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現代バイク用語の初心者講座【クランク位相】

何かと専門用語が多いバイクの世界。自分でも使うけど、実はよく知らない……なんていう言葉も多いはず。「今さら」なんて言わずに、Let’s Study!

同じ気筒数でも特性が変わる|クランクの位相

エンジンは動力源としてだけでなく、バイクのテイストを左右するファクター。4気筒好き、ツイン好きなど、誰しも好みはあるだろう。だが、同じ気筒数、例えば直4とV4では乗り味は異なる。その鍵を握るのが「クランクの位相」だ。 

エンジンは、ガソリンを爆発的に燃焼させて、そこで発生するエネルギーを回転運動へ変換する装置。エネルギーを受け止めて、シリンダー内を移動するピストン。その直線運動を回転運動へと変換する役目を担うのがクランクシャフトだ。 

一般的な多気筒エンジンでは、全ての気筒で、ピストンがコンロッドを介して1本のクランクシャフトに繋がっている。そのコンロッドとクランクシャフトの取り付け角度により、各気筒の爆発間隔が決定している。この取り付け角度を表す言葉が「位相」だ。 

同じ気筒数と形式のエンジンでも、クランクの位相が違えば爆発間隔が異なり、出力特性が変わる。また、直列とV型のように、シリンダー配置が異なる場合も、クランクの位相が異なり、やはり出力特性は変わる。 

一般的に、等間隔で爆発エンジンの方が振動は少なく、高回転でのトルク変動も少ない。一方、不等間隔で爆発するエンジンは、トラクション特性に優れる傾向にある。こうしたそれぞれの特性を理解し、等間隔爆発が当たり前だった直列4気筒に、不等間隔クランクを採用した例が、ヤマハYZF-R1の「クロスプレーンクランクシャフト」である。

クランクの位相の違いが、最もわかりやすいのが直列2気筒。イラストは代表的な3タイプで、270°/180°/360° の各クランクの爆発間隔を図にしたもの。クランクシャフトの回転数に対し、爆発回数が多く、その間隔が短い方がスムーズかつ高回転高出力になる傾向。不等間隔で爆発する方がトラクションに優れるとされる。
一般的な直列4気筒エンジンのクランクシャフトは、中央の2気筒と両端の2気筒が180°位相。写真のヤマハYZF-R1のクロスプレーン・クランクシャフトは、コンロッドの取り付け位置が90°ずつずれていて、270°-180°-90°-180°の不等間隔爆発する位相を持たされている。

ドゥカティの90°Vツインの例。2本のコンロッドは同軸上にあり、爆発間隔は270°クランク。ほとんどのV型エンジンは、シリンダー角で位相が決まる

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