バイク ヘルメットの種類やおすすめ、そして進化の歴史
ヘルメットの歴史はバイクとともに
バイクの歴史を紐解くと、その初期からライダーの頭部を守るヘルメットの存在を見ることができる。最初は革製の飛行帽や帽子をアレンジした簡易なモノであったが、後に紙を積層して成型し、外的衝撃から頭部を守るシェルを構築。
衝撃吸収性をさらに高めるため、シェルと頭部との間に衝撃吸収構造や素材を組み込む、近代ヘルメットの原型が形づくられていく。 当時のヘルメットにはハンモックと呼ばれるネットをシェル内部と頭部に隙間を開けることで衝撃を吸収しようとした。
お椀型ヘルメットの登場
当時のスタイルはお椀型と呼ばれる、耳から上の頭半分を保護し、そこから下は革製のカバーがつくというモノ。1920年代のレース写真を見るとすでにお椀型ヘルメットを確認できる。
日本におけるヘルメットの歴史は、1952年に始まる。それまで軍用ヘルメットや安全帽を手掛けていた現アライヘルメットが、オートレースのレーサー用にヘルメットを開発したのだ。そして63年には現SHOEIもMFJ公認のヘルメットを発売。ともにFRP製のオワン型を採用していた。
1960年代中頃に登場したジェット型ヘルメット。レースシーンではお椀型とフルフェイス型の中間に位置し、比較的短命だった。写真は1968 年ドゥカティを駆るポール・スマート。ゴーグル着用だが、後にシールドが主流となる
ヘルメットがレースから日常生活へ
それまでレース用アイテムとして知られていたヘルメットが日常生活でも浸透しはじめたのが、65年から段階的に導入されたバイク乗車時におけるヘルメット着用の義務化だ。
最初は高速道路で、次に最高速40km/hを超える一般道で、そして51㏄以上のバイクすべて、さらに原付を含むすべてのバイクへとヘルメットの着用義務が広がっていった。そして50年代後半にはライナーの衝撃吸収材として発泡スチロールが採用され、また60年代中頃には保護範囲を広げたジェット型、60年代後半にはフルフェイス型が市販化されていく。
80年代初頭には、シールド開閉機構を収めたシールドカバーや、インジェクション成型されたシールドを装着したフルフェイス型が登場。その数年後にはエアインテークが採用されるなど、最新ヘルメットにも共通するディテールが構築されていく。
飛躍的な進歩をとげた近年のヘルメット
ただ強靱にライダーの頭部を保護するのでは無く、シェルの素材を吟味し、またそれと組み合わせる内装を吟味してパッシブセーフティ領域を高めてきたヘルメット。近年では、その高い安全性能を維持したまま快適さや使いやすさを高め、アクティブセーフティ領域を格段に高めてきた。
このふたつのセーフティ領域を求めたことで、ヘルメットは飛躍的に進歩したのである。
最高速が飛躍的に伸びた近年のバイクレースにおいては、ライダーの負担を減らすため、ヘルメットそのものにも空力を求めエッジの効いたスタイルが登場。また強度と軽さを兼ね備えたカーボン素材のシェルも登場している
知っておきたいヘルメットの種類と特徴
ジェットヘルメット
頭から耳を覆うように頬までをカバーする形状で、アイウエアなどを合わせるのに最適。ハーレー乗りにとっては定番の形だ。
システムヘルメット
一見フルフェイスの形状ながら、アゴを保護するチンガードが持ち上がり、ジェットヘルメットのように顔の前がフリーになる。
フルフェイス
頭から顔まで頭部全体を覆う形のヘルメット。レース用からツーリング仕様まで、さまざまなデザインのものがある。
ヴィンテージスタイルフルフェイス
1960年代にロードレースで使用されていたような形のフルフェイス。ヴィンテージモデルに乗る人に人気が高いスタイル。
おすすめヘルメットその1「SHOEI X-Fourteen」
世界最高峰のロードレースで鍛え上げられてきたSHOEIのフルフェイスヘルメット、X‐シリーズから、「X-フォーティーン」をしたい。
