ついにそろった! ドゥカティ・スクランブラー3兄弟
往年の名車スクランブラーも3サイズ存在した 2014年にドゥカティからスクランブラーという名のモデルが登場した。かつてシングルエンジン時代にアメリカ市場に向けて作られた同名モデルが持つ、オンオフ両用の見た目とアメリカ西海岸の若者が好みそうな自由な雰囲気を変わらずまとっていたそのモデルは、既存のドゥカティファン以外にも注目され、世界中で爆発的な人気を博したのだった。
2014年に「スクランブラー・アイコン(803cc)」、2016年に「スクランブラー・シックスティーツー(399cc)」が登場。アイコンをベースにした派生モデルも次々と生まれ、スクランブラーの勢いはどんどん増していった。
実は、かつてのスクランブラーは250、350、450という3つの異なる排気量で展開されていた。そのため現代のスクランブラーも「もう1サイズ、発表されるのでは」と巷の噂にはなっていた。そしてファンの予想は的中。2018年、ついに「スクランブラー1100(1079cc)」が発表されたのだ。
そもそもドゥカティとしてもこの3兄弟構想はスクランブラーを復活させたときには生まれており、ようやく実現したというわけだ。 長兄モデルのスクランブラー1100が発表されたとき、「気軽で乗りやすく、自由」なスクランブラーとは一線を画してしまうのではないか、リッターバイクとなったスクランブラーって……と、少々懐疑的な気持ちを持った人もいた。なぜならスクランブラーという存在は、そのミドルサイズ以下の排気量やそれに見合う車体サイズで、ベテランだけでなくドゥカティビギナーや女性にまでウケていたからだ。
カジュアル! しかもホット!
しかし、蓋を開けてみれば、その不安や疑問は不要であったことが分かった。排気量は確かに大きくなったものの、車体に関しては視覚的に大きく“見せている”部分も多く、身長160cmの筆者がまたがっても不安がないくらいに両足が着いた。すでに試乗した人たちからも、乗り出してしまえばさらに大きさは気にならず、太った空冷のトルク感が心地よいと好印象を得ている。これまでになかった足まわりの調整機構や、アクティブ/ジャーニー/シティという3つのライディングモードを装備し、これまで以上に成熟し、走る楽しさが増しているというのだ。
スクランブラー1100は、ただ単に過去の3兄弟と合わせるために登場したのではない。今を生きるライダーの走る悦び、要求に応えるべく、ドゥカティがスクランブラーというフィルターを通して提案した「新しい自由」がスクランブラー1100にあるのである。
(出典:『RIDERS CLUB 2018年9月号 No.533』) (ライダースクラブ編集部)]]>