自らの個性を高め続ける情熱のイタリアンブランド【BIMOTA/MOTO GUZZI/VYRUS】
イタリアのバイクブランドには、挑戦と競争、再編の中で築かれてきた紆余曲折の歴史がある。少しでもこれを知ることで、それぞれのブランドに対する魅力はさらに深まるはず。ここでは、スポーツモデルを手がけるメーカーを中心に、その歴史や現在の活動を紹介する。
TEXT/T.TAMIYA
【BIMOTA:Since 1973】趣味のレースから始まった独創のアイデンティティ
前身となる空調設備会社の創業者のひとりで、後にドゥカティの916やMVアグスタのF4などをデザインすることになるマッシモ・タンブリーニが、1972年にクラッシュしたCB750フォアを修復するために制作したオリジナルフレームが評判を呼び、車体メーカーに転身。
他社製エンジンを使い、高品質な車両をハンドメイドで作り続ける。また、ハブセンターステアリングのTESIシリーズなど、その独創性でもファンの心を掴んでいる。2019年からはカワサキが出資し、同社を多方面から支援する。
カワサキのサポートでラインナップ拡大中
ビモータとカワサキの共同出資で2019年に合弁会社を設立。エンジンなど主要コンポーネントの供給や販売網の整備などで、再生をサポートしている。また来季は、カワサキの指揮でビモータがスーパーバイク世界選手権に復活予定だ。
【MOTO GUZZI:Since 1921】縦置きVツインにこだわるイタリア最古のブライド
現在するイタリア二輪メーカーでは最古で、創業は1921年。当初はレース活動に積極的で、スーパーチャージャーやV型8気筒エンジンまで手がけたことがある。1957年にレースから完全撤退。1965年のV7発表以降は、この機種で初採用したクランク縦置きの空冷90度Vツインエンジン+シャフトドライブに一貫してこだわってきた。
創業100周年を迎えた2021年秋発表のV100マンデッロは、依然としてクランク縦置きVツイン+シャフトドライブの構成ながら、ついに水冷DOHC化。電子制御もかなり現代的な内容となった。
縦置きVツインの歴史はこのモデルから始まった
天才設計者のジュリオ・チェザーレ・カルカーノが原型を生み出した、クランク縦置きでシャフトドライブの空冷90度Vツインエンジンを搭載。
【VYRUS:Since 2001】最高級マテリアルを使い機能を追求する職人工房
創業者のアスカニオ・ロドリゴは、ビモータ・テージの開発に関わった人物。1983年発表のテージ・プロト1をはじめ、1985年に自身のワークショップを立ち上げてからも、ビモータのプロトタイプマシン開発を手がけてきた。
ところがビモータは2000年に倒産。そこで、パテント制約がなくなっていたテージのハブセンターステアリング機構を受け継ぎ、さらに進化させ、2002年に最初のモデルが発表された。その後も少量のハンドメイドモデルを生産。2011年にMoto2マシンを発表したことでも話題を集めた。