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【CBR600RR/Ninja ZX-6R KRT EDITION/GSX-8R】日本のフルカウルミドル それぞれでの生存戦略【総括/優しさと奥深さの共存が フルカウル・ミドルスポーツの真髄】

一般ライダーがサーキットでファンライディングを楽しむためのマシンとして、推奨されることも多いのが、ミドルクラスのフルカウルスポーツモデルだ。とはいえそのキャラクターや長所は、車種ごとに広い振り幅があり、異なっている。’24年に新登場、あるいは熟成された3機種に中野真矢さんが乗り、それぞれの魅力を掘り下げる。今回は中野真矢さんによる総括。

PHOTO/S.MAYUMI TEXT/T.TAMIYA

取材協力/
スズキ TEL0120-402-253
https://www1.suzuki.co.jp/motor/

カワサキモータースジャパン TEL0120-400-819
https://www.kawasaki-motors.com/

本田技研工業 TEL0120-086-819
https://www.honda.co.jp/motor/

排気量はミドルでも楽しさはビッグクラス

個人的な好みとして、サーキット走行を趣味として楽しむなら、初中級者だけでなく上級者でも、ミドルクラスのスポーツモデルは楽しみが多いのではないか……と感じています。リッタークラスと比べて軽く、もちろんエンジンパワーは劣るとはいえ、250〜400ccクラスと比べたら十分な加速力もあります。

リッタークラスの場合、いかにコーナーをコンパクトに曲がりパワーを有効に使って加速させるかがポイントですが、ミドルクラスになるとそれだけではダメで、ライン取りにもリッターとは違った工夫が必要。そんなところにも奥深さがあり、ライディングパーティでミドルスーパースポーツに乗っている参加者を見て、「おっ、ツウですねえ……」なんて呟いてしまいます。

パワーや車格は、大き過ぎれば恐怖心につながる要素。怖さを感じてしまうと、サーキットライディングを長く続けようという気にはならないだろうし、上達の妨げになることも多いはず。やっぱりバイクはまず楽しくなくちゃ……と考えたとき、多くのライダーにとって、フルカウル・ミドルを愛車にすることは、ひとつの最適解になるはずです。だからこそ、国内外のメーカーが揃ってナンバー付きミドルスーパースポーツをラインナップする時代は終わってしまったとはいえ、フルカウル・ミドルにはまだまだ存在意義があると確信しています。

そしてロードレースの世界でも、600ccは重要な役割を担っています。レーサーの場合、近年の4ストローク世代は250cc → 600cc → 1000ccとステップアップするのがセオリー。250ccからいきなり1000ccでは、ちょっと厳し過ぎます。もっとも、その点はメーカーも十分に理解しているからこそ、公道用とは別にレースベース車として600ccスーパースポーツを製造し続けているわけですが……。

ちなみに、実車のテストが大幅に制限されている現在のMotoGPでは、トレーニングで600ccスーパースポーツに乗るライダーが大勢います。これは、重過ぎず速過ぎないマシンに乗ることで、理想とするマシンコントロールを着実に反復練習できるからでしょう。

さて、話題がレースに逸れてしまいましたが、ファンライドを目的とした一般ライダーにも、フルカウル・ミドルは一度乗ってもらいたいカテゴリー。レースと同じく250ccや400ccからステップアップする人たちにも当然ながら最適ですが、リッタークラスに疲れたり持て余し気味だったりするライダーにも、検討してもらいたいと願っています。

これまでリッタークラスに乗ってきた人の中には、エンジンスペックや装備だけを比較して、「ミドルでは楽しめないのでは?」なんて思う人がいるかもしれませんが、心配は無用。だって、僕はMotoGPマシンに何年間も乗ってきましたが、フルカウル・ミドルに乗ってもやっぱり「気持ちいい!」と感じますから。

今回乗った3台を端的に表わすなら、すぐにでもレースに参戦できそうな鋭さがあるCBR600RR、それよりはもう少し肩肘張らずに操れるZX-6R、この2台とは完全に離れた立ち位置でフレンドリーな乗り味のGSX-8Rという感じです。ガチでラップタイムを競ったら、先に並べた順位になるでしょうが、楽しさのランキングは人それぞれ。サーキット以外でどのように愛車を使うかでも、きっと評価は違ってくると思います。

とはいえ、どれを選んだとしても、ここまでに挙げたフルカウル・ミドルの長所は共通。きっとスポーツライディングを満喫できます。

ちなみに、今回のテストで私が最終的に一番おもしろいと感じたのは、同じペースでずっと走り続けられるGSX-8R。速さより楽しさを優先するなら、サーキットでもいい選択肢だと思います。(中野真矢)

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