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【ライディングフォームの新セオリー:EX】スポーツライディングの極致、最新MotoGPライディングフォーム考

PHOTO/S.MAYUMI, H.ORIHARA, T.FUCHIMOTO, SUZUKI, Red Bull TEXT/G.TAKAHASHI
青木宣篤 Nobuatsu Aoki
全日本ロード、鈴鹿8耐、そしてMotoGPと、国内外のトップレースで活躍。MotoGPでは、ブリヂストンタイヤやスズキGSX-RRの開発ライダーも務め、ライディングやメカニズムの知識と経験を積み重ねた。’22年に現役を引退し、現在は日本全国を駆け巡りライディングを指南

速いヤツのフォームを真似るそれだけでは進化はしない

最近のMotoGPライダーは本当に凄まじい。重くてパワフルなマシンを信じられないほどの精度で操っている。彼らのライディングスキルは、私が現役GPライダーだった頃と別次元にある。心から尊敬に値する。

MotoGPのタイヤがワンメイク化されて15年になる。ミシュランでは8年目だ。このタイヤワンメイク化が、ある意味でライダーを鍛えた。

どのライダーも同じタイヤを履き、その中で優劣を決するのだから、徹底的にタイヤを使いこなさなければならない。グリップ力を最大限に引き出しながら、そのグリップ力をできる限りレース終盤まで維持する。それが今のライディングフォームを生み出している。

面白いのは、誰かがライディングフォームにおいてブレイクスルーを果たすと、みんなこぞって真似をする、ということだ。「速いヤツが正解」と、実に分かりやすい。近年ではバレンティーノ・ロッシの足出しやマルク・マルケスのフォームが世界中でコピーされた。きっとあなたも真似しているはずだ(笑)。

ただし、「型」だけの真似は、レースでは通用しない。どこに、どのように力を入れればいいのかをMotoGPライダーたちは体で理解し、実践している。だからこそ年々タイムが向上し、MotoGP全体がレベルアップを続けているのだ。

体を大きくインに落とすワケ

同じタイヤでタイムを削るには、旋回速度を上げたい。すると遠心力が高まり、マシンは外にはらもうとする。

これに抗うべく、体でイン側に引き込んでいる。

フォームが似るのはワンメイクタイヤゆえ

限られた条件下でできるだけ速く走ろうとすると、同じようなライディングフォームに行き着く。

小排気量マシンはその傾向が顕著だ。

大排気量のMotoGPでもタイヤワンメイク化によってフォームが似てきた。

フォームの違いはもちろんあるが結局キモはブレーキング

現役選手にフォームについて尋ねると答えはたいてい「自然とこうなるんだよね」。それよりどれだけ短時間で止めるかに全力を注ぐ。

【反り腰のマルク・マルケス】「やってはいけない姿勢」の筆頭に挙げられる反り腰。この姿勢でも速く走れるのは、マルケスが並はずれた体幹の持ち主だからだ
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【意外とスタンダードなジャック・ミラー】ミラーのフォームはセンターに体を残す昔ながらのスタイル。これで十分速いのだから、大事なのは「型」よりも入力だと分かる
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MotoGPに超新星現る! ブレーキングをさらに極める弱冠20歳のP.アコスタ

2024年MotoGPにステップアップした「新人」ペドロ・アコスタだが、序盤戦から強豪ライダーをブレーキングで抜き去るシーンを連発。かけ始めからリリースまでのブレーキコントロール精度がズバ抜けており、あのマルク・マルケスもタジタジだ。こういう超新星が出現するから、MotoGPは面白い。

【マルク・マルケス】MotoGPで6度戴冠している絶対王者だが、武器のブレーキングでアコスタに抜かれるシーンも。ふたりの争いは激化しそう
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【ペドロ・アコスタ】’21年にMoto3で、’23 年にMoto2で王者となり、今季MotoGPへ。すでに表彰台を獲得。来季はKTMファクトリー入りだ
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アコスタの極端な肘ロックに注目!ハンドルへの入力度合いはピカイチ

各ライダーのイン側の肘に注目してほしい。フォームは違えど、しっかり肘ロックしている点は共通。中でもアコスタは肘がピンと張るほど極端にロックしているのがよく分かる。

ハンドルにかなり力を加えて操作している証であり、クリッピングポイントに至るまで高精度にブレーキコントロールできる要因でもある。

ペドロ・アコスタ
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ホルヘ・マルティン
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ミゲール・オリベイラ
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ジャック・ミラ
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