特徴的なシルエットは、サーキット走行などでライダーがしっかり前傾した状態をベースポジションと設定して、その際にヘルメット前頭部から後頭部、さらにレザースーツ背面へ流れる走行風を、自社の大型風洞実験施設を活用して徹底的に解析して生み出された。極めて優れた空力特性はストリートにおいてもライダーの疲労軽減に大きく貢献する。
ベンチレーションは非常に充実しており、夏のロングツーリングでも効果を発揮。また部位によって厚みと曲率を変えたシールドは光学特性に優れており、自然でクリアな視界が広く確保できる。SHOEIが提案する最高峰モデルは、どんなバイクの楽しみ方にも最高のパフォーマンスでライダーを支えてくれるのだ。
おすすめヘルメットその2「AGV K-5S」
レース活動で技術を磨き続けてきたイタリアのAGVは、モトGPライダーの生きる伝説と呼ばれるヴァレンティーノ・ロッシ選手が愛用していることでも知られるヘルメットブランド。
このK‐5Sは上級モデル同様のカーボン製の帽体シェルを使用した超軽量モデルで、エアロダイナミクスを追求したスポーティなシルエットが特徴。さらに、ワンタッチで開閉できるインナーサンバイザーを搭載することで、ツーリング時の強い日差しの中での走行時に利便性を発揮する。
また、シールドの曇りを抑止するピンロック社製のアンチフォグシートを標準装備するほか、着脱式で洗濯が可能な内装はアジア向けのサイズ設計となっているため、適切なフィット感で着用することが可能。 AGV製品は日本の公道で着用するために必要なSG規格が未取得なモデルもあるなか、このK‐5SはSG規格を取得している貴重なモデルである。
チンガード中央部のレバーを操作すると、シールドがわずかに開き換気できる
おすすめヘルメットその3「Arai ASTRAL-X」
「ヘルメットは安心感を与え、バイクを楽しくさせるものでなければならない」。アライヘルメット代表の新井理夫さんが抱く理念は、同社製品のすべてに貫かれている。究極の次世代ツアラーと銘打たれたこのモデルも当然その理念を継承した高性能ヘルメット。
ツーリングにおける快適性を高めつつ、アライだからこそ可能な世界トップクラスの安全性を、さらに向上させているのである。 同社製品の安全性を確固たるものにする要素のひとつである“ R75”は、ヘルメットの表面を極力円滑にして、転倒時の衝撃を最小限にいなすための基準。
そのためアストラル‐Xでは、スネル規格のテストラインを目安にシールド取り付け部分を24mm下げ、側頭部の円滑部分を拡張しているという徹底ぶりだ。これに伴ってシールドシステムも新開発の「VAS」となり2軸構造を採用することで、開閉がスムーズになり、円滑部分も増加。究極の安全性を実現する。
蒸し暑い夏にうれしいQVRダクトは、3つの通気口により内部の熱気を排出。状況に合わせて3段階に調節できる
おすすめヘルメットその4「Kabuto AEROBLADE-V」
ヘルメットの軽量化は、ライダーに数多くのメリットをもたらす。頭部の自重+走行Gよる首や肩にかかる負担やストレスを軽減し、視界をブラさずに安定させる。街乗り、ツーリング、スポーツ走行、どんなシーンでもライダーが集中力を切らすことなく快適に走り続けることに繋がる。
こうした軽量化のメリットを最重要視し、さらにはこの軽さを効率よく活かすために、風洞実験や3次元数値流体解析(CFD)などにより、エアロダイナミクスに徹底してこだわっているヘルメットメーカーがカブトである。 エアロブレード5は前作よりも密閉性と静粛性を高め、3D形状で空力性能に優れたシールドシステムで快適な走行を実現する。
さらにカブトの特許システムである側面のウエイクスタビライザーによって帽体付近の気流をコントロールしてくれるのだ。走りに出かけるたびに首が疲れているライダーにお薦めだ。