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【ハスクバーナ ヴィットピレン801】モダンな装備とデザインでロードスターとしての性能を高めた

2024年10月に発表後、11月に開催されたEICMA2024で初めて実車が展示された、ニューモデルのヴィットピレン801に試乗することができた。同社最大排気量のロードスターはいかなる進化を遂げたのだろうか?フランスのニースで開催された国際試乗会でのインプレッションをお届けする。

【河野正士】
二輪専門誌の編集スタッフを経てフリーに転身したバイクライター。国内外の新車発表会に参加するほか欧州のイベントも取材する
PHOTO/M.CAMPELLI, S.ROMERO TEXT/T.KOHNO
取材協力/KTMジャパン TEL03-3527-8885 
https://www.husqvarna-motorcycles.com/

欧州や北米を中心に人気が高い1000cc以下のスポーツバイク(ソフトスポーツバイクカテゴリー)に、ハスクバーナが新たに投入した本命馬こそ、このヴィットピレン801だ。

振り返ると、2024年はハスクバーナにとってビッグイヤーだった。排気量399cc単気筒エンジンを搭載した401シリーズを一新。

さらに701シリーズを進化させ、高圧鋳造アルミ製クランクケースを採用した位相75度クランクと、CFD流体解析によって導き出した吸気ポートを搭載した799cc直列2気筒の新型エンジンを開発。

CF MOTOとのジョイントベンチャーが開発した最新の2気筒を採用。一部排気管を見せるアンダーカウルはヴィットピレン801の専用デザインのパーツだ
CF MOTOとのジョイントベンチャーが開発した最新の2気筒を採用。一部排気管を見せるアンダーカウルはヴィットピレン801の専用デザインのパーツだ

そのエンジンをフレームの一部として利用する新設計のトレリスフレームを持つ、新型801シリーズをリリースした。

また、スヴァルトピレンとヴィットピレンというラインナップは継承しながら、スヴァルトピレンはよりロード寄りに、ヴィットピレンはバーハンドルを採用してカフェからロードスターへと路線変更。

これにより両モデルのキャラクターを近づけ、401と801ファミリーをロードスポーツモデルとして、より強く印象づける戦略を取るようになった。

位相75°、不等間隔爆発の直列2気筒エンジンは、バランサーによってしっかり躾けられとてもスムーズ。そして低回転域から盛り上がる豊かなトルクによって、アクセル操作に対する車体の反応が驚くほど軽い
位相75°、不等間隔爆発の直列2気筒エンジンは、バランサーによってしっかり躾けられとてもスムーズ。そして低回転域から盛り上がる豊かなトルクによって、アクセル操作に対する車体の反応が驚くほど軽い

今回試乗したヴィットピレン801は、その中でもっともスポーツ色の濃いモデルだ。このマシンで、現在の二輪市場で主流となりつつあるソフトスポーツバイクカテゴリーで、確固たる地位を築こうという、同社の強い意志が感じられる。

先に発売されたスヴァルトピレン801とはプラットフォームをはじめとする多くのコンポーネンツの他、レイン/スタンダード/スポーツ/ダイナミック(オプション設定)の走行モードのマッピング、各種電子制御などを共有している。

しかしながら、前傾が増したライディングポジションやロードスポーツタイヤの選択、それに合わせた前後サスペンションのセッティングで、ヴィットピレン801のためだけに仕立てられたスポーティなハンドリングが楽しめるようになっている。

シート高は820mmだが、シート先端と燃料タンク後端が絞り込まれているため足つき性は良い。ライディングポジションは程良い前傾。ライダー身長:170cm /体重:65kg
シート高は820mmだが、シート先端と燃料タンク後端が絞り込まれているため足つき性は良い。ライディングポジションは程良い前傾。ライダー身長:170cm /体重:65kg

具体的にはサスペンションの減衰力を高めることで、コーナーへのアプローチ時にフロント荷重が増えたときの安定感が増し、そこから車体をバンクさせていく際の軽快さも併せ持っている。

バータイプのハンドルは低くて幅広の設定。さらにはトップブリッジとハンドルを繋げるクランプによってハンドルをやや車体前方にセットし、程良い前傾ポジションを作り上げている。

ステップ位置はスヴァルトピレンと共通ながら、前傾が増したライディングポジションを最適化するための硬めのシートフォームを採用。

これらの変更により、各走行モードのマッピングは共通なのに、ヴィットピレン801の方がスロットル操作に対してややビビッドに車体が反応し、その分だけライダーのスポーツマインドをかき立ててくれる。

スポーツするモダンネイキッド。ヴィットピレン801は、まさにそんなバイクである。

ハスクバーナ ヴィットピレン801

リング状のLEDポジショニングライトとBi-LEDプロジェクターを組み合わせた新ヘッドライトシステム。ヴィットピレン801の特徴的なディテールとなっている
リング状のLEDポジショニングライトとBi-LEDプロジェクターを組み合わせた新ヘッドライトシステム。ヴィットピレン801の特徴的なディテールとなっている
シート高や形状はスヴァルトピレンと共通だが、内蔵するフォームを変更。やや固い素材とし、このモデル特有の足まわりやポジションに対応している
シート高や形状はスヴァルトピレンと共通だが、内蔵するフォームを変更。やや固い素材とし、このモデル特有の足まわりやポジションに対応している
5インチTFTディスプレイも801シリーズ共通。専用アプリを使用すればスマートフォンを接続可能で各種機能を拡張できる。USB-Cコネクターも装備する
5インチTFTディスプレイも801シリーズ共通。専用アプリを使用すればスマートフォンを接続可能で各種機能を拡張できる。USB-Cコネクターも装備する
さまざまなメニューを操作する左グリップのスイッチ類。シンプルなレイアウトで操作しやすい。オプションのクルーズコントロールのスイッチもここに配置
さまざまなメニューを操作する左グリップのスイッチ類。シンプルなレイアウトで操作しやすい。オプションのクルーズコントロールのスイッチもここに配置
ブレーキシステムは前後ともにスペインのJ.Juan製。格子状の補強をデザインとして見せるアルミスイングアームを採用。これらも801シリーズ共通アイテム
エンジン水冷4ストロークDOHC4 バルブ直列2 気筒
総排気量799cc
ボア×ストローク88.0×65.7mm
圧縮比12.5:1
最高出力105hp/9250rpm
最大トルク87Nm/8000rpm
変速機6速
クラッチPASCスリッパークラッチ
フレームクロームモリブデン鋼チューブラーフレーム
キャスター/トレール24.5°/97.9mm
サスペンションFWP製APEX43mm倒立タイプ(伸側圧側減衰力調整)140mmトラベル
RWP製APEX(伸側減衰力およびプリロード調整)/ 150mmトラベル
ブレーキFφ300mmダブルディスク+ラジアルマウント4ピストンキャリパー
Rφ240mmシングルディスク+1ピストンキャリパー
タイヤサイズF120/70ZR17
R180/55ZR17
ホイールベース1475mm
シート高820mm
車両重量180kg
燃料タンク容量14L
価格未定

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