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【KAWASAKI Ninja ZX-4RR KRT EDITION】予想を超えてスポーティ思った以上にフレンドリー

2023年上半期、バイク業界の話題を独占した感のあるNinja ZX-4Rシリーズ。久々に登場した400cc直4スポーツに、中野さんと平嶋さんも大興奮。今回は、スポーティな上位モデル的位置付けの、Ninja ZX-4RR KRT EDITIONをサーキットでインプレッション。思う存分語ってもらった。

PHOTO/S.MAYUMI TEXT/K.ASAKURA 
取材協力/カワサキモータースジャパン 
0120-400819 
https://www.kawasaki-motors.com/mc/

待望のヨンヒャク直4はもっと攻めたくなる楽しさ

中野:ハイッ! 今回はいよいよ、皆さん大注目のあのバイクです!

平嶋:ですねっ!

中野:テンション高いねぇ。

平嶋:それを言うなら、中野さんこそですよ? スゴく楽しそうに走ってたじゃないですか。

中野:だって、楽しいんだもん。さて、今回のバイクはもちろん……。

平嶋:Ninja ZX-4RR KRT EDITIONです!

中野:楽しみにしていたみたいだね。

平嶋:それはそうですよ。今、みんなが気になるバイク、ナンバーワンじゃないですか?

中野:やっぱりそうだよね。Ninja ZX-25Rも気に入っていたもんね。でも、こういうイケイケのバイクは、平嶋さんの好みから外れているんじゃないの?

平嶋:確かに、ネオクラ大好きノンビリツーリング派の私ですけど。それはそれとして、旬のバイクには興味はありますよ。それに、Ninja ZX-25Rも楽しかったんですけれど、不満というか〝もっとこうなってたらいいのに!〞って感じるところがあるんです。Ninja ZX-4RR KRT EDITIONなら、その気になる点が改善しているんじゃないかなって期待があったんですよね。

中野:と、言うと?

平嶋:250cc4気筒は回すのが楽しいんですけど、せわしないというか、やかましいというか……。

中野:ソコを楽しむバイクなんじゃないのかなあ?

平嶋:それも分かるんですけど、普段大型バイクに乗っているせいか、街乗りやツーリングを考えると、もう少しパワーとトルクが欲しいなあと感じる部分がありました。車体が基本的に共通で、エンジンが400ccですから、パワー&トルクが増したら最高じゃないかと。

中野:それはわからなくもない。

平嶋:ですよね?あと、Ninja ZX-25Rは、常に回して走るから、エンジン音に急かされる気がしちゃうんですよね……。私は自分のバイクに乗って、Ninja ZX-25Rの人とツーリングに行ったんですけど、自分のバイクの排気音が全然聞こえなかったですもん。そんなコトもあって、Ninja ZX-25Rは、ちょっとイキってるんじゃないかと。

中野:イキってる!?(笑)

平嶋:サーキットだと、音も含め最高に楽しい、大好きな1台ですけど。

中野:僕なんかだと、そのイキり感に惹かれちゃうけどね。

平嶋:そうなんですか?

中野:うん。直4エンジンというだけで嬉しい。250もだけど、Ninja ZX-4RR KRT EDITIONの400cc直4は、待ってましたっ! てトコロ。若いころはレースばっかりだったし、純レーサーの経験が多いから、4気筒レーサーレプリカのムーブメントは、肌で感じていたわけじゃないんだ。ちょっと外から、いいなーって指をくわえていた感じなんだよね。

平嶋:なるほど。憧れとは違うかもしれませんけど、盛り上がっている場所にいない疎外感というか?

中野:そうそう。だから、Ninja ZX-4RR KRT EDITIONは刺さる。この御時世に、よくぞ400cc直4のニューモデルを出してくれました! カワサキはエラいっ!

平嶋:熱いなあ(笑)。

中野:スペックだけでも喜んじゃう。歴代400ccで最強パワーでしょ?それを超高回転で絞り出す。もう、たまんない。バイクの醍醐味は、エンジンを回す楽しさと、コーナリングで感じるGだと、個人的には考えているからね。

ブン回すのが猛烈に楽しいこの400は、僕に“刺さる”

平嶋:速いバイク、好きですもんね。

中野:速くなくても楽しいバイクはあるけど、やっぱり速いバイクが好きなんだろうね。平嶋:レーサーですもん。

中野:それで、Ninja ZX-4RR KRT EDITIONなんだけど。いいね。

平嶋:いいですね。

中野:Ninja ZX-25Rでワインディングを走った時、もう一押ししてくれるパワーが欲しいって感じたんだよね。常に回して、パワーバンドをキープする必要があるから。

平嶋:ですね。

中野:だから、400ccへの期待は、実はものすごく大きかった。絶対、モアパワーが実現してるって。

平嶋:出発点は違うんですけど、なんだか私と同じ要望な気がします。

中野:そうだね(笑)。

平嶋:で、実際にNinja ZX-4RR KRT EDITIONを走らせてみて、いかがです?

