【ITALJET DRAGSTER300】独創スポーツスクーターが、排気量アップでさらに俊敏に
’22年型でデビューしたイタルジェットの新生ドラッグスターシリーズに、既存の200や125よりもパワフルなエンジンを組み合わせた300が追加された。車体の基本構成を継承しながら、一部装備のハイグレード化も施されている。さらに走りを磨いた新型300で、中野真矢さんがサーキットを激走!
PHOTO/H.ORIHARA, S.MAYUMI TEXT/T.TAMIYA
取材協力/イタルジェイジャパン TEL0538-24-7310 https://ital-j.jp/
速さと安定感を生む加速性能に優れたエンジン
’22年型で新生ドラッグスターが新登場して以来、200や125のノーマルあるいはカスタム仕様に何度か乗ってきましたが、この300でさらにこのシリーズが持つ特性を掴んだように思います。
まずエンジンは、さすが排気量がアップしただけのことはあります。とくに中間加速域で、グワッと盛り上がる力強さがあり、既存の200や125に乗ったことがある人なら、その違いにけっこう驚くと思います。
車体は、サイドスタンドが標準装備されていたり、ウイングレットが装着されていたり、カラーメーターを新採用するなどの違いがあるとはいえ、基本的な構造は200や125と同様。鋼管トレリスフレームとアルミ製プレートで構成されたむき出しの骨格に、ハブセンターステアリングの一種となる片持ち式スイングアームのフロント機構が組み合わされており、これが独特なハンドリングを生み出します。
過去の経験から、テレスコピックタイプのフロントフォークを採用した車種とは動きがかなり違うことは理解済み。おさらいすると、リアブレーキをかけることでフロントが沈み込んで荷重がかかるので、リアブレーキ中心でフロントブレーキを補助的に使うようにすると、スムーズに走れます。
サーキットでスポーティに走らせるときは、かなり深いバンク角のところまでリアブレーキを引きずり、車体姿勢を調整。フロントブレーキはフィーリングを掴むのが難しく、突っ込みすぎてしまったときに少しかける程度でした。
200と比べてもエンジンのトルクとパワーが増えたことで、コーナーの立ち上がりではリアにトラクションがかけられるようになり、よりアグレッシブに操縦しやすい印象。筑波サーキット・コース1000の短いホームストレートでも、最終コーナーをうまく立ち上がればメーター読みで116km/hまで記録できました。公道でも、力強い中間加速で一般道における交通の流れをリードでき、日本の高速道路なら巡航も問題ないと思われます。
フィット感と操縦性に優れたハンドルグリップの素材や、ハングオフしたときでさえポジションやホールド性が抜群にいいフロアボード形状など、細かいところまでこだわりが詰まっており、走らせる楽しさも十分。そして極めつけは、メカニカルで芸術的で最高にカッコいいこの容姿。大人の所有欲を満たしてくれるスクーターとして、これ以上の存在はありません。
ITALJET DRAGSTER300
エンジン | 水冷4ストローク単気筒SOHC4 バルブ |
総排気量 | 278cc |
ボア×ストローク | 75×63mm |
最高出力 | 23.8hp/8250rpm |
最大トルク | 26Nm/6250rpm |
変速機 | CVT式無段変速 |
クラッチ | 遠心乾式タイプ |
サスペンションF | I.S.Sシングルショックアブソーバースプリングプリロード調整可能 |
R | シングルショックアブソーバース プリングプリロード調整可能 |
ブレーキF | φ240mmシングルディスク+ブレンボ製2ポットキャリパー |
R | φ175mmシングルディスク+ブレンボ製1ポットキャリパー |
タイヤサイズF | 120/70-12 |
R | 140/60-13 |
全部×全幅 | 1885×750mm |
ホイールベース | 1350mm |
シート高 | 770mm |
乾燥重量 | 128kg |
燃料タンク容量 | 9L |
価格 | 96万8000円(99万5000円) |