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【ライディングフォームの新セオリー/走れるフォームのポイント②】Part02:下半身でホールドする

PHOTO/S.MAYUMI, H.ORIHARA, T.FUCHIMOTO, SUZUKI, Red Bull TEXT/G.TAKAHASHI
青木宣篤 Nobuatsu Aoki
全日本ロード、鈴鹿8耐、そしてMotoGPと、国内外のトップレースで活躍。MotoGPでは、ブリヂストンタイヤやスズキGSX-RRの開発ライダーも務め、ライディングやメカニズムの知識と経験を積み重ねた。’22年に現役を引退し、現在は日本全国を駆け巡りライディングを指南

ハンドル操作のために下半身でタメを作る

下半身ホールドは、「上半身をリラックスさせるため」と言われることが多い。しかし私が提唱するスポーツライディングでは、むしろ逆だ。 

私にとっての下半身ホールドは、ハンドル操作にあたって瞬間的に大きな力を発揮するために、下半身にタメを作る、という意味合いである。つまり、上半身が強大な力を放つために、下半身にも力を入れる、という二段構えの考え方だ。 

野球やゴルフでは、まず下半身を回転させてタメを作り、力を蓄える。そしてバットやクラブでのインパクトの瞬間に、下半身に蓄えておいた力を一気に解放させる。バイクも同じイメージを持ってほしい。

バイクを観察すると、シート、タンク、フレーム、そしてステップなど、下半身ホールドのために作られた造形が多い。それだけ重要だからだ

スポーツライディングフォーム論において下半身について言及する時、多くの場合は「どのようにヒザを開くか」に終始する。見た目に分かりやすい「型」だからだ。 

しかしヒザ以前の問題として、まずしっかり下半身ホールドできているか、ホールドによる力をハンドル操作に生かせているかを見直したい。 

フワッと乗っているように見えるライダーのほとんどは、下半身ホールド不足だ。タンクを挟んだ時、足がプルプルと震えてしまうぐらいの強さから始めてほしい。

それがあなたの100の力だとしても、それはMotoGPライダーの0にも満たないことを想像しながら。

手が入らないほどの強さで、タンクをバチッと挟むのが基本

「ニーグリップしてください」と言っても、たいてい力不足だ。タンクを凹ませるぐらいの強さで、隙間なくバチッと挟み込んでほしい。

タンクと内モモの間に手が差し込めるようでは不十分だ。

使えるモノはすべて使ってバイクと体の接点を増やす

下半身ホールドこそ、「型」は人それぞれ。足の長さや股関節の硬さにはかなり差があるからだ。外足全体でホールドできなくても、足のどこかがタンク上部の張りに引っかかっていればOK

【シートの角】

コーナーイン側に体を落とす時は、シートの角におしりの割れ目を引っかける。バイクが体に接する部分の造形は、余さずに活用できる

レースシーンで見られる「両足外し」もホールドがあってこそ

ブレーキングでイン側の足を外す光景はお馴染みが、最近ではあえて両足をステップから離すことも。

制動Gを最大限に生かすためだが、外足ホールド自体は内モモでこなしている。

そうは言ってもコレはNG

この写真と上の写真を見比べると、レーシングスーツ内モモのジャージ部分の色でニーグリップの緩さが分かる。ほんのわずかな違いのように見えるが、これが大きな走りの差を生む要因だ。

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