:うんうん。

平嶋:Z650RSは、曲がりすぎないというか……。クイッと曲がるんじゃなくて、穏やかにスーッと曲がるんですよね。人間の感性とズレがない気がします。リラックスしてコーナリングできます。

中野:ネイキッドらしい、アップライトなポジションで、目線の位置が高いことも影響していると思うよ。コーナーで構える必要がないし、ライン取りの自由度も高い。個人的にはペースを上げると、サスペンションの柔らかさが気になるから、カスタムするならハイグレードなショックユニットやハイグリップタイヤを入れたいって感じたかな。

平嶋:〝カスタムしたがり〞の中野さんが出ましたね(笑)。

中野:だって、イジリたくなる素材だもん。Z900RSと並んだ時、存在感で負けないZ650RSとかカッコ良くない? あえて、ZAPPERを選んだという、こだわりを主張したい。

平嶋:〝ツウ〞であることを見せつけたいわけですね(笑)。動機がミーハーじゃないですか?

中野:いやいや、実際〝ツウ〞が選ぶバイクでしょう? Z650RSをカスタマイズして、毎日の通勤とかに使ったら絶対にカッコいい!

KAWSAKI Z650RS

カワサキのツインスポーツエンジン伝統の180度クランクを採用した水冷エンジンは、基本的にZ650と共通だが、カバー類にはZ650RS専用デザインが与えられている
カワサキのツインスポーツエンジン伝統の180度クランクを採用した水冷エンジンは、基本的にZ650と共通だが、カバー類にはZ650RS専用デザインが与えられている
フロントブレーキは大径φ300mmローターをダブルで装備し、制動量は十分確保。ホイールは、スポークホイールを思わせるデザインで、ネオクラシックらしさを強調
フロントブレーキは大径φ300mmローターをダブルで装備し、制動量は十分確保。ホイールは、スポークホイールを思わせるデザインで、ネオクラシックらしさを強調
インスツルメントパネルは、オーセンティックな砲弾型アナログ式メーターに、反転液晶表示のインフォメーションパネルを組み合わせる。視認性は素晴らしく良好
インスツルメントパネルは、オーセンティックな砲弾型アナログ式メーターに、反転液晶表示のインフォメーションパネルを組み合わせる。視認性は素晴らしく良好
軽快でバランスのとれた、ネイキッドスポーツらしいハンドリングを実現したスチールパイプ製のトレリスフレームは、単体で13.5kgとなり、マシンの軽量化に貢献
軽快でバランスのとれた、ネイキッドスポーツらしいハンドリングを実現したスチールパイプ製のトレリスフレームは、単体で13.5kgとなり、マシンの軽量化に貢献
テールカウル形状は、“ZAPPER”ことZ650を思わせる形状。流麗なテールビューを実現するのは、シートレール形状が独特なZ650RS専用フレームがあってこそ
テールカウル形状は、“ZAPPER”ことZ650を思わせる形状。流麗なテールビューを実現するのは、シートレール形状が独特なZ650RS専用フレームがあってこそ
プレス成形された左右非対称スイングアームはスチール製。リアブレーキのローター径はφ220mmで、組み合わせるブレーキキャリパーは片押しピンスライド1ポット
プレス成形された左右非対称スイングアームはスチール製。リアブレーキのローター径はφ220mmで、組み合わせるブレーキキャリパーは片押しピンスライド1ポット
エンジン水冷4ストローク直列2気筒DOHC4 バルブ
総排気量649cc
ボア×ストローク83.0mmx60.0mm
圧縮比10.8:1
最高出力68ps/8000rpm
最大トルク6.4kgf・m/6700rpm
変速機6段
クラッチ湿式多板
フレームトレリス
キャスター/トレール24°/100mm
サスペンションFφ41mmテレスコピック正立フォーク
Rホリゾンタルバックリンク
ブレーキFφ300mセミフローティングダブルディスク+片押し2ポットアキシャルマウントキャリパー
Rφ220mmシングルディスク+片押し1ポットキャリパー
タイヤサイズF120/70ZR17
R160/60ZR17
全長×全幅×全高2065×800×1155mm
ホイールベース1405mm
シート高800mm
車両重量188kg
燃料タンク容量12L
価格105 万6000円

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