意外と知らないタイヤ事情|タイヤメーカーQ&A|ライパにおすすめタイヤカタログ【ピレリ】
今年で会社としては創業150周年を迎えた、イタリア生まれの世界的なタイヤメーカー。溝付きタイヤでのイベントレースでは、圧倒的なシェアと絶大な支持を獲得している。レーシングシーンでは、スーパーバイク世界選手権にタイヤをワンメイク供給!
Q1:ピレリが重視するタイヤへの考え方や特徴などはありますか?
イタリアは文化や芸術の国として知られ、ピレリはそういう要素も意識しながらブランドイメージを構築していますが、一方でタイヤというのは芸術品ではなくあくまでも機能パーツ。ホイールに組んで空気を入れ、装着することではじめて役割を持つわけです。
そのためピレリでは、実走行テストを極めて重視したタイヤづくりを続けています。我々はそのテスト部隊を、「世界一のバイク好き集団」と表現。チームは10名に満たない程度ですが、年間の合計走行距離は100万kmにも達します。
このように、ひとつの製品に対して徹底的に乗って仕上げることで、誰がどんな走りをしても扱いやすく、バイクを選ばず、それでいてキャラクターが明確なタイヤを完成させています。そしてそのベースコンセプトとして常に、「乗って楽しいタイヤ」というのがあります。
Q2:レース活動から市販タイヤへのフィードバックは?
ピレリが掲げるスローガンに、「我々はレースで使うタイヤを販売し、販売するタイヤでレースをする」というものがあります。例えばスーパーバイクやモトクロスの世界選手権でピレリが使っているのは、すべて一般ユーザーが購入できるタイヤと同じ。
これは、他メーカーではあり得ないことです。そして、そのような世界トップレベルのレースシーンで活動を続けることで、低温や猛暑、ウエットなどのあらゆる状況に遭遇。そこで蓄積されたデータが、公道用タイヤの性能やマイレージを高める技術にもつながっています。
ちなみに、コンパウンドの配合は化学の世界なので、クルマではエコタイヤ開発中に超ハイグリップゴムが偶然誕生したことも……。
Q3:バイクメーカーに車種専用タイヤを供給することは?
ピレリは、純正装着用タイヤをもっとも多くのバイクメーカーに供給するブランドのひとつ。バイクメーカーのリクエストに応じて、車種専用タイヤを開発することは稀にあります。
例えば、200/60ZR17のリアタイヤを初めて市販車に採用したのはドゥカティでしたが、当初は車種専用サイズでした。また、同じくメーカーのリクエストにより、コンパウンドや内部構造を変更した純正装着用タイヤを供給することもあります。ピレリは欧州のメーカーですが、車種専用のリクエストは日本メーカーからのほうが多いと思います。
しかしピレリとしては、レース活動でもわかるように、あるメーカーとかバイクとかライダーに特化したタイヤづくりの思想は、根本的にありません。イタリアのバイクメーカーなどは、既存のタイヤを前提とした車体づくりが多いように思います。
Q4:独自の技術やこだわりのポイントは?
タイヤづくりに関して、独自技術というのはほとんどないと思います。魅力的な技術なんて明日には他社にマネされるし、逆にマネされないならたいした技術ではないということ。
ただし、同じ材料かつ同じ手順で料理人と素人が料理をつくってもまるで味が違うように、例えばコンパウンドの配合ひとつにしても、同じようにはできません。それこそがピレリ独自なわけですが、目に見える技術としてはラジアルタイヤのゼロディグリースチールベルト構造が挙げられると思います。これはメッツラーの技術者が発想し、ピレリの資金援助で製品化。後にピレリは、メッツラーを買収しています。
ピレリに聞いた! ライパおすすめタイヤカタログ
ライパでは、ブース出店により参加者のエアチェックも担当していただいているピレリ。最近では積極的にこのサービスを利用する参加者も増え、ピレリジャパンの児玉秀人さんも喜んでいる。
「空気圧の設定や走行後の内圧状態など、タイヤのことを知ってくるとライディングがどんどん楽しくなります。安心・安全というのはタイヤメーカーにとって当然で、楽しさを提供することこそがピレリの掲げるテーマ。ライパは、まさにそれを具現化できる現場だからです」
ピレリがタイヤづくりで重視するのは、バイクとのマッチング。同時に、「新品装着時からライフの終盤まで、性能の低下が極力少ないタイヤというのが大きな目標」と児玉さん。つまりこれは、広い意味でコスパに優れるという意味だ。
そこで重要になるのは、「均一に摩耗すること」だという。使用環境と変形、トレッドパターンの組み合わせで摩耗状況は変わる。ピレリはそれらも想定しながら、タイヤづくりを進めている。ちなみに、「均一に減ることで、電子制御のデータノイズを極力減らしてあげるという目的もあります」とのことだ。
また、ライパを走るユーザーにはこのようなアドバイスをもらった。
「サーキット走行では、タイヤの表面温度と内圧がマッチした状態で使うことが、おかしな摩耗を防ぐコツ。冷えた状態からスロットルをガンガン開けるようなライディングを避けると、きれいに減りますよ!」
DIABLOROSSO IV CORSA:ロッソⅣのドライグリップをさらに高めた今年の新作
従来のロッソ・コルサⅡと同じ立ち位置だが、ロッソⅣで完全新世代となっているため、後継ではない。ドライグリップやウエット性能やライフは、スーパーコルサSPとロッソⅣの中間。最大リーンアングルで優れたグリップ力を発揮する一方で、扱いやすさやしなやかさもあり、ショートツーリングにも使いやすい。
DIABLOROSSO IV:ライディング好きに贈る“完全感覚バンキング”
ロッソの第4世代として昨年新発売。ビッグネイキッドやクロスオーバー系もターゲットに、新時代のフィーリングを追求したスポーツツーリングタイヤだ。トバさなくてもSBKのコーナリングを疑似体験できるプロファイルを採用。溝比率はそれほど高くないが、シリカコンパウンド採用などでウエット性能も高い。
DIABLOSUPERCORSASP V3:公道走行を前提とした究極のレーシングレプリカ
SBK由来の形状や、溝比率を極限まで減らしたトレッドパターンで、サーキット走行におけるドライでのスポーツ性を追求。ライダーに高いレベルを要求し、高いレベルで応える。ソリッドな乗り味やストイックにライディングを求めるライダー向き。人気のSCよりはコンディションの許容度があり、公道も走れる。
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