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【SUZUKI Hayabusa/Build by TG-RUN】極めて高い完成度は絶妙なバランス取りの成果

純正の優れたバランスを崩さずにチューニングすることは、非常に難しい。だが決して不可能ではないことを、テクニカルガレージRUNが手がけたHayabusaが教えてくれる。注目したいのは、装着された高級パーツだけではない。ビルダーのセンスの良さを感じさせるセットアップだ。

PHOTO/S.MAYUMI TEXT/G.TAKAHASHI
問/テクニカルガレージRUN TEL043-309-5189 
https://tg-run.com/
【青木宣篤】
世界GP250、500、MotoGPで活躍。スズキ・MotoGPマシンやブリヂストン・MotoGPタイヤの開発ライダーを務めた経験もあり、バイク作りやライディングに関する知見は日本随一

ハヤブサは、ストック状態からして非常によくできたバイクだ。特に’21年にデビューした3型は素晴らしく、エンジンやサスペンションなどの摺動部がとにかくスムーズ。「フリクションはここまで減らせるのか」と驚かされたものだ。 

そのハヤブサにTG-RUN(テクニカルガレージ・RUN)×オーヴァーのパーツを中心とし、オーリンズ製サスペンションやブレンボ製ブレーキシステム、マルケジーニ製ホイール等をインストール&セットアップしたのが、TG-RUNの手によるコンプリートカスタムマシンである。 

素材がいいところに、世界の銘品と言われるスペシャルパーツを組み付けるのだから、よくなるに決まっているーーーと思われるかもしれない。だが、話はそう簡単ではない。 

バイクというのは極めて繊細な乗り物で、どこかをいじると別のどこかに悪影響を及ぼすことが多い。バイクのカスタムは、非常に難しいものだと私は認識している。

特にストック状態での出来栄えがいいバイクは、いかに高品位なカスタムパーツを取り付けたとしても、容易にバランスを崩してしまいがちなのだ。 

しかし、TG-RUNがカスタムしたハヤブサは、どこにも破綻がない。オーリンズもブレンボも、もちろんハンドリングや制動力を向上させているが、極端には振られておらず、「いい塩梅」が保たれているのだ。 

SUZUKI Hayabusa/Build by TG-RUN
SUZUKI Hayabusa/Build by TG-RUN

サスペンションは動きすぎるでもなく、硬すぎるでもなく、ちょうどいい。ブレーキは制動力とコントロール性のバランスが極めて良好である。 

これらは、ただ装着するだけのポン付けでは絶対に成し得ないこと。ビルダーであるTG-RUN代表・杉本卓弥さんが入念にセットアップしたことが伝わってくる。よほどセンスのいい人でなければ、こういう仕上がりにはならない。 

この車両にはTG-RUNとオーヴァーがコラボして製作したトップブリッジとハンドルのセットが装着され、スタンダード比で12mm高さがアップしていた。実は私はハンドル位置を高めることを本来はよしとしない。前輪への荷重が薄まる恐れがあるからだ。 

しかしこのハヤブサに関しては杞憂だった。圧倒的な安定感があり、サーキットを走りながらヒジ擦りにチャレンジしようと思ったほどだ。ポジションも含め、私は完全に安心していた。 

無理矢理にでも難癖を付けるなら、車両代ぐらいになりそうな総予算だろうか。しかしそれすら、素材のよさを崩さずに全体的なパフォーマンスアップに成功し、ハヤブサ3・5型と言えるほど優れた仕上がりを考えれば、極めて妥当だ。

(青木宣篤)

SUZUKI Hayabusa/Build by TG-RUN

TG-RUNとOVERレーシングのコラボによって生まれたTTフォーミュラー チタンフルエキゾースト(41万2500円)は、スムーズな出力特性が特長。STD比で12.1kgもの軽量化を達成
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スポーツライディングハンドルキット(17万6000円)もTGRUNとOVERの共同開発。フルビレットトップブリッジとハンドルのセットで、快適でスポーティーなポジションを実現する
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純正比でバックは15/25mm、アップは35/45mmが選択できる、4ポジション可変式のライディングステップ(7万1500円)は、TG-RUNとOVERのコラボ。高剛性かつ操作しやすいためスポーツライディングに最適
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前後ショックはオーリンズ。ブレーキディスクはサンスター製ワークスエキパンドを選択し、キャリパーはブレンボ製モノブロックGP4RR。ホイールはマルケジーニ製マグネシウム鍛造M4Rだ
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TG-RUN×OVERのビレットフェンダーレスキット(3万9600円)の本体はアルミ削り出し。リアタイヤまわりをスポーティーかつゴージャスに演出
快適さと足着き性を高めつつ、体を動かしやすく、マシンの挙動も感じやすいスポーティさも備えるスポーツ&コンフォートシート(3万3000円)
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フロントブレーキのマスターシリンダーはブレンボの最高峰モデル・GPマスターをおごる。制動力の高さはもちろん、良好なタッチにもこだわる
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64チタン製オイルフィラーキャップ(1万6500円)は、軽量化を果たすとともにドレスアップ効果も高い。ワイヤーロック穴加工が施されている
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マジカルレーシング製のカーボントリムスクリーンのスーパーコート仕様を装着。高級感を与えつつ、高い風防効果も両立している
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カウルインナーパネル、タンクエンド、タンクサイドカバー、フレームガードなどはマジカルレーシ
ングの綾織りカーボン製を装着
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