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KAWASAKI NinjaZX-6R KRT EDITION|中野真矢インプレッション【+36㏄の余裕】

スーパースポーツは、レースでの使用を前提に設計するのが当然となっている昨今。レギュレーションの軛に背を向けた異色のモデル、それがNinja ZX-6Rだ。他と違った独自路線はカワサキの真骨頂、レースに背を向けたスーパースポーツの走りは如何に? 中野真矢さんによるサーキットインプレッションで、その真の姿が剥き出しになった。

【中野真矢】元MotoGPライダーの卓越したテクニックと、豊富なレース経験を活かし、バイクメディアで活躍する本誌メインテスター。代表を務めるアパレルブランド“56design”では、プロデューサーをとして忙しい日々を送る

安定志向の車体がライダーの攻める心を呼び覚ます

プロダクションレース全盛の現在、スーパースポーツはレ-スで、600㏄クラスでも変わりはない。そこに一石を投じるのが、カワサキのNinja ZX-6R。最大の特徴は、レースレギュレーションを無視した636㏄の排気量。カワサキは何を狙って、このマシンを世に送り出したのか? その謎を中野真矢さんのインプレッションを踏まえて解き明かしてみたい。

636ccという他にない排気量を選択しているNinja ZX-6R。グラフィックデザインでも他とは違う存在であることを主張する

「バイクの楽しさって、コーナリングが大きなパーセンテージを占めていると思いませんか? 自分はそう考えています。Ninja ZX-6Rは、そのコーナリングを思う存分楽しめる。イージーに乗れるというわけではありません。ポジションはキツいですし、エンジンもパワフル。乗りこなすには、スキルも必要です。ですが、やっぱり軽さが大きな武器です。多少マシンが暴れても、押さえ込めてしまえそうな安心感がある。これは楽しいですよ。積極的に攻めていけるし、結果的に速く走れます」 

今回の試乗は、筑波サーキット・コース1000で行った。ストレートが短く、タイトなレイアウトなこのコースでは、リッタークラスに引けを取らないスピードで走れると、中野さんは太鼓判を押す。と、ここまでは600㏄クラスのマシンなら、ある程度は共通する要素。やはり気になるのは36㏄大きい排気量だ。果たしてメリットを感じることはあるのだろうか?

「数値的には、わずかな差に思えますけど、パーセンテージで考えれば、600㏄に対しての36㏄って大きいですよね? 違いはもちろん出ます。セッティング云々で、どうにかできるレベルではないアドバンテージがあると思います。 

それにしても良く回るエンジンですよね。16000rpmくらい回りますから。パワー的にオイシイ部分は、12000~15500rpmくらい。直列4気筒らしい高回転で回す楽しさを味わえるバイクって、今時貴重だと思うんです。リッタークラスだと、どの回転域でもパワフルですし、ハイパワー過ぎて使う場所を選びます。 

その点、Ninja ZX-6Rのエンジンはパワーバンドが明確で、回すことが本当に楽しいんです。ピーキーってわけではないですよ。下の回転もちゃんと使えます。6000rpmも回っていれば、十分に付いてきます」

16000rpmまで回るエンジンで、6000rpmといえば低回転域ということもできる。そうした領域でも、実用可能なパワーが出ているのは、36㏄上乗せされた排気量の恩恵であるのかもしれない。電子制御は現行モデルとしては控えめ。パワーモードはフルパワーとローパワーの2段階、トラクションコントロールは3段階介入度合いとシステムオフが選択可能。クイックシフターは、シフトアップ側のみ対応だ。スペックだけみると、弟分のNinja ZX-25Rの方が上の部分もあるが……。

「選択肢が少ないのは事実ですが、その分セッティングに悩まないので、これはこれでアリだと思います。機能に不満を感じることもありませんでしたから」 

ちなみに中野さんが選んだモードは、パワーはフルでトラクションコントロールは意外にもストリート向けの2段階目。それで、コーナーの立ち上がりではブラックマークを残しまくっていたのだから、確かに問題はなさそうだ。そしてエンジンもさることながら、中野さんが評価するのは、車体のまとまりだ。かなりレベルが高いとのこと。

「ピットロードを走り出しただけで、ハンドリングの素直さがわかりました。二つ目のコーナーで、もう膝を擦っていましたから。基本安定志向の車体で、高い次元で万人向け。コーナーで行きたいところに行けるハンドリングです。サスペンションはフロントフォークのフィーリングが良いですね。変に硬かったり、急に入ってしまうこともない。セッティングが煮詰められていると感じました。フロントブレーキのバランスも、すごくいいですね。 

