安定感と自由に操れるハンドリングをもつZ900RS
「水冷なのにフィンが刻まれたエンジンは美しく、単に高回転まで回るのではなく低中速の実際に使うところのパワー感が、じつに良いですね」とZ900RSの印象を語る美藤さん。「走りのほうも非常に軽快でクルクルとよく曲がります。でも、自分だったらもう少しリラックスして乗りたいというか。Z900RSのようなバイクを選ぶ人の中には、ゆっくり乗りたい人もいると思いますし。だから安定感というか、軽快だけどバイクに急かされない乗り味、どんな人が乗っても自由自在に操れるバイクにしたいと思いました」
そんな走りを実現するために投入したのが、ビトーR&Dが世界に先駆けて市販化に成功したマグネシウム鍛造ホイール「JB‐POWERMAGTAN」の18インチ。しかもリム幅もナロー(前3.00、後4.50)で、タイヤ幅もフロントが110/80、リヤが160/60だ。
「タイヤが太いほうがグリップするのは確かですが、ワインディングを走るなら滑らない範囲で楽しみたいですよね。それには細い18インチのほうが楽しいし、緊張感も少なくなります。すると疲れないから遠くまで走れるし、飽きない。ツーリングや旅をするなら、そういう乗り味が良いですよ」
とはいえ安定感ばかりを求めてしまうと、スポーティな楽しみが削がれてしまう。そこで、フロントフォークのオフセットを長く取れる可変オフセット式フォークブリッジを製作。前後18インチのナローなタイヤと合わせ、安定感と意のままに操れるハンドリングを見事に両立している。
カスタムすることで、Z1の後継バイクに
さらにライディングにもっとも影響するポジションづくりのために、ハンドル、シート、ステップの3点の位置関係もしっかり見直している。「シートは表皮の張り替えとウレタン加工だけですが、それでもグッとコントロールしやすくなりました」
さらに“旅がしやすいように”と使いやすいリヤキャリアも製作する凝りように加え、メンテナンス性を高めるために後輪のアクスル部にクイックチェンジ機構まで備える。「かつてのZ1は、誰がどんなシチュエーションで乗っても楽しめるバイクだったように、このZ900RSもそこを目指せる素性を与えました。そしてカスタムすることで、Z1の後継たる存在になれるバイクだと思います」
各ディテール紹介
フルエキゾーストは厚さわずか0.7mmという専用の超薄肉チタニウムパイプを用い、美藤さん自らが手曲げで製作。驚異的に軽量なうえに美しく、サウンドにもとことんこだわった4-1集合だ。
ステップキットは14ポジション選択可能。
可変オフセット式(35~40mm)のフォークブリッジキットは、ノーマルの35mmから40mmに変更することで、安心感が大きく意のままに操れるハンドリングを達成。
マグネシウム鍛造ホイール「MAGTAN JB4」に前110/80-18、後160/60-18のタイヤを履く。コントロール性に優れるオリジナルのφ320mm鋳鉄ローターと6POTキャリパーも装備。
ビルダー:ビトーR&D 美藤 定さん
Z2を駆ってアメリカを旅し、’76年にヨシムラR&Dに入社。その後、ホンダのレースメカとしてWGPを転戦。’83年に故郷の豊岡でビトーR&Dを設立し、世界初の市販マグネシウム鍛造ホイールも開発した。
【DATA】
問い合わせ:ビトーR&D
TEL:0796-27-0429
http://www.jb-power.co.jp/
Z900RSはこちら
(出典:
『KAWASAKI Z900RS』)]]>