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【カワサキ MEGRO S1】誰もが走りを楽しめる懐の深さ【中野真矢&平嶋夏海インプレッション】

【平嶋夏海さん】
タレント、俳優、グラビアアイドル他幅広く活動。バイク好きが高じて、バイク女子のアイコン的存在として様々なメディアで活躍。YouTubeチャンネル「はしれ!なっちゃんねる」では、バイク動画を公開中
【中野真矢さん】
全日本GP250クラスチャンピオンを経て、WGP250、WGP500、MotoGP、SBKで活躍。豊富なレース経験を活かして、本誌メインテスターを務める他、幅広く活躍中。バイクアパレルブランド56design代表

2023年に発表され、大きな話題となった MEGURO S1。往年の名車である、“カワサキ250 メグロ SG”をイメージモチーフに開発され、手軽な250ccクラスながら、プレミアムな“MEGURO”らしい高い質感を持つ。そんな気になるニューモデルに、中野真矢さんと平嶋夏海さんが試乗した。

PHOTO/H.ORIHARA TEXT/K.ASAKURA
取材協力/カワサキモータースジャパン 
☎0120-400819 https://www.kawasaki-motors.com/

バイク女子も大注目のネオクラの新潮流

平嶋 とうとう来ましたね! 待ち遠しかったですよ。

中野 おっと、いつになく食い気味に来たね。そんなに楽しみにしていたバイクだった?

平嶋 それはそうですよ。一昨年のジャパンモビリティショーで発表されて、注目度も凄かったじゃないですか? 気になってました!

中野 そうだね(笑)。そういうことで今回走らせたのは、カワサキの250ccクラスで注目のブランニュー、メグロS1です。やっぱりネオクラシック好きとしては、気になる1台ってワケだね。

平嶋 もちろんです。けれど、あれだけ大々的に発表されたわけですから、カワサキとしても力を入れたバイクなんだろうなって。だから、どんな走りをするのか、とっても興味があったんです。ツーリングにも良さそうだし、ツーリング好きの私としては要チェックでした。

中野 なるほどね。僕はメグロK3がとても好きで、乗った時に〝メチャクチャいいじゃん!〞って思ったほど。大型クラスのMEGURO・W系マシンはいつか手に入れたいと考えてる。だから、その兄弟分としての期待が大きかったかな。排気量の選択肢が増えることで、間口が広がるのも良いことだと思うし。S1もカッコいいよね。細部までこだわってるし。

平嶋 カッコいいですよね!

中野 平嶋さんは結構ストライクな感じなんだ。

平嶋 ストライクなんですけど! もうちょっとだけ〝ネオ〞要素があるとよりいい感じです。

中野 まあ、そこは好みの部分だからね。

平嶋 ウインカー大きくないですか? こういうモノ?

中野 そう? クラシックの様式美としてアリだと思うよ。カスタマイズの楽しみの部分だとも思うし。

平嶋 それもそうですね。うん、やっぱりカッコいいですね。

中野 乗ってみてどうだった?

平嶋 跨った瞬間から好印象です。足着きがメチャメチャいいっ! 軽くて、取り回しも抜群です。

中野 ホント、凄く軽いよね。

抜群に軽快なのに安定感にも優れる走り

平嶋 取り回しは素晴らしいですよ。ハンドルの切れ角が大きいので、フルロックさせるとずいぶん小さく回れます。エンジンも思った以上に低速トルクが粘ってくれるから、Uターンが楽チンです。

中野 それは完全に同意。小回りの良さは、エンジンの安定感が効いてるよね。低速域のコントロール性が素晴らしい。ポジションの自由度の高さも好印象。見た目はコンパクトなのに、ライディングポジションは窮屈じゃないし、タンクのボリューム感が大きめなのもいい。視覚的にも重厚感があるし、ホールド性がいいんだよね。ホールド性が悪いバイクは、どこに座ってコントロールすればいいか迷うことがあるけど、S1は〝ここに座って、ここでホールドすればいい〞って、バイクが導いてくれる感じ。

エンジンも車体も素直の一言。全てが手の内にあると感じられる。だから楽しく操れる。【中野真矢】
エンジンも車体も素直の一言。全てが手の内にあると感じられる。だから楽しく操れる。【中野真矢】