自分はカワサキでMotoGPを走った経験があります。ワイルドなイメージがあるカワサキですが、MotoGPマシンは基本的に安定性重視なんです。マシンが安定しているから、思い切って攻めた走りができます。 

MotoGPから10年経って、Ninja ZX-10Rに乗った時、カワサキのスポーツバイクに対する考え方は、ずっと受け継がれているのだと感じました。このNinja ZX-6Rも一緒です。具体的には、直列4気筒エンジンらしいフロント荷重の乗り方です。フロントタイヤの接地感を掴みやすい。カワサキがレースを戦う中で、見つけた答えなのかもしれません」

と、かなりの高評価なのだが、あえて不満な点を訊ねてみた。

「強いて言うなら、ギアレシオが全体的にロングなところですね。コーナーによっては1速を使う必要があります。攻めている時に、1速に落とすのって勇気が要りますよね?自分がサーキットで使うのなら、ファイナルを調整して2速で回れるようようにしたい。他には、ミッションの2速と3速の間がワイド傾向な部分。上手く使わないとシフトアップ時に、パワーバンドを外します。 

このクラスは、レースでも小排気量からリッタークラスへのステップアップに欠かせない存在です。ストリートでも、それは変わらないと思います。ただ、途中の段階として、通り過ぎてしまうには惜しい。Ninja ZX-6Rには、それだけのスポーツバイクとしての魅力があります。スポーツバイクのビギナーにはもちろんですけれど、玄人にも勧めたいですね。解っている人こそ、楽しめるバイクだと思いますから。 

600㏄クラスならではの軽快さはそのままに、少し大きな排気量分のパワーが上乗せされ、扱いやすさが増しています。ミドルクラスの良さが詰まった1台だと思います」 

Ninja ZX-6Rは、レース非対応を選択することでレギュレーションの呪縛から解き放たれ、スポーツバイクとしての完成度を高めた稀有な存在。ピュアに走りを追求したいライダーにとっては、見逃せない1台だ。

同じセグメントのライバルに対して、プラス36ccのアドバンテージを持つNinja ZX-6R KRT EDITION。 中野真矢さんのおすすめポイントは……

・パワーバンドが明確で回すことが本当に楽しいエンジン

・ピットロードを走り出しただけで分かるハンドリングの素直さ

・ZX-RRから受け継がれた、直4らしいフロント荷重の乗り方

実は、わかっている人こそ楽しめるバイクとのこと。

126psを発揮する直4エンジンを搭載し、200㎏を切る車重のフルカウルスーパースポーツが、140万円台で購入できる。 Ninja ZX-6R KRT EDITIONの詳細は、カワサキ製品ページをチェックしよう!

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製品ページでは詳細情報がわかるほか、プラザ店検索により、モデルの展示状況・試乗・レンタルの予約が可能です。

KAWASAKI Ninja ZX-6R KRT EDITION

  • エンジン:水冷4ストローク直列4気筒 4バルブ
  • 排気量:636cc
  • 最高出力:126ps/13500rpm(ラムエア加圧時132ps)
  • 最大トルク:7.1kgf・m/11000rpm
  • シート高:830mm
  • 車両重量:197kg
  • 価格:140万8000円
シリンダーボアΦ67.0mm×ストローク45.1mmのエンジンは、オーバースクエアではあるが、ライバルと比較するとロングストローク傾向
標準装備されているクイックシフターは、アップのみ対応。電子制御デバイスは、スペック上で多少古さを感じるが、完成度は高い
フロントフォークは減衰特性に優れるSHOWA製SFF-BPを採用。フロントブレーキにはラジアルマウントモノブロックキャリパーを装備する
スイングアームは最適な“ねじれ剛性”を追求。ホイールは軽量な6本スポークデザイン。タイヤはブリヂストンBATTLAX HYPERSPORT S22
カウリングのデザインは、Ninja ZX-Rシリーズに共通するファミリーデザイン。逆スラントフォルムの精悍な顔つきが、ライダーを鼓舞する
リアサスペンションは、コンベンショナルなボトムリンク式を採用。リアショックユニットは、伸側/圧側の減衰力とプリロード調整機構を装備
フューエルタンクは、上半身が伏せやすい上面を凹ませた形状が与えられた、スポーツライディングを意識したもの。タンク容量は17Lを確保
シート高は830mmと高めだが、絞り込まれたシート形状により、スペックから受ける印象ほどには悪くはない。車体が軽く、取り回しは良好

製品ページでは詳細情報がわかるほか、プラザ店検索により、モデルの展示状況・試乗・レンタルの予約が可能です。

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