【青木宣篤流 断じるライテクQ&A|Part09】タイヤの限界の感触がわからない・・・・

黒くて丸いシンプルな出で立ちのタイヤだが、路面と接するだけに、もっとも重要な機能パーツである。「今のタイヤはかなり高性能で、使いこなしはなかなか大変」と青木さん。ライダーの意思を伝えるために、しっかり操作することが肝要だ。
Q81|タイヤの限界の感触が分かりません
Q82|エッジを感じられないのでどこまでバンクしていいかわからない
Q83|小雨時にドライ用ハイグリップタイヤの限界をどう掴む?
A|限界まで行かなくていいのでは?
今のタイヤの限界点は非常に高く、そこまで到達するのは恐ろしく大変です。レーシングライダーは、とりあえず限界を探らなければなりません。そういう職業だからです。何度も何度も転び、痛い思いをして、ようやく「ここら辺がタイヤの限界かな」という感触が身に付きます。
皆さんにそんな思いはしてほしくない。ファンライダーは、タイヤの限界など知ろうとせず、どうやったら安全に走れるかを考えた方が得策です。ドライ特化型のハイグリップタイヤで走行中に小雨が降ってきたら、速やかにピットに戻りましょう。
Q84|フロントタイヤをうまく使いたい!
Q85|ブレーキングではグリップ感が希薄で、不安
Q86|グリップを引き出す乗り方はありますか?
Q87|フロントタイヤのつぶし方を教えてください
A|ブレーキングではヒジをピンと張り、腕に力を入れます。
ヒジをロックするイメージです。コーナリング中も腕から力を抜かないように。一瞬脱力するのは、立ち上がりにかけて車体を起こすためにセルフステアを使う時だけです。腕をダルダルにしていると、サスペンションのように振動を減衰してしまい、せっかくのフロントタイヤからのインフォメーションを薄めてしまいます。

ヒジを張り、腕に力を入れることに抵抗感を持つ方も少なからずいるでしょう。でも、フロントタイヤをつぶすのにも効果的。騙されたと思って、1度トライしてみてください。私のスクールでは全員が「これか!」と、笑顔になっています。
Q88|空気圧はタイヤメーカー指定とバイクメーカー指定と、どちらがいいの?
A|新車装着時と同じOEMタイヤならバイクメーカー指定
リプレイスタイヤならタイヤメーカー指定に合わせるのが基本です。サーキット走行では、指定値より2割程度までなら空気圧を下げてもよいと思います。
中には150kPaなんていう低圧タイヤもありますが、その場合はタイヤメーカー推奨の空気圧を守ってください。
Q89|古いバイクに最新のハイグリップタイヤは装着しない方がよいと聞いたことがありますオーバースペックなのでしょうか?
A|タイヤがオーバースペックでも弊害はないと思います。
きちんと整備されておらず、ただしエンジンやサスペンションがスカスカな状態であるならば、ハイグリップタイヤはもったいない感じはしますが……。
なお、サイズには注意してください。「せっかくだから」と太くしてしまうと、旋回力が下がります。
Q90|車体をあまり寝かせずにタイヤを押しつける走りの方が寝かせるよりもハイサイドになりにくい?
A|その通りです。しかし、ハイサイドを過度に恐れる必要はありません。
MotoGPなどでのブッ飛びシーンから「ハイサイド」という言葉がひとり歩きし、楽しさをスポイルしているようにも感じます。
「世界最高峰レベルで攻めた時に起こるもの」と思ってもらって大丈夫。もちろんバイクのことですから「絶対起きない」とは言い切れませんが、少なくともハイサイドを意識している方なら、相当な低確率だと思います。
Q91|タイヤを暖めるには、スラロームした方がよいですか?ブレーキや加速でタイヤをつぶした方がよいですか?
A|タイヤで大事なのは路面とコンタクトする表面です。
表面を温めなければ本来のグリップを発揮しません。左右にスラロームするのがもっとも効率よくタイヤを温められます。
「加減速でタイヤを揉むとよい」という意見もありますが、内部温度が上がってもあまり意味がありません。

ただし、サーキット走行会で過度なスラロームは危険ですので、他車に影響しない範囲に留めてください。
また、これらはサーキット対応のタイヤの話です。適応温度幅が広いツーリングタイヤの場合は、あまり温める必要はないと思います。