平嶋 わかります。乗車姿勢をとった時に、違和感を感じる部分がないんですよね。ハンドルとステップとシートの位置関係が、自然に身体に馴染むんですよね。

中野 低速がいいというのは共通の意見だけど、エンジンの特性は全体的に見てどう感じた? 意外なくらい高回転も回るよね。リミッターの効く9500rpmくらいまで、普通に吹け切っちゃう。パワーバンドは6000〜8500rpmあたりなんだけど、あえて一速高いギアを選んで、4000〜5000rpmを使って、トルクで走るのが気持ち良かったかな。

平嶋 ですね。私は街乗りなら、どのギアでどれくらい回して走ったらいいかを探ったんですけど、4速5000rpmが一番気持ち良く走れましたね。

中野 同じだね。

中野さんは、MEGURO S1のマフラーがお気に入り。「消音が難しいオーセンティックなキャプトンタイプのマフラーなのに、しっかりと法規制に適合させているところが凄いですね。排気音もいいですよ。低回転で走っている時や、アイドリングしている時、単気筒らしい小気味良い音が楽しめます」
こだわりを感じる造形。小気味良い排気音もいい!
中野さんは、MEGURO S1のマフラーがお気に入り。「消音が難しいオーセンティックなキャプトンタイプのマフラーなのに、しっかりと法規制に適合させているところが凄いですね。排気音もいいですよ。低回転で走っている時や、アイドリングしている時、単気筒らしい小気味良い音が楽しめます」

平嶋 それくらい回してると、鼓動感は薄いんですけど、過不足なくパワーが出ていて、スロットルを開け閉めしてもギクシャクしません。信号のない田舎道をスロットル操作だけで流したら、絶対に楽しいだろうなあ……。法定速度で走ると、ちょうど気持ちいいところなんですよ。

中野 速いかというとそんなことはないんだけど、スピード感がストレスにならないんだよね。ストリートを走るバイクなんだし、とても大切なことだと思う。

平嶋 このバイクでの下道ツーリング、絶対楽しいですよ。

中野 ブレーキもいいよね。かけ始めの初期から、しっかりと制動力が立ち上がる。レバーを握り込むと、さらに効いてくる。コントロール性が高いなと思ったよ。サスペンションのセットは全般的にソフト目なんだけど、ブレーキの効力としっかりバランスしてるね。お見事。

平嶋 低速でクルクル曲がるから、Uターンとか8の字とか定常円とか、ジムカーナ的な小回りを試してみましたけど、ブレーキで曲がるきっかけを作りやすかったです。小回り楽しかったなあ、いつまでも回っていられそうでした。ハンドリングは軽快なんですけど、安定してるんですよね。スロットルをわずかに開けている状態でのレスポンスが絶妙なんですよ。パワーが欲しいだけ〝ジワッ〞と来てくれます。強く加速したい時は、そこから開ければいいし。一歩目が穏やかで、三歩目から盛り上がってくる感じ。

中野 かなり気に入ってるね。ズバリ、欲しいですか?

平嶋 欲しいですっ! 女性目線になりますけど、跨っている時に〝乗せられてる感〞のない車体のボリュームが、まずイイです。ルックスがいいから、インスタとかの見せるSNSでも映えますよね。

中野 兄弟車のW230もあるけど、どっちが欲しい?

平嶋 うーん、悩みます。でも、やっぱりS1かなあ? 専用エンブレムとか、メッキパーツの多さとか、プレミアム感高いじゃないですか? 中野さんは、どっちを選びます?

シックな色使いがたまらない。MEGUROだけのセンス
「MEGURO S1の色使いって、ものすごくオシャレですよね。シックでバイクのイメージにピッタリなんですけど、バイクのパーツに落とし込むには、なかなかな難しいと思うんです。センスいいですよね!」と、平嶋さんはコメント。細部までこだわり抜いたエクステリアは、MEGURO S1の真骨頂だ

中野 欲しいのが前提なのね。まあ、欲しいけど(笑)。どうせカスタムしちゃうだろうし、Wでもいいかなあ? でも、やっぱりS1カッコいいよね、内容を考えるとお買い得な気もするし悩ましい。どちらにせよ、ムーブメントを起こしそうな予感がするバイクだよね。カスタムの素材として、可能性を感じるね。

平嶋 ですよね。

中野 ただ、僕的にはセカンドバイクで欲しいかな? もちろんS1一台でなんでもこなせるけど、ビッグバイクとよりももっと気楽にゆったりと走っている時間を楽しめるだろうからね。

平嶋 そうですね。気負わずゆったりとした走っている時間を楽しむ…。そういう楽しみ方をするべきバイクなんです!

