【バイク女子部のRide on Time】初めてのピットクルーはやることいっぱい!

Facebookグループ「バイク女子部」が、日々のバイクライフを綴る連載ページ今回は、サーキットを観るのも走るのも大好きなバイク女子部の林香織が、初めてピットクルーを体験するバイク仲間の佐野由里子さんに感想を聞きました!ドキドキしかない初サポートの様子をお届けします。
PHOTO/BIKE JOSHIBU、 H.YAMAGISHI
TEXT/K.HAYASHI
新人ばかりでレースチーム結成!
2024年の11月は、毎週末のように筑波サーキットまで通いました。というのも、1週目の「テイスト・オブ・ツクバ」から始まり、2週目の「クラブマンロードレース」、3週目は「筑波ツーリスト・トロフィー」と、秋のレース祭りだったからです。レース好きのライダーと仲間たち、出展者、観客でサーキットは賑わっていました。
どのレースも、アマチュアライダーが愛車で参加する、いわゆる「草レース」の大会で、この日のために仕上げた自慢のマシンをサーキットで走らせて戦います。
私はほとんど観戦ばかりでしたが、今回は大きく違いました。仲間のライダーが意を決して32年ぶりに筑波のレースに復帰することとなり、「MAX10」というスプリントレースに出場することになったのです。
「それならサポートしなくちゃいけない!」ということで、ほぼ実戦未経験の手作りチームが発足することとなりました。
今回出場する「MAX10」は、「クラブマンロードレース」とのコラボ開催となっています。サーキットの自己申告タイムによってクラス分けがされているので、技量に合わせたクラスに参加できます。
MAX10グループ主催の臼井さん自らも出場していて(すごく速い!)、「レースは楽しくないと!」という主旨なので、参加するライダーはカリカリすることなく〝全員が仲間同士〞という雰囲気です。

私は今まで何度かピットクルーのベテランと一緒にお手伝いをしたことはありましたが、正式なクルーとして取り組むのは初めて。今回のチームでの私の立場は監督(実際にやることは雑用です)。
チームメイトは、普段は観る専門で初めてピットクルーをするバイク女子部の佐野由里子(サノユリ)さん、ヘルメット担当は用品店に勤めるライダーのお嬢さん、ライダーの友人で撮影を担当するカメラマン、そして唯一頼りになるのが32年前のレース時もピットクルーを務めたメカニック!
そんなほぼ新人メンバーで、レースウィークに突入しました!

トラブルだらけのピット作業
チームはレース前日のお昼ごろに筑波サーキット入り。スポーツ走行枠1本を走って練習をする予定でした。私は仕事が忙しく夜からの合流だったのですが、話を聞くとどうやらレース前で台数が多くて走行枠が取れず、タイヤウォーマーやレーシングスタンドの着脱等の練習が全くできなかったとのこと……。
その上ゼッケン貼りやステッカーチューン(これも大事!)に夢中になって気が付いたら日が暮れてしまい、「結局何も練習できなかった……。どうしよう」とサノユリさん。大丈夫かなぁ。

そんな不安な気持ちで迎えたレース当日。なんと追い討ちをかけるように、早朝宿泊先からサーキットに向かう途中で雨が降り始め、車内はどんよりとした空気に……。サーキット入りしてからは、受付、車検、タイムアタックと、初めてのレース準備がバタバタと進んでいきます。
そして一番の難関だったのが、タイヤウォーマー。とにかく急いでタイヤを温めないといけないのに、作業に慣れないため、いつ巻くのか、いつ外すのかタイミングがつかめない……。

タイムアタックに送り出す時点で、まだタイヤの温度は40℃くらいまでしか上がっていません(本来は80℃で50分ほど温めないといけない)。ハーフウエットの中、温まっていないタイヤで送り出されるライダーの心境はいったいどんなものだったでしょう。
ライダーは「予選では絶対に転倒するわけにはいかない!」とものすごく慎重に走り、結果24番グリッドと後方からのスタートになりました。申し訳ない……。

予選が終わるとホッとしている間もなく、気が付くと最初のクラスから決勝が始まっていきます。タイムアタックの反省を生かして、「決勝こそは規定通りタイヤを温めてライダーを送り出そう!」と時間を逆算して作業を進めました。
ゴール後の笑顔がレースの醍醐味!
そしていよいよ決勝、スターティンググリッドにつきます。私たちクルーも呑気に手を振っていたのですが、「あれ……?」気が付くと、周りのチームはすでにタイヤウォーマーが外れてエンジンがかかっています。
「これはまずい!」と慌ててウォーマーを外してコースから撤収。練習していない割に、なぜかワークス並みの速さで外せました。人間、焦るとなんでもできる!
こうしてなんとか決勝のスタートが切れました! あとはゴールするまでひたすら応援するのみ! あっという間にチェッカーが振られ、無事レースは終了。ピットロードを抜けて、マシンたちが帰ってきます。

帰ってきたライダーに労いの声を掛け合いながら、チームテントまでマシンを押して戻ってきます。このときは全員が最高の笑顔! これぞサンデーレースの醍醐味です。
レース後のサノユリさんは「ピットクルーのお仕事は全部楽しかった! 今まで見ているだけだったけど、ピットクルーとして自分がしなければならない仕事があって、それがライダーやマシンに大きく影響を与えてやりがいがあり、すごく楽しい! 次は、もっとしっかり動けると思う!」と言っていて、私もとっても嬉しかったです。

結果は見事4位入賞。走り切ったライダーは「皆がレースに関わって楽しんでくれればいいと思っていて、おかげで良い思い出の1日になりました。スーパーハッピー!」とコメントしてくれました。
反省はいっぱいありましたが、転倒もなく、無事に走り切って戻ってきてくれたときに感じた嬉しさと喜び。これは病みつきになりそうですね!