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【正解のライン取り:Part3】 中野真矢がよくある悩みを解決! 「フォーム&スロットル操作/etc」

筑波サーキット・コース1000を例に、よくあるライン取りの悩みをピックアップ。うまくできない理由と、その克服方法を中野真矢さんに教わろう!

PHOTO/S.MAYUMI TEXT/T.TAMIYA
取材協力/スズキ TEL0120-402-253 https://www1.suzuki.co.jp/motor/
カワサキモータースジャパン TEL0120-400819 https://www.kawasaki-motors.com/mc/
デジスパイス TEL048-699-7521 https://dig-spice.com/jp/

筑波サーキット・コース1000を例に理想のライン取りをご紹介

全長約1000mと短いが、253mのホームストレートや、高速の1 ~ 2コーナーも有する。コース全体がフラットなのも特徴で、ライン取りの勉強にピッタリのレイアウトだ。今回、インフィールドは手前側の二輪用ではなく奥の四輪用を使ってい
全長約1000mと短いが、253mのホームストレートや、高速の1 ~ 2コーナーも有する。コース全体がフラットなのも特徴で、ライン取りの勉強にピッタリのレイアウトだ。今回、インフィールドは手前側の二輪用ではなく奥の四輪用を使ってい

お悩み1:車体の挙動が安定せずラインが乱れてしまう

正解:まずはフォームをしっかりと特にニーグリップを意識!

ライディングフォームに絶対的な正解はないが、ファンライド層が上手に走らせるためのセオリーは存在する。

中野さんは、「ライン取りを安定させるためにも基本のフォームはマスターしておくべき」と話す。

「例えばハングオフは、サーキットビギナーが憧れるヒザ擦りをするためではなく、重心を下げてコーナリングの安定性を増すことが目的。同じ旋回速度ならバンク角を少なくできるなどのメリットもあります。そしてハングオフで車体を安定させるためには、正しいライディングフォームが必須です」 

腰をズラすのはお尻の割れ目がシートの端に乗るくらいまで
腰をズラすのはお尻の割れ目がシートの端に乗るくらいまで
顎をイン側の手の甲に乗せるイメージで頭を下げる
顎をイン側の手の甲に乗せるイメージで頭を下げる
つま先でステップに乗り自由自在に荷重できるように
つま先でステップに乗り自由自在に荷重できるように
外側の内股でホールドし車体のバンク角を安定させる
外側の内股でホールドし車体のバンク角を安定させる

ハングオフでは、下半身での確実な車体ホールドが求められるが、このキモとなるのが、内転筋を使い外足の内膝から内腿あたりを燃料タンクにしっかり押し当てるフォーム。そのためには、燃料タンク後端と股間の間に、最低でも拳1個分のスペースを確保できる着座位置を意識したい。 

また、ステップは母趾球付近で踏むほうが足首の屈伸で外足のホールド位置を最適化しやすく、ステップ入力がしやすくなるためホールド性が増す。

×フォームが悪いと車体を自在に制御できない!

コーナリングは下半身の確実な車体ホールドが重要。不十分だと身体を支えられず、結果的に上半身の力を必要以上に使うことになり、ハンドルに旋回を邪魔するような入力を加えてしまう。写真や動画を撮るなどして自分のフォームを確認しよう
前乗りで背中ピーン
コーナリングは下半身の確実な車体ホールドが重要。不十分だと身体を支えられず、結果的に上半身の力を必要以上に使うことになり、ハンドルに旋回を邪魔するような入力を加えてしまう。写真や動画を撮るなどして自分のフォームを確認しよう
股を開いて上半身だけインに
股を開いて上半身だけインに
とにかく膝だけ無理矢理出す
とにかく膝だけ無理矢理出す

お悩み2:スロットルを開けられずタイトなラインで立ち上がれない

正解:なるべく早くマシンを立ててタイヤの中央寄りを接地させる

コーナー立ち上がりでスロットルをワイドオープンするためには、しっかりトラクションをかけられるように、車体をなるべく起こした状態にすることが必須。そのためには、クリッピングポイントを奥に設定し、立ち上がりの加速をする前の段階で車体の向きをしっかり変えておく必要がある。

「立ち上がりまでのライン取りや車速に問題がないのに、それでもタイトに立ち上がれないなら、スロットルを大きく開ける直前に、車体を起こし気味にする動作を加えてみてください」 

中野さんは、このようにアドバイス。身体をイン側に残しつつ車体をスッと起こすと、タイヤのセンター寄りが使えるようになるのだ。

身体はイン側に落ちたままでも車体は直立に近づける
身体はイン側に落ちたままでも車体は直立に近づける
【タイヤエッジのグリップは駆動力に負けてしまう】エッジ付近が接地しているバンク角が深い状態でスロットルを開けると、大排気量車だとパワーに負けてグリップせず、トラクションが抜けてタイトに立ち上がれない
【タイヤエッジのグリップは駆動力に負けてしまう】エッジ付近が接地しているバンク角が深い状態でスロットルを開けると、大排気量車だとパワーに負けてグリップせず、トラクションが抜けてタイトに立ち上がれない
【開け始めの数%は丁寧かつ繊細に!】中野さんは、「まずは開度15%前後までスロットルをスッと開けてチェーンの弛みをなくし、駆動力を後輪に少し伝え、接地感を探りつつリアタイヤのグリップを引き出してあげるイメージ」と解説する
【開け始めの数%は丁寧かつ繊細に!】中野さんは、「まずは開度15%前後までスロットルをスッと開けてチェーンの弛みをなくし、駆動力を後輪に少し伝え、接地感を探りつつリアタイヤのグリップを引き出してあげるイメージ」と解説する

お悩み3:クリップは奥に取れているのにどんどん外側にはらんでしまう

正解:旋回中はスロットルを閉じて向きが変わるまでガマン!

