【Historic Bikes/SUZUKI GSX1100S KATANA/1998(スズキ・GSX1100S カタナ)】〜穏やかなリズムを刻めるハンドリング〜
※この記事は過去に掲載された記事を再編集した内容です。
何年経っても色褪せることのない魅力 『ライダースクラブ』スーパーバイザーの宮城光がまだ駆け出しのノービスライダー時代、実はカタナに乗り継いでいる。最初は750に、それからほどなく1100を手に入れ、箕面、六甲山、信貴生駒スカイラインといったワインディングを毎晩のように走り、腕を磨いていったのだ。
「最初のカタナはあの悪名高いアップハンドルのナナハン。もちろんなにより先にセパハンに付け替えて走っていたのだけど、すぐに物足りなくなっていった。というのも、あくまでも練習のためだと思っていたから車体が大きく重ければ重いほど、エンジンにもパワーがあればあるほど当時レースで乗っていたF3マシンを自由自在に操れるようになるはず。そう思って 1100に乗り換えた。82年だったかな。挙動がダイレクトに出るようにハブダンパーの小さいダイマグのホイールを入れたり、トルクを重視して、少し口径を落としたCRキャブに 交換していたからスロットルワークのいい練習になっていたんじゃないか」と語る。
翌83年に宮城はノービスの祭典である鈴鹿4耐で優勝を達成。84年からは国際B級ライダーとしてTT‐F1とF3に参戦し、ダブルタイトルを獲得するのだが、その活躍の裏にはカタナでの日々が少なからず影響していたのである。 「国際B級に上がってからはさすがに峠は自重するようになったけれど、その代わりにカスタムを楽しんだのはいい思い出。もちろん今でも大好きな1台だね」
素材としてはとてもいいし、ライテクを磨くにもいい教材
バイク王に用意してもらった車両は98年型だ。カタナの仕様は多岐に渡るものの、あえて2つに大別するならアンチノーズダイブフォーク(ANDF)装着車を前期、未装着車を後期とするのが妥当だろう。国内仕様で言えば、94年型以前と以後がその分岐点となる。
後期型になるとフロントフォークにANDFが備えられなくなったものの、星型のスポークホイールやシルバーの外装色などは初代から変わらないアイデンティティである。 つまり、ここにあるのは宮城が乗っていたカタナとは世代差があるわけだが、もちろんその印象的なスタイルやフロントに装着された19インチホイールは健在。あらためて試乗してもらうことにした。
「キャブレターの同調をもう少し整えてあげる必要があるけれど、素材としてはとてもいい。あとはタイヤをフレッシュにするだけでなんの問題もなく日常的に走らせることができる。ガツンとブレーキを掛けると減衰力が急激に立ち上がってくるん だけど、裏を返せば丁寧にサスペンションをストロークさせることを覚えられるいい教材だね。もともと頑丈なバイクだから、オーナーになったら長く楽しんでもらいたい」と、その印象を語ってくれた。
長大なホイールベースのカタナを軽やかに走らせ、タイトなコーナーもスイスイと駆け抜けていく様は傍目にも楽しんでいる様子が伝わってくる。何年経っても変わらない魅力がカタナにはあり、これからも色褪せることはない。
SUZUKI GSX1100S KATANA/1998(スズキ・GSX1100S カタナ) ディテール
Specifications:SUZUKI GSX1100S KATANA/1998(スズキ・GSX1100S カタナ)
エンジン | 空冷4ストローク並列4気筒 |
バルブ形式 | DOHC4バルブ |
総排気量 | 1074cc |
ボア×ストリーク | 72×66mm |
圧縮比 | 9.5対1 |
最高出力 | 95ps/8500rpm |
最大トルク | 8.6kg-m/4000rpm |
フレーム | ダブルクレードル |
サスペンション | F=テレスコピック正立式 |
R=スイングアーム | |
ブレーキ | F=ダブルディスク |
R=シングルディスク | |
タイヤサイズ | F=3.50-19 |
R=4.50-17 | |
全長/全幅/全高 | 2250/740/1195mm |
軸間距離 | 1515mm |
重量 | 254kg |
価格(当時発売) | 89万9000円 |
※この記事は過去に掲載された記事を再編集した内容です。