ついに、エストレヤが27年の歴史に幕
こちら(https://www.ei-publishing.co.jp/articles/detail/riders-club-450831/)でもご報告した通り、平成28年度の排ガス規制など、バイクを取り巻く環境の変化を受けて、数多くのバイクが生産中止になる。
カワサキ・エストレヤもそんなバイクのひとつ。250cc単気筒ながら、妥協のないクラシカルなフォルムをまとい、タタタタッと切れのいいサウンドを響かせて走るエストレヤはついに生産中止になってしまい、現在購入できるのは、販売店などにある流通在庫だけだ。27年も生産していたわけだから、「若い頃に乗っていた!」と懐かしい方も多いのではないだろうか?
その、エストレヤのファイナルエディションに、ライダースクラブの小川勤編集長が乗った。
今の方がエストレヤを好きになった
小川編集長は言う。
「僕は‘92年のデビュー時より27年経過したいまの方がエストレヤが好きだ。年齢やキャリヤを重ねるほどにその魅力が滲みてくる……そんなバイクなのだ」
魅力の秘密はそのロングストロークエンジンにある。

たいていの250ccのバイクは少しでもパワーを出すために、ピストンのボア(直径のこと)を大きくして、ストロークを短くしてしまう。しかし、エストレヤのボア×ストークは、66×73mmとストロークの方が長い。当然パワーは出にくいが、エンジンの鼓動が感じやすく、トコトコと走る楽しみがある。
「2,000rpmから単気筒らしい鼓動が感じられ、4,000rpm、6,000rpmと回っていく過程も気持ちが良く、回すほどに鼓動が跳躍する。その躍動感がクラシカルな佇まいにマッチし、現代の250ccではエストレヤだけともいえるノスタルジアを感じさせてくれるのだ」と、小川編集長は言う。
ライテクに悩まずとも思いのままに走れる軽快さ
「前輪90サイズ、後輪110サイズのナロータイヤに走りの悩みは皆無。ハンドリングは軽快でニュートラルだ。トコトコ走るのも良いが、素早く向きを変え、立ち上がりでトルクフルなエンジンを堪能する。そんなスポーティな走りも良い」と小川編集長。
ロングストロークのエンジンを中心に、ノスタルジックな車体構成、細いタイヤが、クラシックかつ素直で操縦しやすいハンドリングを提供してくれて、カジュアルに乗れる普段遣いのバイクとして価値ある存在だ。250ccなので、車検もなく維持費も安い。
このエストレヤが生産中止とはなんとも残念だが、時の流れは止められない。どうしても欲しい……という人は、新車を買える今のうちに入手しておくしかないだろう。

(まとめ村上タクタ)]]>