進入のラインはプロライダーとほぼ同じ。クリッピングポイントもしっかり奥に設定できているのに、なぜか立ち上がりでは自分だけがアウトにはらんで、スロットルを開けられない……なんて経験をしたことは無いだろか?「これはヘアピンのように回り込んだコーナーで起こりやすいのですが、進入のラインが合っていても、コーナーの中間で鋭く向きを変えないと、立ち上がりでクリップについたときにマシンが本来進みたい方向よりもだいぶアウト側に向いたままになるので、スロットルを開けることができないんです。

この原因は、ボトムスピードをしっかりと落とし切れていないから。速度が落ちてくると途中で不安になってスロットルを開けたり、開け始めが早くなりがちですが、ちょっとガマンして、スロットルを開け始めるのを待つと改善できることが多いですよ!」

筑波・コース1000でガマンの差が顕著に表れるのがこのコーナー。立ち上がり側がやや狭いので、アウトに膨らんだときに誤魔化せず、一気に遅くなる
筑波・コース1000でガマンの差が顕著に表れるのがこのコーナー。立ち上がり側がやや狭いので、アウトに膨らんだときに誤魔化せず、一気に遅くなる

お悩み4:進むべき方向は分かっててもうまくラインに載せられない

正解:進みたい方向に視線を送り次の操作を先取りする

「現役時代は自分自身も、つい気合いが入りすぎて近くの路面ばかり見ながら走ってしまい、後で反省するようなときもありました。本当は、視野を広く持つことで走りに余裕が生まれ、自分が思い描くラインをトレースしやすくなるんです。視線は超大切!」 

このように話す中野さんだが、ライパの先導をしていると、視線に関して他にもちょっと気になることが……。

「視野を広く持つのはいいことですが、逆に視線の方向が定まらずにあちこちキョロキョロしすぎている人や、あまりに先を見過ぎている人も……。コーナーポストの旗を見逃さないなどの大前提はあるのですが、基本は〝次に自分が進みたい地点を見る〞です」

ブレーキ開始時からコーナーの入り口に視線を送っておく
×いつまでも近くの路面ばかり見ると向かう方向が定まらない
×いつまでも近くの路面ばかり見ると向かう方向が定まらない
◎クリッピングですでに次のコーナーに視線を送って準備
◎クリッピングですでに次のコーナーに視線を送って準備
プロライダーも絶対に遠くばかり見ているわけではなく、近い路面の状況を確認したり、周囲を走っている他のマシンがどのような動きをするのかチェックしたりしている。でも、近くだけを見続けていると自分が進みたい方向が把握しづらく、次にするべき操作の準備も遅れがちなので、意識的に先を見て対処しているのだ

お悩み5:サーキットは広くて距離感が掴めずどこを走っているのか分からなくなる

正解:コース内外に目印を作っておき毎周同じ操作ができるように練習

「よく『プロレーサーはスゴい感性の持ち主だから、狙ったとおりのブレーキングができるんだ』なんて思われがちですが、これは間違い。じつは、コースサイドやコース上にあるさまざまなモノを目印にして、『この看板からブレーキをかけ始めれば絶対止まれる』とか、『この縁石から立ち上がれば絶対にコースアウトしない』など、何周もしながらデータを集めているんです。だからレースのときは、『あと30㎝奥までなら何とか突っ込めるか?』などの作戦立てに繋がるわけです」 

中野さんがこう話すように、プロは正確のラインのためのデータを集めている。これはぜひ見習おう!

【目印をコース図に書き込むのもオススメ】上の写真のような各地点にある目印を一気に覚えるのが難しい。事前にコースレイアウト図を用意し、走行中に気づいた目印をその都度書き込んでいくと、休憩中や帰宅後にイメージトレーニングしやすくなる

お悩み5:そもそも、どのラインが正解なのか分からない・・・・・・

正解:プロライダーの真似するのが上達の一番の近道!

コーナーのライン取りはアウト・イン・アウトが基本だが、S字カーブや複合コーナーになると、セオリーが通用しない場合もある。例えばライパのホームコースである袖ケ浦フォレスト・レースウェイは、右→右の3〜4コーナー、左→左の5〜7コーナー、大きな左の8コーナーなど、ライン取りが悩ましい区間が多い。

「だからこそライパに参加するメリットは大きいんです。先導ライダーが慣熟走行でもしっかり正しいラインを走りますし、希望すればフリー走行時間でも先導走行が可能ですから! ライン取りでも何でも、最初はわからなくて当然。だから、プロから教わればいいんです。もちろん私も質問にお答えするので、ぜひ気軽に声をかけください。私の話がいまいちピンとこなければ、他の先導ライダーにも聞いてみてください。あなたに合ったアドバイスが必ず見つかるはずです!」

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