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【ライディングフォームの新セオリー/走れるフォームのポイント③】Part03:ステップ荷重する

PHOTO/S.MAYUMI, H.ORIHARA, T.FUCHIMOTO, SUZUKI, Red Bull TEXT/G.TAKAHASHI
青木宣篤 Nobuatsu Aoki
全日本ロード、鈴鹿8耐、そしてMotoGPと、国内外のトップレースで活躍。MotoGPでは、ブリヂストンタイヤやスズキGSX-RRの開発ライダーも務め、ライディングやメカニズムの知識と経験を積み重ねた。’22年に現役を引退し、現在は日本全国を駆け巡りライディングを指南

足の置き方は自由だが常に下半身ホールドを意識

ステップへの足の置き方そのものは、何でもいい。足の大きさ、足首の硬さ、履いているブーツの可動性、そしてリアブレーキの使用頻度などが、人それぞれに異なるからだ。

大切なのは、「操作しやすいこと」だ。操作さえしやすければ、足はどう置いてもいい。では、ステップまわりにおける操作とは何だろうか。

「ステップワーク」という言葉をよく聞くと思うが、私の見解としては、ステップワークによってバイクをコントロールすることは難しい。バイクを意のままに動かすためのものというより、先に説明した下半身ホールドを強化するためであり、ひいてはハンドル操作に力を込めることが主目的だと考えている。

ただステップを踏むことだけを考えるのではなく、下半身ホールド、そしてハンドル操作まで意識が及ぶと、荷重の理解が深まるはず
ただステップを踏むことだけを考えるのではなく、下半身ホールド、そしてハンドル操作まで意識が及ぶと、荷重の理解が深まるはず

意識したいのは、反作用だ。左足ステップを踏む時は右前方向に、右足ステップを踏む時は左前方向に、できるだけ大きな力を加えるようにする。例えば左足なら、ステップを強く踏み込むことで左足内モモの車体への密着度をひときわ高める、というイメージだ。 

そしてもうひとつ大切なのは、足を固定しないこと。「ステップを踏む」と言うと、どんな場面でも同じ姿勢で踏む人も多いが、状況に合わせて積極的に動かして、もっとも下半身ホールドの度合いが高まるポジションを探そう。

リアブレーキ多用派なら土踏まずをそうでないならつま先でステップに加重

私はリアブレーキ多用派なので、ペダルが踏みやすいよう土踏まずでステップを踏み込む。しかしあまりリアブレーキを使わない/使えない場合は、つま先立ちの方がステップに力を加えやすい。モモがプルプルするぐらい踏もう

ステップの上では軽やかに踊る

ステップ上では足を固定しない。加速、減速、旋回の各シーンで変化するポジショニングに応じ、もっとも外足ホールドが利くようステップ上で足を踊らせる。

ヒールガードはただのガードに非ず

ヒールガードはただのガードに非ず「使えるモノはすべて使う」はステップまわりでも同様。ヒールガードも体に接する重要パーツだ。

かかとを押しつける方向に力を加えることで外足ホールド力が高まる。

シフト操作後はつま先立ちに

シフト操作する左足はかなり忙しい。土踏まずでステップを踏み、つま先でシフトペダルを上下した後は、そのつま先を瞬時にステップに戻す。短時間でもこの動作を習慣づけたい。

そうは言ってもコレはNG

つま先を開く

ステップに関する唯一の禁止事項は、イン側のつま先を開くことだ。この体勢では、イン側にずらした体重を効果的な力としてバイクに伝えることができない。つま先を擦りブーツを傷める恐れも。

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