【カワサキ MEGRO S1】誰もが走りを楽しめる懐の深さ【中野真矢&平嶋夏海インプレッション】

2023年に発表され、大きな話題となった MEGURO S1。往年の名車である、“カワサキ250 メグロ SG”をイメージモチーフに開発され、手軽な250ccクラスながら、プレミアムな“MEGURO”らしい高い質感を持つ。そんな気になるニューモデルに、中野真矢さんと平嶋夏海さんが試乗した。
PHOTO/H.ORIHARA TEXT/K.ASAKURA
取材協力/カワサキモータースジャパン
☎0120-400819 https://www.kawasaki-motors.com/
バイク女子も大注目のネオクラの新潮流
平嶋 とうとう来ましたね! 待ち遠しかったですよ。
中野 おっと、いつになく食い気味に来たね。そんなに楽しみにしていたバイクだった?
平嶋 それはそうですよ。一昨年のジャパンモビリティショーで発表されて、注目度も凄かったじゃないですか? 気になってました!
中野 そうだね(笑)。そういうことで今回走らせたのは、カワサキの250ccクラスで注目のブランニュー、メグロS1です。やっぱりネオクラシック好きとしては、気になる1台ってワケだね。
平嶋 もちろんです。けれど、あれだけ大々的に発表されたわけですから、カワサキとしても力を入れたバイクなんだろうなって。だから、どんな走りをするのか、とっても興味があったんです。ツーリングにも良さそうだし、ツーリング好きの私としては要チェックでした。
中野 なるほどね。僕はメグロK3がとても好きで、乗った時に〝メチャクチャいいじゃん!〞って思ったほど。大型クラスのMEGURO・W系マシンはいつか手に入れたいと考えてる。だから、その兄弟分としての期待が大きかったかな。排気量の選択肢が増えることで、間口が広がるのも良いことだと思うし。S1もカッコいいよね。細部までこだわってるし。

平嶋 カッコいいですよね!
中野 平嶋さんは結構ストライクな感じなんだ。
平嶋 ストライクなんですけど! もうちょっとだけ〝ネオ〞要素があるとよりいい感じです。
中野 まあ、そこは好みの部分だからね。
平嶋 ウインカー大きくないですか? こういうモノ?
中野 そう? クラシックの様式美としてアリだと思うよ。カスタマイズの楽しみの部分だとも思うし。
平嶋 それもそうですね。うん、やっぱりカッコいいですね。
中野 乗ってみてどうだった?
平嶋 跨った瞬間から好印象です。足着きがメチャメチャいいっ! 軽くて、取り回しも抜群です。
中野 ホント、凄く軽いよね。
抜群に軽快なのに安定感にも優れる走り
平嶋 取り回しは素晴らしいですよ。ハンドルの切れ角が大きいので、フルロックさせるとずいぶん小さく回れます。エンジンも思った以上に低速トルクが粘ってくれるから、Uターンが楽チンです。
中野 それは完全に同意。小回りの良さは、エンジンの安定感が効いてるよね。低速域のコントロール性が素晴らしい。ポジションの自由度の高さも好印象。見た目はコンパクトなのに、ライディングポジションは窮屈じゃないし、タンクのボリューム感が大きめなのもいい。視覚的にも重厚感があるし、ホールド性がいいんだよね。ホールド性が悪いバイクは、どこに座ってコントロールすればいいか迷うことがあるけど、S1は〝ここに座って、ここでホールドすればいい〞って、バイクが導いてくれる感じ。

平嶋 わかります。乗車姿勢をとった時に、違和感を感じる部分がないんですよね。ハンドルとステップとシートの位置関係が、自然に身体に馴染むんですよね。
中野 低速がいいというのは共通の意見だけど、エンジンの特性は全体的に見てどう感じた? 意外なくらい高回転も回るよね。リミッターの効く9500rpmくらいまで、普通に吹け切っちゃう。パワーバンドは6000〜8500rpmあたりなんだけど、あえて一速高いギアを選んで、4000〜5000rpmを使って、トルクで走るのが気持ち良かったかな。
平嶋 ですね。私は街乗りなら、どのギアでどれくらい回して走ったらいいかを探ったんですけど、4速5000rpmが一番気持ち良く走れましたね。
中野 同じだね。

