1. HOME
  2. COLUMN
  3. Wickマシノのとっておきのエピソード/“キング”ケニー・ロバーツとの思い出

Wickマシノのとっておきのエピソード/“キング”ケニー・ロバーツとの思い出

Wickマシノの#おうちでモタスポ 動画作品にまつわる、とっておきのエピソード 私がレース現場の撮影を始めたのは1983年。それからバイクを取り巻く世界は激変しましたが、仕事を通じて出会った今だから話せるエピソードをお届けします。 増野知英● Tommy Mashino [caption id="attachment_634221" align="alignnone" width="900"] ウィック・ビジュアル・ビューロウ代表取締役。レース関連の映像制作や、DVD制作&販売を行いながら、日本のレースシーンを裏側から支える重鎮[/caption]

さすがは“キング”ケニー!家の中でもバイクを乗り回す!?

私にとって初めてレースというものを意識したのは、“キング”ケニー・ロバーツの存在でした。 16歳で二輪免許を所得する前に、友人と回し読みしていた二輪雑誌で世界グランプリのことを知りました。そして、この仕事を始めて、最初に出会った世界チャンピオンがケニーその人でした。 富樫ヨーコさん(当時は小川ヨーコさん名義)が翻訳し、木引繁雄さんの写真で構成された、ライダースクラブから1984年に出版された写真集/半自叙伝『KENNY ROBERTS』は愛蔵書となりました。 1987年にケニーが監督として鈴鹿8耐に参戦する際、都内のホテルでインタビューを行いましたし、その後、ノリックが彼のチームで走った時にもインタビューをさせてもらいましたが、雲の上の存在であることに変わりはありませんでした。そんなケニーのエピソードをいくつか紹介しましょう。 [caption id="attachment_723779" align="alignnone" width="766"] ケニー・ロバーツ RIDE TO WIN [DVD]価格:2750円 本編:44分/特典:5分 [書籍]価格:2200円 B5変形 カラー114ページ 問:ウィック・ビジュアル・ビューロウ TEL03-5363-1070 http://wick.co.jp[/caption]   2009年に私の会社で『RIDE TO WIN』の映像と書籍を復刻しました。発売を記念し、ケニーが来日するタイミングで、作成を担当した先輩方や、ラッキー・ストライクの代理店で担当されていた方を招いたパーティを、友人のイタリアンシェフ、カルミネ・コッツォリーノさんのレストランで開こうと計画していました。 しかしパーティの一週間前になってケニーの奥さんであるトモコさんから「ケニーが寿司を食べたいと言い出している」との連絡が・・・・・・。 思考を巡らしカルミネさんに無理な相談をすることに。彼もケニーのファンであり、ヨーロッパでケニーの現役の走りを見ていたことが、無理難題を突破することに繋がったのか、“イタリアンレストランで寿司職人に寿司を握らせる”ことが現実となったのでした。 当日、移動中の車内でも 「オレは寿司が食いたいと言ったのに、なぜイタリアンレストランに行かなきゃいけないんだ!」 とご立腹だったケニーも、二階の貸し切り部屋に入って寿司のネタケースが目に入るなり、「オー・マイ…」と言葉を失っていましたが、寿司職人もケニーのファンだったそうで、ケニーが入ってくるなり「えっ?」とこちらも言葉を失っておりました。 カルミネさんを紹介すると、食にこだわるケニーは『どうやったら自分が住んでいるアメリカで、青カビを繁殖させることができるか?』というテーマで30分も話し込んで意気投合していました。 キングはこの時の出来事をいたくお気に召した様子で、2010年に九州で行われたKRジャパンラリーの第1回目。アメリカから招いた友人たちに 「こいつはスシ・ボーイと言ってな、イタリアンレストランに寿司屋を仕込んだんだぞ!」 とご満悦でお話しになったのでした。 2014年にBS放送で二輪総合番組『MotoTV』を2クール制作した時には、そのKRジャパンラリーに連れてくる仲間(その中には500㏄クラスのチャンピオンであり、ケニーの長男ケニー・ロバーツ・ジュニアもいました)が使用するバイクの手配を頼まれました。その時コーディネーションしたのはホンダのバイクでした。取材を終えて、ジュニアが乗ったバイクを受け取ったホンダ熊本製作所の方は 「誰がこれに乗ったんですか? え、世界チャンピオンのロバーツ・ジュニアさん? 路面と擦っている箇所が設計想定以上のところなんですよ」 とニコニコとされていたと、熊本KRスタッフから聞きました。 翌年、ケニーが来日すると、その熊本製作所からモンキーをプレゼントしたいとの申し出があり、ホンダのウェルカムプラザにアテンドしました。モンキーを授与されたケニーは 「45年ぶり、2度目のモンキーのオーナーだ」 と喜んでいました。 ヤマハのイメージの強いケニーですが、18歳で初めてノービスとしてレースを走った時のマシンは、スズキの250㏄ダートバイクでした。コンクリート・オーバルコースでエキスパートを相手に3位入賞の快挙を達成すると、「あいつは何者だ?」と話題になり、翌年のヤマハとの契約に繋がったそうです。 自分が稼いだ賞金で、初めて購入したのがホンダの初代モンキー。朝から晩まで乗り回し、家の中さえも乗り回していたところ母親にとても怒られたと言っていました。 2006、07年にチーム・ロバーツでは、MotoGPクラスでホンダエンジンを搭載したKR211V、KR212Vを長男ケニー・ロバーツ・ジュニアが駆り、2006年の第7戦カタルニア、第16戦ポルトガルで3位表彰台を獲得しています。 グランプリの表彰台からケニーが離れて久しいですが、またいつか、どんなかたちでも良いので戻って来て欲しいですね。]]>

関連記事