中野:いやあ、期待通りだね。

平嶋:ですよね!

中野:低中回転域のトルクが太くなって、スロットルを開けた時に、回転上昇を待たなくてもパワーが立ち上がってくる。スロットルにちゃんとツイてくる。本当にオイシイ回転域は、12000rpmより上だけど、その下でのフレキシビリティが全然違う。ギアの選択の幅が広がったよね。ズボラに走っても、それなりに走ってくれる。

平嶋:神経を使わずに走れますよね。

中野:前にも言ったけど、Ninja ZX-25Rは車格が大きく感じるんだよね。パワーに対して車格が大きいからだと思うんだけど。

平嶋:エンジン自体が大きい4気筒だから、そんなものなのかな? って思ってました。

中野:Ninja ZX-4RR KRT EDITIONは、車格とパワーのバランスが絶妙。250ccでは大きく感じた車体が、ピッタリのサイズ感。パワーに余裕があるから、車体が軽く感じるんだよね。それでまあ、エンジンが楽しい。スロットルがカチッというところまで開けて、レブるまで回転を引っ張る。そんな開け方をしても、200㎰クラスのバイクじゃないから、扱いやすくて回しきれちゃう。回せるエンジンって、楽しいんだよね。そのことを再認識しました。

平嶋:私のバイクなんて、4000rpmくらいでシフトランプが点いちゃうので、回して走ることに慣れていないんですよ。でも、Ninja ZX-4RR KRT EDITIONは回せちゃうし、開けられます。パワーの出方が、すごくスムーズなんですよね。私でも安心して全開にできちゃう。中野さんが、ハマるのも分かります。楽しいです。

【一体どこまで回せるの!? 挑戦したくなっちゃいます】Ninja ZX-4RR KRT EDITIONの痛快な吹け上がりに、魅せられていた平嶋さん。「タコメーターが、もの凄い高回転まで表示されているので、自分では一生懸命回しているつもりでも、なかなかレッドゾーンまで到達しないんですよね。行くところまで行っちゃおう、絶対に回し切ってやるんだ! って、挑戦心を煽るメーターが楽しい」
エンジンはNinja ZX-25Rをベースにボア×ストロークを拡大。400ccクラス歴代最強77ps(ラムエア加圧時80ps)を発揮。かつてのF-3レーシングマシンと同等のパワーながら、厳しい排気ガス規制に適合させている
サイレンサーは別体タイプ。エンジン下にも大きなサブサイレンサーを設ける。排気音は、直4らしい爽快感のあるものだが、純正マフラーなので音質は抑えめ。Ninja ZX-25Rよりサイレンサー部の全長が伸びている

中野:でしょ?

平嶋:タコメーターが10000rpmを超えても、どんどん回る。どこまで回るんだろう? って試したくなりますね。Ninja ZX-25Rは、そんなに回さなきゃいけないの? って思いましたけど、Ninja ZX-4RR KRT EDITIONは回せるし、回したい。

もっと回したい! チャレンジ心をくすぐるエンジン

中野:音が関係しているかもね。Ninja ZX-25Rは、より高回転型だし音質も高音が強い。

平嶋:ヤバい音がします。

中野:アレはアレで良い音だよ?でもNinja ZX-4RR KRT EDITIONはそこまで上が回らないし、排気量の分音が太くて少し落ち着きがあるから。

平嶋:そうかもですね。Ninja ZX-4RR KRT EDITION面白いな。回したいな。

中野:まったり派だった平嶋さんが、高回転に目覚めてしまった(笑)。

平嶋:開眼しました(笑)。

中野:回せるのは、新設計エンジンの完成度が高いからだと思う。2速で回したまま1速に落とすとか、無理のある操作もしてみたんだ。昔のバイクならリアがホッピングして大騒ぎのところ、何も起きない。クラッチ容量はマージンが大きいね。

平嶋:走りが安定しているから、安心して回せるんですね。

中野:クイックシフターのフィーリングもいいね。動かないのも困るけど、過敏に反応されちゃうのも気を遣う。他のカワサキ車にも共通してることだけど、シフターのセッティングはどれも入念に煮詰められているよね。

平嶋:使いやすいです。

中野:あと、ブレーキ! フロントブレーキがスゴくいい。

平嶋:パワーが上がった分、ダブルディスク化して正解ですか?

中野:もちろんそうなんだけど、やっぱり見た目が大事。ブレーキはシングルディスクよりダブルディスクの方がデザイン的に好みなんだ。Ninja ZX-25Rはシングルディスクで十分だから、Ninja ZX-4Rシリーズが400ccのパワーに合わせてダブルディスク化したのかはわからない。シングルディスクのNinja ZX-4RR KRT EDITIONに乗ってないからね。でも、絶対ダブルディスクの方がいいよ。だってカッコいいから!

