意外と知らないタイヤ事情|タイヤメーカーQ&A|ライパにおすすめタイヤカタログ【ミシュラン】
ライパ開催に協力をいただき、参加者のエアチェックサービスも担当してくれているのが、MotoGPへのタイヤワンメイク供給でも知られる、フランス生まれのミシュラン。タイヤに関するその歴史と哲学を知ると、ますますファンになってしまうブランドのひとつだ。
Q1:ミシュランが重視するタイヤへの考え方や特徴などはありますか?
残念ながらタイヤは摩耗し、それによりパフォーマンスは初期と比べて低下しますが、摩耗した状態でいかに高いレベルの性能を維持できるかを追求し続けるというのは、バイク用に限らずミシュラン全体のタイヤづくりに関する哲学のひとつ。
パフォーマンスと言ってもドライグリップにウエット性能、ライフに乗り心地……といろいろありますが、ミシュランでは何かを大きく犠牲にして他の性能を高めるタイヤづくりは、基本的にしません。もちろん、製品によって重視される性能は異なるので、すべての製品を同じレベルということではありませんが、“犠牲にしない”という部分が重要。
ミシュランがライバルとしているのは、ミシュランの前作。それと比べてすべての性能を落とすことなく、フォーカスした部分の性能を上げることをポリシーとしています。
Q2:レース活動から市販タイヤへのフィードバックは?
歴史を紐解いていくと、そもそもミシュランがレース活動をする理由は、そこで培った技術をストリート製品にフィードバックすることが目的だからです。
ミシュランはレースを「最高の実験場」と考えているのです。その中で培われた技術としては、例えば2CTテクノロジーがあります。これは、センター部分とサイド部分で異なるコンパウンドを配置する技術。また、さらに遡るならシリカ配合コンパウンドや、もっと古くはバイク用のラジアルタイヤも、レースで初めて使用しました。
近年は、このようなわかりやすい例はないのですが、新しいコンパウンドやケーシング、前後のバランスに関する技術などは、間違いなくフィードバックされています。
Q3:現在のミシュランがラジアルの種類を増やし続けるワケは?
ビッグバイクやミドルクラス向けのスポーツラジアルとなるパワーシリーズのうち、パワースリック2、パワーカップ2、パワーGP、パワー5というのは、’20 年の同じ時期に発売開始しました。
一挙に4つの新製品を導入したのは、ユーザーのバイクの楽しみ方が多様化していることを感じたから。「ちょっと多いよね……」と思われるかもしれませんが、ユーザーの主用途に応じてよりベストなタイヤを提供していくことを考えたときに、これが最適なソリューションと判断しました。
これに加えてスポーツツーリングカテゴリーとしては今年導入したロード6があり、これらを合わせることでミドルクラス以上のオンロードスポーツバイクユーザーが求める性能に応えています。
「では自分はどれを選べばいいの?」という質問には、下記でお答えしましょう。
Q4:ミシュラン独自の技術や他社に先んじる取り組みは?
新技術を使えば、いいタイヤができるわけではありません。例えば、2CTや2CT+といった分割構造コンパウンドを敢えて採用しない判断をする場合もあります。
そのように、現在ある技術の中でどれを組み合わせるのかというパッケージング能力こそが、独自の技術なのではないかと考えます。また、タイヤには200種類ほどの原材料が使われているのですが、今後の地球環境を考え、サスティナブルな素材の使用やリサイクル技術の開発にも積極的に取り組んでいます。
すでに、MotoEで使用しているタイヤはフロントが33%、リアが46%の天然由来またはリサイクル素材で製造。市販製品でも、’30年に40%、’50年に100%を目指しています。
ミシュランに聞いた! ライパおすすめタイヤカタログ
トレッドパターンの違いこそあるけど、タイヤはどれも黒くて丸いゴムの物体。いざ愛車のタイヤを交換しようと思っても、どれを選べばいいものか……。そこで各タイヤメーカーに、特徴やこだわり、ライパ参加者向けのオススメタイヤを聞いてみた!
ライパの会場にも頻繁に出動いただいき、参加者の傾向も熟知する日本ミシュランタイヤの山田寿一さん。
次にどのミシュランを履くか悩んでいるユーザーに向け、このように説明してくれた。
「まず、上に挙げた4製品がミドルクラス以上のスポーツバイク乗りにオススメのラジアル。このうちロード6のみがスポーツツーリング向きで、それ以外がスポーツレンジ。さらにロード6とパワー5が100%ストリート向けで、パワーGPとパワーカップ2はサーキット走行も想定した設計になっています」
しかしこれは、ロード6やパワー5ではサーキットを走れないということではない。
「例えば、たまにライパに参加するけど、あとはほとんど公道でツーリングなんてユーザーなら、我々としてもパワーGPやパワーカップ2はオススメしません」と山田さん。桃または緑ゼッケンのクラスで走るなら、「ロード6でも、そのペースでタイヤが破綻するなんてまずありません」とのこと。
一方で、ライパや他の走行会に参加する機会が多いライダーに、山田さんがオススメするのがパワーGP。
「より高いレベルの走りを目指すならパワーカップ2なのですが、こちらはもし雨が降ったら……などのネガもある。パワーGPは、サーキットで十分な性能を発揮し、バランスに優れ、ライパ参加者にとっては基準となるタイヤです。これをベースに、自分のバイクライフを想定しながら選んでください!」
POWER GP:ライパ参加者に推す公道とサーキットが50:50
自走で来場することが多いライパ参加者にミシュランがもっともオススメする、公道とサーキットでの性能をバランスよく追求したスポーツラジアル。フロント、リアともにサイドは高温時のドライグリップに優れるカーボンブラックコンパウンドで、溝がないスリックゾーンも配置。センターはシリカコンパウンドだ。
POWER GP:公道走行性能を追求したハイパースポーツラジアル
100%公道走行を想定した開発ながら、公道用タイヤとしてはパフォーマンスが高く、楽しくライパを走る程度なら十分な性能を持つ。フロントに2CT、リアに2CT+のコンパウンド分割技術を使ってサイドのドライグリップを高め、11%の溝比率とリアのフルシリカ配合コンパウンドでウエット性能も磨いている。
ROAD 6:今年最新作に生まれ変わったスポーツツアラー系の代表格
100%シリカコンパウンドテクノロジーと最新のトレッドパターンにより、前作のロード5と比べてウエットグリップ性能が15%向上。摩耗が進むにつれて幅が広がるサイプの技術を継承する。新開発コンパウンドでライフも10%向上。ツーリングメインだが、ライパにも参加してみたいビギナーに向いている。
POWER CUP2:もっと自分の走りを極めたいライパなら赤ゼッケン向け
パワースリック2をベースに開発された、公道走行可能なサーキット用タイヤ。スピードレンジが上がったときに、本来のパフォーマンスを発揮。上級者のハードブレーキング時にも十分な剛性を持つ。カーボンブラックコンパウンドの採用により、温度依存度はやや受けやすいが、優れたドライグリップを発揮する。
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