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勝利へ導いくSTMの技術力『アジャスタブル・ライディングステップセット』

好きだから、こだわりたい パワーやハンドリングに直接関係しないためつい見落としがちだが、ステップはライダーとマシンをつなぐ重要な機能パーツである。

STM アジャスタブル・ライディングステップセット 

●適合車種:DUCATI パニガーレV4、ストリートファイターV4 
●価格:12万9800円

プレート部は2ピース構造で、ポジションは4パターンから選択可能。緻密に肉抜きされた形状も美しい

SBKでドゥカティを数々の勝利へ導いたSTM初のステップセット

今でこそスリッパークラッチは世界中のパーツメーカーが製造販売し、市販車に標準装備されるのもめずらしくなくなった。

90年代にスーパーバイク世界選手権を戦っていたドゥカティの依頼を受け、STMがスリッパークラッチの開発を進めた頃は、まだ一般にはあまり知られていないパーツだった。減速時の強烈なエンジンブレーキを受け流すための装置であることは言うまでもないが、当時ドゥカティが採用していたスリッパークラッチは動作が不安定だったため、高性能な物が必要だったのである。

STMが作り上げたスリッパークラッチは、ドゥカティの期待を裏切らない安定した性能を発揮した。スリッパーカム部にボールベアリングを用いただけでなく、緻密なデザインと精密な加工技術により、各部の摩擦抵抗を極限まで低くしていたことがその理由だ。

STM製を装着したドゥカティは、カール・フォガティによって98年シーズンのワールドスーパーバイクタイトルを獲得。916の速さを世界中に見せつけるとともに、STMの名とスリッパークラッチの機能性を知らしめたのである。

そうしたこともあり、日本でもSTMといえばスリッパークラッチの印象が強いが、このたび新たにライディングステップを開発、販売を開始した。これはスーパーバイク世界選手権に参戦する『Barniレーシングチーム』の要望で生まれ、各チームに供給されたステップセットで、もちろんパニガーレV4シリーズに対応。ストリートファイターV4にも装着可能だ。

緻密に計算された肉抜きにより軽量化が図られた切削アルミの構造体は、機能的であることはもちろん、美しさも備えたパーツだ。プレート部は2ピース構造で、ポジション調整は4パターンから選択できる。

とくに注目したいのは、ペグのローレットパターンの鋭さだ。レーシングブーツのソールに食らいついて離さない、肉食獣の牙のようである。超高速域での激しい加速度の中にあっても確実なマシンホールドとステップワークを可能とするための機能であり、世界最高峰レースの過酷さを静かに物語っている。

20年シーズンのSBKで、ドゥカティがマニュファクチャラーランキング2位を獲得するのに貢献したステップキットは、パニガーレV4とストリートファイターV4オーナーのマストアイテムといえる。また、STMファンにとって、同社初となるステップセットは美しきアルミニウムの記念碑だ。

「MOTOCORSA RACING TEAM」は、’20年はM・レアンドロ選手(写真)がライド。’21年はA・バッサーニ選手がこのSTM製ステップを装着したマシンで参戦予定。パニガーレV4Rの真価を発揮させて表彰台を狙う

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