【ダブルディスク化は大正解!】中野さんが気に入ったのは、フロントブレーキ。その理由が「カッコいいから」というから面白い。「もちろん性能面も評価していますよ。Ninja ZX-25Rから5kgほどしか増えていませんが、最高速や加速力の増大を考えれば理にかなった装備です。タッチもなかなかいいですね」

平嶋:元MotoGPライダーが、まさかの〝カッコ良ければいい〞発言!

中野:いや、カッコは大事だよ? 自分の愛車にするとしたら、カッコ悪いバイクは買いたくないでしょ?

平嶋:確かにそうですね……。

中野:今回乗ったのは、装着パーツのグレードが高いRRモデルだけど、RR専用装備のフルアジャスタブルのリアショックはいいね。

平嶋:性能がですか?

中野:基本性能も高いんだけれど、フルアジャスタブルで、セッティング幅が広いところがいい。自分に合ったセッティングを選べるのは、とても良いことだと思うよ。

走りを意識したRRモデルの専用装備、フルアジャスタブルのリアショックは、SHOWA のBFRClight。セッティングやスプリングこそ異なるが、ボディ自体はNinja ZX-10R装着品と基本的に同等。なんとも豪勢な装備

平嶋:サスペンションセッティング……。ちょっとハードルが高いです。

中野:Ninja ZX-4RR KRT EDITIONは、すごく乗りやすいでしょ?安定しているし、コーナーもよく曲がる。

平嶋:そうですね。サスペンションセッティングでどう変わるか分かりませんけど、現状で不満は感じません。

中野:それでいいと思うよ。

平嶋:え?

中野:スタンダードの足まわりは万人向けで、誰もが気持ちよく走れる。ただ、攻め込んでいくと、ちょっと頼りなさを感じる場面がある。誰もが安心して走れるのは、とても素晴らしいこと。でも、その先があってもいいかな? って。積極的にボディアクションを使ったりして本気攻めをしたら、今まで以上に強く旋回するとかね。

平嶋:中野さんみたいな走り方は、一般ライダーはしないんですよ。カワサキの開発者さんも、想定外の使い方だと思います。

中野:うん。だから、フルアジャスタブルのリアショックがいいなあって。自分に合ったセッティングが出せるからね。スタンダードのサスセッティングは僕には柔らかすぎる。攻め込んでいくと、フロントの接地感が弱くなっちゃうんだよ。せっかくだから、フロントフォークもフルアジャスタブルにして欲しかった。プリロード調整がついたのはいいけど、もっと色々いじりたいし。

平嶋:いつになく中野さんが饒舌ですね。それだけ気に入ってるってことだと思うんですけど。

中野:うん。好きなバイクだね。

平嶋:だからこそ、要求値も高くなってしまう、と。

中野:そうそう。平嶋さんは、こうして欲しいとか、不満とかないの?

平嶋:う〜ん。すごく贅沢なことを言ってもいいですか?

中野:どうぞどうぞ。

平嶋:乗りやす過ぎるというか……、どこをとっても隙がないんですよね。ちゃんと速くて、走りが面白くて、安心して攻められる。アバタもエクボじゃないですけど、なにか弱点とかあるとカワイく思えることがありますよね。楽しい楽しいと言っておきながら、どうかとも思うんですけど、ちょっと優等生が過ぎるような気がするんですよ。

中野:いけないと思っても、危険な香りに惹かれる感じ?(笑)

平嶋:ですです(笑)。すごくバランスのとれたバイクですけど、どこか尖ったところがあったら、さらに魅力的なのかなあ? って。

中野:贅沢なこと言うなあ(笑)。

平嶋:だから先にそう言ったじゃないですか。でも、本当に良いバイクだと思います。中野さんが〝楽しい、もっと攻めたい〞って、目をキラキラさせてるんですもん。それって、すごいことだと思うんです。そんなバイクなかなかありません。

中野:なんだかんだ言って、いつも無邪気に喜びながら走っているような気もするけどね(笑)。

平嶋:そうかも?(笑)

中野:バイクって楽しいね!

KAWASAKI Ninja ZX-4RR KRT EDITION

エンジン水冷4ストローク並列4気筒DOHC4 バルブ
総排気量399cc
ボア×ストローク57.0mm×39.1mm
圧縮比12.3:1
最高出力77(80)ps/14500rpm
最大トルク4.0kgf・m/13000rpm
変速機6段
クラッチ湿式多板
フレームトレリス
キャスター/トレール23.5°/97mm
サスペンションF=SHOWA製φ37mm SFF-BP テレスコピック倒立フロントフォーク
R=SHOWA製BFRC-lite
ブレーキF=φ290mmダブルディスク+対向4ポットラジアルマウントモノブロックキャリパー
R=φ220mmシングルディスク+片押し1ポットキャリパー
タイヤサイズF=120/70ZR17
R=160/60ZR17
全長×全幅×全高1990×765×1110mm
ホイールベース1380mm
車両重量189kg
燃料タンク容量15L
価格115万5000円
※( )内はラムエア加圧時

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