1. HOME
  2. カスタム
  3. 【NITRON/イギリスのテクノロジーと日本の職人技が融合】サスペンションメーカーに聞いた、ベースセッティングの考え方

【NITRON/イギリスのテクノロジーと日本の職人技が融合】サスペンションメーカーに聞いた、ベースセッティングの考え方

問/ナイトロンジャパン TEL048-884-9500
https://www.nitron.jp/

ユーザー個々に合わせたセッティングを施して出荷

ナイトロンはイギリスのサスペンションメーカー。だが、日本国内にデリバリーされる製品の組み立ては、全て日本のナイトロンジャパンで行われている。使用する部品は、全てイギリスのナイトロンから供給されるもの。なぜ、そうした変則的な製造工程を採用しているのだろう?ナイトロンジャパンの中木亮輔さんに、疑問を投げかけてみたところ、意外な所から種明かしが始まった。

「たとえば、ナイトロンのリアショックを装着された多くの方が、ソフトに感じてギャップを通過する時にスムーズだとコメントされます。疲れずに長距離を走れるようになったという声もあります。それはナイトロンのメリットではありますが、副次的な効果であり本来狙った性能ではありません」。

一体どういうことなのか?「ノーマルのサスペンションは、リアが高負荷設定の傾向があります。わかりやすい言葉でいうと〝リアが硬め〞。比較すると、フロントは〝柔らかめ〞になります。大柄なライダーや二人乗りを考えると、致し方ない部分なのですが、ハンドリングに悪影響を与える場合があります。

リアが硬くて動く量が少なく、フロントが大きく動いてしまうと、コーナリング時にステアリングの舵角が付きすぎて、オーバーステアの症状が出る可能性が高い。ナイトロンのリアショックは、ステアリングに自然な舵角がつくようにセッティングされています。ナイトロンのリアショックを装着したら、ハンドリングに着目して欲しいですね。自然な曲がり方をしますから」。

乗り心地の向上は、ハンドリング向上の副産物であるという。それは素晴らしいことだが、日本で組み上げる意義と、どうリンクするのか?

「サスペンションのセッティングは属人的なもので、最適解は個々のライダーで異なるというのが、ナイトロンの考え方です。ですから、ナイトロンのサスペンションは基本的にオーダーで製作されます。ユーザーがサスペンションに何を求めているかのデータをいただいて、それに合わせたセットアップを施して出荷しています」。

ナイトロンの注文時に記入するオーダーシートには、ライダーの体格や使い方、サスペンションの好みやライディングスキル等々……、事細かな項目が用意されている。その情報をもとに最適と思われる仕様を決定し、1本1本のサスペンションユニットが組み上げられる。そうしたカスタムメイドのオーダーシステムの実現には、日本国内で組み立てを行う他なかったということなのだ。

「ナイトロンのサスペンションには、個別のシリアルナンバーが刻印されています。各ユニットはシリアルナンバーで管理され、その全てに対応した個別のカルテを保管していますから、オーバーホールや仕様変更が行えます。サスペンションは、パーツを売って終わりではなく、サービスこそ重要だと考えています」。

ユーザー1人1人に合わせ、製作されるナイトロン。その上で、好みに合わせた調整も可能なように、アジャスト機構も充実。セットアップの相談にも対応してくれるという。サービスの全てが、ユーザーのメリットを考えてのものなのだ。

ナイトロンジャパン中木亮輔さん
宮城県出身。国際ライセンス所有。レ―シングライダーとして、全日本ロードレース選手権、全日本モタード選手権、鈴鹿8耐など多くのレースで活躍。ナイトロンジャパンでは開発ライダーを務め、現在はセールス担当。サスペンションのメカにも精通
NITORNはセッティング変更の容易さも特徴のひとつ。減衰力調整は、基本的に工具が不要の設計で、油圧式プリロードコントローラー搭載モデルなら、プリロード調整も工具不要だ
ナイトロンジャパンは、日本国内はもとよりアジア全域のハブとしても活動。明るく、整理整頓が行き届いたファクトリーでは、日々大量のサスペンションユニットが組み上げられ、日本とアジアの各地に送り出される。メンテナンスやワンオフ製作に対応するため、パーツの在庫は膨大だ

関連記事