1. HOME
  2. COLUMN
  3. モーターサイクルライフ
  4. モーターサイクルライフ/のめり込んだ映像制作で新たなバイクメディアに挑戦【MATTさん】

モーターサイクルライフ/のめり込んだ映像制作で新たなバイクメディアに挑戦【MATTさん】

モトブログなるYouTube動画が注目されはじめた2015年から、映像制作をスタートさせ、今やチャンネル登録数4万9000を突破。人気の動画制作者はどんなモーターサイクルライフを送っているのだろうか。 

モトブロガー Matt Rider Japan MATTさん
サーキットも旅も街乗りもすべて楽しむ
YouTubeチャンネルにはSRやデイトナ675での北海道ツーリングをはじめ、全国各地を旅した動画が多数公開されている。試乗インプレッションや用品レビュー動画も人気だが、チャンネルの核を担うのはツーリング動画で、今後も力を入れていくコンテンツだ。

一介のモトブロガーから映像作家としてプロの道へ

モトブログなるYouTube動画が注目されはじめた2015年から、映像制作をスタートさせ、今やチャンネル登録数4万9000を突破。人気の動画制作者はどんなモーターサイクルライフを送っているのだろうか。

マットライダージャパンことMATTさんがバイクに乗りはじめたのは、大学へ通う足が欲しいと思ったことがきっかけだ。もともとクルマもバイクも好きだったが、実家暮らしのときはバイクを禁じられていた。

「でも上京して家族の目を気にする必要がなくなったんです。クルマは予算の都合で無理だけど、バイクならいけると思い、バイクの免許を取りました。SR乗りの友人に誘われたこともあったし、以前からSRには興味があったのでSRを買いに行ったのですが、気づいたらニンジャ250Rを買ってました(笑)」

大学生の頃は街乗りがメインで、ツーリングは1カ月に1回程度だった。しかし、社会人になって友人と休日が合わなくなると一人遊びが増え、次第に平日のツーリングを楽しむようになっていったという。

「大学生のときにイギリスへ留学してまして、そのときにトライアンフを知りました。SRを好きになったのも、そもそもはそのときに見たボンネビルがきっかけだったんです。

でも社会人になって1年くらい経ったときに買い替えたバイクは、ボンネビルではなくてデイトナ675です。ニンジャに乗っていてスポーツバイクが好きになっていたことと、3気筒エンジンに魅力を感じたからです。

初めて乗ったときは『何だこの音は!?』と驚かされましたし、765に乗り替えた今も、トライアンフの3気筒エンジンは最高だと思ってます。アイドリングもいいし、回転を上げていくときの音もいい」

675を購入するのとほぼ同時に、MATTさんはモトブログをはじめた。モトブログとは、ヘルメットやバイクに装着したアクションカムで撮影した動画に、撮影者の実況音声を組み合わせた映像だ。モトブログの制作者をモトブロガーといい、YouTuberの一ジャンルである。

「スマホでも一眼レフでも、ツーリングへ行って写真を撮る人が大半ですが、僕の場合は写真ではなく動画でした。音声とともに映像が動くのはやっぱりダイナミックですし、GoProを買ってすぐにはじめました。2015年、モトブログというジャンルが日本でも認知されはじめて半年くらい経った頃でした。でも始めた頃は、不特定多数の人に見てもらいたいというよりも、自分のための記録動画をクラウドに保存する感覚でした」

そうやって気軽にモトブログをはじめたところ、ある日突然、動画の再生回数が急上昇した。「YouTubeは何かのきっかけで再生回数がハネるんですが、僕の場合はコイン洗車場でデイトナを泡まみれにした動画でした。それからは自分のための記録ではなく、見てくれる人を意識した動画を作るようになりました」


車両や用品メーカーの依頼を受けてのプロモーションビデオ制作も行う。撮影はMATTさんひとりで行うため、走行動画も三脚を立てての“自撮り”だ

「チャンネル登録者数1万が最初のポイントでした。取材を受けるようになっただけでなく、ほかのモトブロガーさんたちとのつながりが増えていきましたし、彼らとコラボすると相乗効果でお互いの再生回数と登録者数が伸びていくんです」

今では用品メーカーやバイク系のメディアからも依頼を受け、動画制作を行うまでになった。つまりアマチュアからプロになったのである。

「それからはよりいっそう、見てくださっている人を飽きさせず、最後まで楽しんでもらえるよう気を配るようになりました。モトブログの音声は、映像と同時録音する人と、アフレコする人がいますが、僕は臨場感を重視して同時録音してます。動画の構成をしっかり作っておくことや、サムネイルやタイトルの作り方、更新頻度なども重要ですね。検索ワードにかかりやすいよう、タイトルに車種を入れることは必須ですし、今は週1回更新は当たり前で、2〜3回更新しないとならないくらいの厳しい時代になってきました」

そんな中、MATTさんは新たに立ち上がったバイク動画メディア『モトネクスト』のメンバーになることを決めた。これは人気モトブロガー集団によるバイク情報発信チャンネルで、10名の制作陣のチャンネル登録者数の合計は約47万人という巨大モトブロガー集団だ。参加メンバーは随時加入していくとのことで、今後さらに巨大なメディアになっていきそうだ。単純に比較することはできないとはいえ、この数字を雑誌の発行部数に換算すると、匹敵できるバイク雑誌はひとつもない。それほどの影響力を持つ動画系のバイクメディアが誕生したのである。

「バイクに関するおもしろいことなら全部発信していくのですが、その中で僕はツーリングやサーキットなどを主に採り上げていく予定で、おもしろいと思ったことをピュアに発信していきたいと思ってます」

いっぽう、プライベートなバイクライフに焦点を移すと、現在所有しているのは、デイトナ モト2 765リミテッドエディション、SR400 40周年記念仕様、Ninja ZX-25R SE KRTエディションの3台だ。しかしフリーランスになってから多忙になり、乗る時間がなかなか取れないのが悩みだという。

「いろいろな広報車に乗る機会も増えたのですが、自分のバイクに乗れる時間を作りにくくなってきたので、打ち合わせのための都内の移動でも自分のバイクを走らせてます。やっぱりデイトナとSRとニンジャが大好きだから、たとえ乗れなくても、眺めてるだけで飽きないです」

ベトナム縦断ツーリングやマレーシアツーリング、セパン8時間耐久レースの潜入取材など、海外への旅やツーリング、サーキットに興味があるというMATTさんの強みを生かした動画も特徴的だ。独自の視点によるバイク動画には、これからますます期待が集まることだろう。

SNSで知り合った仲間とトミンサーキットでデイトナ675を走らせたり、超MAX SPEED走行会ではトリックスターのデモ車で最高速チャレンジをした。

関連記事