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【OHLINS/誰もが憧れる金色の足まわり】サスペンションメーカーに聞いた、ベースセッティングの考え方

問/ラボ・カロッツェリア TEL03-5851-1853 https://ohlins-czj.jp/

世界を席巻するオーリンズその哲学の一端に触れる

モトGPをはじめ、世界のレースシーンで圧倒的なシェアを誇るオーリンズのサスペンション。レースだけでなく、一般ユースのカスタムパーツとしての支持も圧倒的。その理由は、とにかく〝良い〞としか言いようがない。

近年は、リプレイスパーツの枠を飛び出し、純正パーツとしての採用例も増えている。車両メーカーの要望に答えた仕様こそあるものの、構造や使用される部品はリプレイス品と基本的に共通。純正品と同等以上の耐久性まで確保されているというから驚かされる。レースレベルのスペシャルパーツは耐久性が度外視されがちだが、オーリンズ製品はそうした領域にはないのだ。全方位で高性能、高品質なオーリンズ製品は、どのように開発されているのか?話を聞いたのは、国内唯一の正規代理店として長年オーリンズ製品の日本国内へのデリバリーを手掛けてきたラボ・カロッツェリアの小畠勲さんだ。

「オーリンズは世界各地にブランチを持ち、それを繋ぐネットワークを有しています。開発は世界の様々な地域で、あらゆるシチュエーションを走らせて行っています。そうして収集したデータ解析し、各製品の仕様が決められています。開発には必ず実車での走行が伴いますから、時間がかかる。新車が発表になってから、対応するオーリンズ製品のリリースまで時間がかかるとのお声をいただくことがありますが、こればかりは待っていただくしかありません(笑)」

どの車種も、開発には一切手を抜かないのがオーリンズ流。では、走りの要となる、ベースセッティングについてはどう考えているのだろう。

「体格やスキルの異なる、多くのテストライダーが関わりますから、よほど特殊な条件でもなければ、出荷時のベースセッティングを基準にして、アジャスト機能の範囲で調整を施すことで、ライダー個々に合わせたサスペンションセッティングを実現できるはずです」

では、そのセッティングは、どこから手をつけるべきなのか?

「サスペンションはリアが決まらなければ始まりません。セッティング作業は、リアショックのスプリングプリロードから始めてください。ライダーは、1㎜プリロード量を変更しただけで、違いを感じ取ります。タイヤのグリップや衝撃などから得たエネルギーをスプリングが受け止める。減衰力調整はプリロード調整が終わった後に行ないます。セッティングはパーソナルなものですから、〝こう調整する〞というような指標を示すのは難しい。ですがひとつ言えることは、サスペンションが決まっていないバイクはパワーを活かせないということ。怖く感じるはずです。パワーバンドを使って気持ちよく走れたのなら、セッティングの方向性は正しいといえるでしょう。またオーリンズのベースセッティングは、ノーマルの車体と純正装着タイヤで作られますから、そこに手を加えた場合は、併せてセッティング変更を施すべきでしょう」

ちなみに、セッティングを行う時だけでなく、サスペンションのリプレイスを行う際にも、リアショックから先に手をつけるべきとのことなので参考にしたい。

オーリンズのカタログやwebサイトを見てみると、あることに気付く。高性能化を謳うワードが一切記されていないのだ。高性能サスペンションの代名詞的存在であるにもかかわらずだ。だが、その素晴らしさは衆目の認めるところ。誰が乗っても違いを感じる、完成したサスペンション。それがオーリンズ、選んで間違いのない逸品だ。

カロッツェリアジャパン小畠 勲さん神奈川県出身。2003年、カロッツェリアジャパンに入社。以来、一貫してセールス畑を歩んできた。オーリンズ製品はもとより、サスペンション全般に広い知見を持つ。大のバイク好きで、愛車はフルカスタムが施されたカワサキNinja ZX-12R
伸側と圧側の減衰力発生機構を、左右のフロントフォークに振り分けた「NIX」構造。今や珍しくないメカニズムだが、先駆けとなったのはオーリンズ。レースから生まれたアイデアだ
ダンパーの減衰力発生経路を、伸側/圧側でそれぞれ独立させ、安定した減衰力発生と緻密なセッティングを実現したリアショック「TTX」のアジャスター。銀色が伸側で、金色が圧側だ
圧倒的な速さを誇るDUCATIをはじめ、多くのMotoGPマシンがオーリンズのサスペンションを採用。世界最高峰のレースを舞台に開発された、数々の革新的な技術が市販パーツにもフィードバックされているのだ

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