平嶋 それくらい回してると、鼓動感は薄いんですけど、過不足なくパワーが出ていて、スロットルを開け閉めしてもギクシャクしません。信号のない田舎道をスロットル操作だけで流したら、絶対に楽しいだろうなあ……。法定速度で走ると、ちょうど気持ちいいところなんですよ。
中野 速いかというとそんなことはないんだけど、スピード感がストレスにならないんだよね。ストリートを走るバイクなんだし、とても大切なことだと思う。
平嶋 このバイクでの下道ツーリング、絶対楽しいですよ。
中野 ブレーキもいいよね。かけ始めの初期から、しっかりと制動力が立ち上がる。レバーを握り込むと、さらに効いてくる。コントロール性が高いなと思ったよ。サスペンションのセットは全般的にソフト目なんだけど、ブレーキの効力としっかりバランスしてるね。お見事。
平嶋 低速でクルクル曲がるから、Uターンとか8の字とか定常円とか、ジムカーナ的な小回りを試してみましたけど、ブレーキで曲がるきっかけを作りやすかったです。小回り楽しかったなあ、いつまでも回っていられそうでした。ハンドリングは軽快なんですけど、安定してるんですよね。スロットルをわずかに開けている状態でのレスポンスが絶妙なんですよ。パワーが欲しいだけ〝ジワッ〞と来てくれます。強く加速したい時は、そこから開ければいいし。一歩目が穏やかで、三歩目から盛り上がってくる感じ。

中野 かなり気に入ってるね。ズバリ、欲しいですか?
平嶋 欲しいですっ! 女性目線になりますけど、跨っている時に〝乗せられてる感〞のない車体のボリュームが、まずイイです。ルックスがいいから、インスタとかの見せるSNSでも映えますよね。
中野 兄弟車のW230もあるけど、どっちが欲しい?
平嶋 うーん、悩みます。でも、やっぱりS1かなあ? 専用エンブレムとか、メッキパーツの多さとか、プレミアム感高いじゃないですか? 中野さんは、どっちを選びます?

中野 欲しいのが前提なのね。まあ、欲しいけど(笑)。どうせカスタムしちゃうだろうし、Wでもいいかなあ? でも、やっぱりS1カッコいいよね、内容を考えるとお買い得な気もするし悩ましい。どちらにせよ、ムーブメントを起こしそうな予感がするバイクだよね。カスタムの素材として、可能性を感じるね。
平嶋 ですよね。
中野 ただ、僕的にはセカンドバイクで欲しいかな? もちろんS1一台でなんでもこなせるけど、ビッグバイクとよりももっと気楽にゆったりと走っている時間を楽しめるだろうからね。
平嶋 そうですね。気負わずゆったりとした走っている時間を楽しむ…。そういう楽しみ方をするべきバイクなんです!
中野 あ、これは希望なんだけど、バリエーションモデルとして〝カフェ〞仕様が出ると嬉しいな。
平嶋 〝カフェ〞好きでしたっけ?
中野 好きだけど、カスタマイズのやりやすさが上がるかな? って。ハンドルを変えると、ケーブルやブレーキホースの長さを合わせるのが面倒でしょ? だから、いちユーザーとして、メーカーさんがやってくれるといいなあって(笑)。
平嶋 いいですね。期待しましょう。
KAWASAKI MEGURO S1






エンジン | 空冷4ストローク単気筒SOHC2 バルブ |
総排気量 | 232cc |
ボア×ストローク | 67.0×66.0mm |
圧縮比 | 9.0:1 |
最高出力 | 18ps/7000rpm |
最大トルク | 1.8kgf・m/5800rpm |
変速機 | 6段 |
クラッチ | 湿式多板 |
フレーム | セミダブルクレードル |
キャスター/トレール | 27.0°/99mm |
サスペンションF | φ37mmテレスコピック正立フォーク |
R | ツインショック(スプリングプリロード調整付) |
ブレーキF | φ265mmシングルディスク+2ポットアキシャルマウントキャリパー |
R | φ220mmシングルディスク+片押し1ポットキャリパー |
タイヤサイズF | 90/90-18 |
R | 110/90-17 |
全長×全幅×全高 | 2125x800x1090mm |
ホイールベース | 1415mm |
シート高 | 740mm |
車両重量 | 143kg |
燃料タンク容量 | 11L |
価格 | 72万500円 |