DIRTSPORTS】K-cross監修 オフ車セットアップ&メンテクリニック 〜クラッチレバーの位置をベストポジションへ〜【メンテナンス】
今回はライディングに密接して重要な割に、見過ごされがちなアクセルやクラッチのポジション、調整などについて解説してもらおう!
PHOTO&TEXT/DIRTSPORTS
ファンバイクのクラッチ異変が生じた時はエンジン側の調整が必要!
今回のメンテナンス企画は、理想のレバーポジションに関して解説してもらった。まず前提としてはなるべくレバーと指が近く、コントロールしやすいポジションとなるようにセットしてみよう。バイクを操る上で大切なブレーキとクラッチレバーのポジションは、上級ライダーになるほど細かく、シビアに調整している。ぜひこれを機会に自分のバイクのレバーポジションを見直してみよう。
ZETAから販売されているピボットレバーは人気商品だが、この調節機能をフルに活かしていないのなら勿体無い。今回紹介しているように、まずはレバーの位置をアジャスターで決め、さらにレバーの角度を変えることができる。自分の手や指のサイズ、操作する指などを考慮して、最もよいポジションを構築してみてはいかがだろうか。
他にもファンバイクのクラッチ調整も解説。何か調子がおかしいなと思ったら、エンジン側のクリアランス調整を確認することをお勧めする。
ヤマハ、ホンダから現行モデルとして発売されているファンバイクの代表格「TT-R125LWE」と「CRF125F」。扱いやすく人気のあるモデルだが、マディ走行などエンジンに熱が発生した際はクラッチのクリアランスが変わりやすいので要注意。「クリアランスがなさすぎると、発熱した時にクラッチが滑ってしまうので、ここは頻繁に見ておいた方が良いです」と加藤店長は話す
「クラッチが減った分だけ調整が必要!」
TT-R125LWEやCRF125F(昔のXRやスーパーカブなども)などのファンバイクのエンジンは昔ながらの旧式なものが多い。またレーサーのように気軽にクラッチ分解点検することが難しいものでもある。「クラッチがやたら滑る」「クラッチの寿命が短い」など、異変を感じたら、まずはエンジン側の遊びを調整し、その上でケーブルで調整しよう。
クラッチの動き始めでマークがずれていないかを確認、ずれていればカバーを開けて中のクリアランスを調整しよう。エンジンオイルを抜きカバーを外して、クラッチBOXのロックナット、アジャストスクリューでクリアランスを調整する。要は熱膨張した時に半クラ状態になるのを防ぐのだ。ファンバイクユーザーは「クラッチが減った分だけ調整が必要!」と覚えておきたい。例えればブレーキシューの印のようなもので、外から見て点検できるので、頻繁に見る癖をつけよう
理想のクラッチレバーポジションを探る
人それぞれ好みのポジションや操作方法があるので正解はないが、加藤店長の考える理想は、ライダーが最も楽に指を届かせることができ、人差し指や中指1本での操作で切った際にバイクが進まないところを探る。それに加えて疲労時に指1本での操作が苦しい場合、数本の指でも切れるような場所にセットすることで、長丁場のレース、走行にも対応できるというわけだ
こちらはクラッチレバーを切った時の当たる場所を調整するための機構。角度があるほどクラッチを切る時に指に当たりにくくなる。クラッチ操作で指に干渉してタコができる場合は、ここで調整するとよい
スタート位置・距離とレバー角度の2箇所を調整可能
国産レーサーの純正クラッチレバーはダイアルなどで位置を調整できるだけだが、市販(写真はZETA ピボットレバー)はレバー自体のスタート位置の調整と、レバー自体の角度を2箇所で調整することができる。写真はスタート位置の調整。まずレバーに触らない状態でのスタート位置を決める。ねじ込むとレバーが近くなり、緩めると離れる
レバーと指は近い方が良い
先月号でも紹介したが、レバーポジション合わせの大前提となることなので、再度お伝えしよう。手の小さい人や力が弱い女性もいるので、人差し指1本で操作というわけにはいかず、中指、薬指、小指を全て使わなくてはいけない人もいるだろう。ただ全体的に言えるのはブレーキ、クラッチレバー共に指から近い方がいいということ。
特にブレーキは近くから握り始めることができればコントロールしやすく、グッと握り込んでも残りの指を挟まなくても効くポジションがベスト。レバーの根元での操作はコントロールしやすく、反対に軽い操作感で楽をしたいなら外側を使おう。ただこの場合遊びを確保する分だけ、初期の入力調整がしづらく、操作に時間がかかるデメリットもある。いずれにしても近くからコントローラブルに操作できる位置を決めたい