中野 あ、これは希望なんだけど、バリエーションモデルとして〝カフェ〞仕様が出ると嬉しいな。

平嶋 〝カフェ〞好きでしたっけ?

中野 好きだけど、カスタマイズのやりやすさが上がるかな? って。ハンドルを変えると、ケーブルやブレーキホースの長さを合わせるのが面倒でしょ? だから、いちユーザーとして、メーカーさんがやってくれるといいなあって(笑)。

平嶋 いいですね。期待しましょう。

KAWASAKI MEGURO S1

前後油圧ディスクブレーキ。フロントは、片押しピンスライド2ピストンキャリパーで、ローター径はφ265mm。リアは片押しピンスライド1ピストンキャリパーで、ローター径はφ220mm
前後油圧ディスクブレーキ。フロントは、片押しピンスライド2ピストンキャリパーで、ローター径はφ265mm。リアは片押しピンスライド1ピストンキャリパーで、ローター径はφ220mm
MEGUROのアイデンティティを主張するエンブレムとタンクは、職人がハンドメイドで塗り上げたもの。多用されているメッキパーツも、高品質な処理を採用。クラスを超えた質感の高さ
MEGUROのアイデンティティを主張するエンブレムとタンクは、職人がハンドメイドで塗り上げたもの。多用されているメッキパーツも、高品質な処理を採用。クラスを超えた質感の高さ
KLX230と同型のエンジンは低中速域を重視し、MEGURO S1/W230専用クランクケースを用い、圧縮比を最適化。MEGURO S1のみ、シリンダーヘッドのフィンに切削加工が施される
KLX230と同型のエンジンは低中速域を重視し、MEGURO S1/W230専用クランクケースを用い、圧縮比を最適化。MEGURO S1のみ、シリンダーヘッドのフィンに切削加工が施される
サイレンサー手前にサブチャンバーを設けることで、スタイルを崩さず法規制に適合させている。MEGURO S1のモチーフとなった往年の名車、カワサキ 250メグロSGの排気音を再現
サイレンサー手前にサブチャンバーを設けることで、スタイルを崩さず法規制に適合させている。MEGURO S1のモチーフとなった往年の名車、カワサキ 250メグロSGの排気音を再現
リアサスペンションは、コンベンショナルなツインショック。ショックユニットは、スプリングのプリロード調整が可能で、ダンパーは倒立タイプを採用する。スイングアームはスチール製
リアサスペンションは、コンベンショナルなツインショック。ショックユニットは、スプリングのプリロード調整が可能で、ダンパーは倒立タイプを採用する。スイングアームはスチール製
シートレザーは、MEGURO S1専用品。シート高は740mmと低く、250ccネイキッドモデルの中でも飛び抜けて足着きに優れる。諸元を共有する兄弟車のW230は、シート高のみ5mm高い
シートレザーは、MEGURO S1専用品。シート高は740mmと低く、250ccネイキッドモデルの中でも飛び抜けて足着きに優れる。諸元を共有する兄弟車のW230は、シート高のみ5mm高い
エンジン空冷4ストローク単気筒SOHC2 バルブ
総排気量232cc
ボア×ストローク67.0×66.0mm
圧縮比9.0:1
最高出力18ps/7000rpm
最大トルク1.8kgf・m/5800rpm
変速機6段
クラッチ湿式多板
フレームセミダブルクレードル
キャスター/トレール27.0°/99mm
サスペンションFφ37mmテレスコピック正立フォーク
Rツインショック(スプリングプリロード調整付)
ブレーキFφ265mmシングルディスク+2ポットアキシャルマウントキャリパー
Rφ220mmシングルディスク+片押し1ポットキャリパー
タイヤサイズF90/90-18
R110/90-17
全長×全幅×全高2125x800x1090mm
ホイールベース1415mm
シート高740mm
車両重量143kg
燃料タンク容量11L
価格72万500円

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