安心して楽しめる高性能|ブリヂストン バトラックスハイパースポーツ S23
テスト走行を終えた青木宣篤さんは、興奮を抑え切れなかった。青木さんを唸らせたのは、ブリヂストンの新作タイヤ、S23だ。あらゆる性能をバランスよく高めたことで、高次元な「楽しい走り」を誰もが安心して堪能できる、新世代スポーツタイヤである。
PHOTO/ BRIDGESTONE TEXT/G.TAKAHASHI
取材協力/ブリヂストン
TEL0120-39-2936 https://www.bridgestone.co.jp/products/tire/mc/
すべての面で高性能化を達成なおかつ走りが楽しいタイヤ
まずは前作S22について語らせてほしい。’19年2月の発売以降、私はおそらく、世界でもっとも多くS22を履いたライダーではないかと思う。晴れの日も、雨の日も、暑い日も、寒い日も、S22で走った。
その結果、S22には99.99%満足しており、「これ以上のタイヤは登場しないだろう」とさえ思っていた。
念のため確認しておくが、S22は公道用スポーツタイヤだ。そして公道の路面は、サーキットとは比較にならないほど苛酷である。
ハイグリップの代名詞であるレーシングタイヤは、走る場がサーキットだけで、適正温度も限定的。限られた場面でのみハイグリップを発揮する、ピンポイントな設計だ。
一方の公道は、真逆だ。温度変化は激しく、速度域も幅広い。ドライから突然ウエットになり、凸凹があり、装着するバイクやライダーのスキルもさまざま。
その中でも安定して高いグリップを発揮させようというのだから、いかにも困難だ。それを高い次元で成し遂げていたのがS22だ。だから私は「これ以上はきっと無理」と思っていたわけである。
だが、ブリヂストンはやってのけた。路面変化の激しさはMotoGP以上の世界耐久選手権での経験などをもとにS22を全面的にアップグレードし、新作S23を誕生させたのだ。 これがもう、信じられないほど素晴らしい出来栄えだった。すでに十分すぎるほどの性能を備えていたS22を全面的に凌駕しているのだから、本当に驚きだ。
前後タイヤとも、グリップレベルは間違いなくS22を上回っている。強く感じたのはリアのグリップ向上だ。エッジからトラクションエリアでのグリップ力が高まっており、上位モデルであるRS11までも超えてしまいそうな勢いだ。
フロントは、S22で気になっていた0.01%の部分が解消していた。S22はブレーキングでセンター部がつぶれた時に、若干の重さを感じた(それが安心感にもつながっていた)。 しかしS23はケース剛性が上がり、センター部分がつぶれにくくなっている。これによりアジリティ(敏捷性)が高まり、今まで以上に思い通りのラインをトレースできるようになった。なおかつグリップ力が高まっているので、安心感はそのままだ。
このように前後ともパフォーマンスが高まっているのだが、特筆すべきは扱いやすさが損なわれていないことだ。ここで言う「扱いやすさ」とはかなりハイレベルで、滑り出し時のコントロール性を指す。
ハイグリップタイヤは限界が高いものの、限界を超えた時に一気にスライドが始まりがちだ。しかしS23は、グリップレベルがS22よりも高まっているにも関わらず、スライド開始がしっかりとライダーに伝わってくるので、より安心して攻められるし、より楽しい。
そう、S23はとても楽しいタイヤだ。これはグリップ力だけではなく、コントロール性も高めているから。ライダーの操作に対して、タイヤから分かりやすいフィードバックが伝わってくるので、心から楽しめる。
ショルダー部の溝比率とパタン剛性を、S22よりもさらに最適化。フリントはドライハンドリングと安定性、ウェットでのグリップ感を高めた。リアはトラクションを向上させつつ、ウェットでの安全性も確保している
全方位の性能を高めるという至難の業を成し遂げたタイヤだからこそ、幅広いスキルレベルのライダーにもオススメできる。本誌主催のライディングパーティのようなサーキット走行会ユースには、特に最適だ。
今まで以上のハイグリップと安心、そして楽しさが得られるS23。今度こそ、これ以上はなさそうだ。少なくとも、現時点では。
BRIDGESTONE BATTLAX HYPERSPORT S23
FRONT | REAR |
---|---|
120/70ZR17 | 160/60ZR17 |
180/55ZR17 | |
190/50ZR17 | |
190/55ZR17 | |
200/55ZR17 |