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【ライディングフォームの新セオリー/走れるフォームのポイント】Part1:ハンドルを操作する

PHOTO/S.MAYUMI, H.ORIHARA, T.FUCHIMOTO, SUZUKI, Red Bull TEXT/G.TAKAHASHI
青木宣篤 Nobuatsu Aoki
全日本ロード、鈴鹿8耐、そしてMotoGPと、国内外のトップレースで活躍。MotoGPでは、ブリヂストンタイヤやスズキGSX-RRの開発ライダーも務め、ライディングやメカニズムの知識と経験を積み重ねた。’22年に現役を引退し、現在は日本全国を駆け巡りライディングを指南

しっかりとハンドルを押すそのための「肘ロック」

スポーツライディングの要と言ってもいいハンドル操作には、かなりの強度の力が、想像以上に長い時間にわたって求められる。 

そもそも「ハンドルから力を抜いて」と言われることが多いだろうから、違和感があるかもしれない。 

しかしバイクは、ほぼハンドルで操る乗り物なのだ。さすがに「ハンドルがすべて」とまでは言わないが、スピードが上がれば上がるほど直進性が高まり、起きようとしてくる。曲がりにくくなったバイクを寝かせて曲がるためには、コーナーイン側のハンドルを肩から押すのがもっとも効果的なのは、れっきとした事実なのだ。 

ただフワッと持っているだけでは、何も始まらない。「ハンドルはバイクを操るための最重要パーツだ」と意識し、ここにこそ力を込めてほしい
ただフワッと持っているだけでは、何も始まらない。「ハンドルはバイクを操るための最重要パーツだ」と意識し、ここにこそ力を込めてほしい

ブレーキングから倒し込みにかけて、肩からイン側のハンドルを押す。この時、減速Gによって発生した力を余すことなくハンドルに伝えるために、肘をロックする。肘から力が抜けて可動を許してしまう││つまり肘がフワフワと曲がる状態になっていると、せっかくの「押す力」が逃げてしまう。 

ブレーキング開始からクリッピングポイントに至るまで、しっかりとイン側ハンドルを押す方向に力が加わるように、肘ロックは外さない。

このことを意識し、実現してさえいれば、形はどうでもいい。人によって腕の長さも違えば、上体の柔軟性も違うからだ。

ブレーキングから倒し込みにかけては、体重以上の重さをハンドルに乗せる

多少力が抜けている状態(上)から、クッと腕に力が入っている状態(左)へ。この力の加え方が重要。

ハンドルを握り締めるのではなく、腕全体をキュッと筋張らせるイメージだ。

【肘をロックする】減速すると慣性力で体は前に持って行かれる。速度が上がれば慣性力は強くなる。肘ロックでそれを逃がさずハンドルに伝えれば、体重以上の力が活用できる
【肘をロックする】減速すると慣性力で体は前に持って行かれる。速度が上がれば慣性力は強くなる。肘ロックでそれを逃がさずハンドルに伝えれば、体重以上の力が活用できる
【手のひらの小指側を押さえつける】肩、肘、そして手首と伝わってきた力は、最終的にはハンドルグリップのもっとも外側、つまり手のひら小指側を通して、バイクに加わる
【手のひらの小指側を押さえつける】肩、肘、そして手首と伝わってきた力は、最終的にはハンドルグリップのもっとも外側、つまり手のひら小指側を通して、バイクに加わる

イン側ハンドルを押しバイクを操作する

肩からイン側ハンドルを押すとバイクが傾く。角度が付くにつれ遠心力に抗うため体をイン側に落とすが、クリッピングポイントまではハンドルを押し続ける。

【水平方向】ハンドルはただ闇雲に押すだけではない。コーナーの曲率やスピードに合わせて、押す力をコントロールすることが必要だ。高速コーナーではもっとも強い力が働く水平方向に押すといい
【水平方向】ハンドルはただ闇雲に押すだけではない。コーナーの曲率やスピードに合わせて、押す力をコントロールすることが必要だ。高速コーナーではもっとも強い力が働く水平方向に押すといい
【押し込み・引き上げ方向】低速ヘアピンなどでは、押し込みや引き上げが有効。ハンドルへの入力は一方的だけではない
【押し込み・引き上げ方向】低速ヘアピンなどでは、押し込みや引き上げが有効。ハンドルへの入力は一方的だけではない

そうは言ってもコレはNG

最近のレーシングライダーの型を真似して肘を張る人は多いが、十分な力を入れないとせっかくの力が逃げるだけ。

昔からのライダーには肘を絞りすぎる人も目立つが、これも今の幅広ハンドルでは無効。

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