色褪せない伝説 ーSUZUKI GSX1100S KATANA-part2
ドイツ人好みのキャラクターがカタナの個性として際立つ
ハンス・A・ムートは、スズキからのオファーに、先ずは2バルブ・エンジンのGS650Gから手を染めた。それには理由があった。カワサキの550系など、リッターバイクにまで手が届かない主にヨーロッパのユーザーに人気の中間排気量は、ヤマハXJ650など評価に厳しい層にも評判のバイクも多く、BMW R65LSで彼らも経験したように先進デザインへの許容度も高かったからだ。しかしスズキは、1100㏄まで拡大した当時最新のTSCCエンジンをGSX系を持ち込み、一気にフラッグシップ級を凌駕する作戦を提示してきたのだ。
そしてケルンにショーモデルとして出品されたKATANAは、ターゲット・デザイン一連のフォルムをさらに先鋭化されたデザインで、市販化を前提とするプロトタイプであるという情報が、多くの人は俄に信じないほど、そのインパクトは絶大なものがあった。
[caption id="attachment_490928" align="alignnone" width="1200"] 80年のケルン・ショーに登場し、話題を独占したカタナのプロトタイプ。翌年、ほぼこのままで市販化となった[/caption]
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記念すべき初代GSX1100Sカタナは、’81 年の秋から発売開始。日本刀をイメージしたフォルムは、既存のバイクにはない強烈な個性で二輪界に衝撃を与えた[/caption]
オトナのライダーに向けたスタイル
従来にない丸みを帯びた独得な曲線美をみせる燃料タンクを中心に、鋭い直線で構成されたノーズカウルは、機能的なフェアリングとは次元の異なる個性と美しさを放ち、常識的なサイドカバーを廃したインテグレート・デザインのシートへかけての部分や、バックスキンのシート座面にタンデム・シートを独立してみせるデザイン処理など、オリジナリティの高さが魅力的に映っていた。しかもシルバーを基調に紺とブラックとの配色も、増えつつあった大人のライダーに好感を抱かせたのだ。スズキはこのレスポンスに、製品化に際し可能な限りオリジナルを忠実に再現するとムートに約束、実際に風防効果を狙ったメーターパネルが視界を妨げることを嫌い小型スクリーンとの組み合わせに変更したくらいで、シートの足着き性など変化を最小限に抑えての市販化となった。 [caption id="attachment_490957" align="alignnone" width="1200"]



