ちょうどいいミドルクラストラッカー【HARLEY-DAVIDSON X500/X350】

大陸を悠々と横断する豪華ツアラーのイメージが強いハーレーだが、近年はライトウェイトなスポーツモデルにも力を入れている。そんな同社の500&350モデルの魅力を、改めて探ってみた。

PHOTO/H.INOUE TEXT/Y.FUJITA
問/ハーレーダビッドソンジャパン TEL0800-080-8080 https://www.harley-davidson.com/jp/
MotoGPにも急接近中のハーレー謹製ミドルスポーツ
昨年MotoGPのテストに、サドルバッグ付きのツアラーで競われるレース「キング・オブ・ザ・バガーズ」のプロモーションで参加したハーレーダビッドソン。同社は今、ロードレースの世界でもブランド認知度を高めようとしている。
そんなハーレーからレーシングイメージを纏って’23年に登場したのが、X500/350だ。ベース車はベネリ製だが外装はオリジナルで、フラットトラッカー風のシルエットとグラフィックが与えられている。
その’25年モデルとして、鮮やかなコズミックブルーが追加されたのに合わせ、この2台を比較試乗してみた。
まずはX500。500ccの直列2気筒は、同クラスのツインとしては標準的な47hp。低速トルクも十分なので、公道であれば非力に感じるシーンは無い。一方で驚かされたのがハンドリングだ。ハーレーのクルーザーではよく感じる重さや、バンク中に前輪が切れ込むようなフィーリングは皆無。「視線を送った方に進んでいく」ような軽さと自在感は秀逸だ。
やや幅広なハンドルは身長170cmの筆者にちょうど良く、ステップ位置も膝の曲がりに余裕があって長時間の運転も快適そうだ。ハーレーの世界への入り口となるモデルとして、車重の軽さや足着きの良さ、クセのない操作感は大きなアドバンテージと言える。
大型免許を取得して最初のバイクとして、ビッグツインのツアラーやソフテイルを選択するのは少し勇気がいるだろう。
しかしX500なら、例え初めてのバイクだとしても乗りこなすハードルはかなり低いと言える。

昨年、原田哲也さんと中野真矢さんに、サーキットでX500に試乗していただいた。その際「ライディングパーティでサーキットを走れるほど十分なスポーツ性がある」というお墨付きも得られているので、スポーツ派のライダーにもおすすめだ。
続いてX350に試乗。X500から乗り換えるとさらに軽くてコンパクトだが、ライディングポジションはこちらの方が「攻めている」という印象が強い。その理由はステップ位置だ。かなりバックステップになっていて、体格によっては少し窮屈に感じるかもしれない。
一方でエンジンはかなりおもしろい。ショートストロークでピックアップが鋭いため、ビュンビュン回して走りたくなる。さらに排気音は350ccとは思えないほど重厚で元気いっぱい。ショートコースに持ち込めばかなり楽しめそうな雰囲気だ。
どちらのモデルも発売から3年目になるが、高いブランド認知度に対してまだあまり世間に知られていない印象がある。もしハーレーに対して「ツアラーのメーカー」というイメージしか持っていないのであれば、それは非常にモッタイナイ。スポーツを楽しめるハーレーも、この世には存在しているのだ。
HARLEY-DAVIDSON X500

HARLEY-DAVIDSON X500 SPEC
エンジン | 水冷DOHC直列2気筒 |
総排気量 | 500cc |
最高出力 | 47hp/8500rpm |
最大トルク | 46Nm/6000rpm |
タイヤサイズF | 120/70ZR17 |
R | 160/60ZR17 |
ホイールベース | 1485mm |
シート高 | 820mm |
車両重量 | 208kg |
燃料タンク容量 | 13.1L |
価格 | 83万9800円 |




HARLEY-DAVIDSON X350

HARLEY-DAVIDSON X500 SPEC
エンジン | 水冷DOHC直列2気筒 |
総排気量 | 353cc |
最高出力 | 36hp/8500rpm |
最大トルク | 31Nm/7000rpm |
タイヤサイズF | 120/70ZR17 |
R | 160/60ZR17 |
ホイールベース | 1410mm |
シート高 | 777mm |
車両重量 | 195kg |
燃料タンク容量 | 13.5L |
価格 | 69万9800円 |



