-復活-青木琢磨『バイクは決してやめられない』元世界GPライダーが再びバイクへ
『モータースポーツの申し子』と呼ばれたその半生を振り返ってみよう。
バイクは決してやめられない
こうありたい自分──青木拓磨さんにとって、それはバイクに乗っていることだ バイクで負傷し、バイクに乗れなくなった それでも、やめられない 自分らしく自分でいるために。
スロットルを開けることは未来を手元に引き寄せること
雨降りの6月24日、袖ヶ浦フォレストレースウェイのピットに朗らかな笑い声が響いた。雨粒の大きさを感じさせないほど、空気は明るい。 これから起こるのは、そう特別なことじゃない。1台のバイクに、ひとりの男が乗って、数周する。それだけだ。サーキットで日常的に繰り返される当たり前の出来事である。
その男は、かつて世界グランプリライダーだった。輝かしいレース戦績を持つ男--青木拓磨さんだが、車椅子生活を余儀なくされている。
モータースポーツの申し子 青木拓磨の足跡 ハンディキャップがなくても、あっても青木拓磨の人生はレースと共にある
98年の世界GP開幕前にテスト走行で転倒し、下半身不随となった。以降、三輪のトライクなどに乗る機会はあったが、純粋にバイクと呼べる乗り物からはすっかり離れていた。 そして今、弟の治親さん、兄の宣篤さんを中心とした多くの人々のサポートを受け、拓磨さんはじっくりと時間をかけてセパレートの革ツナギを着て、CBR1000RR SPにまたがろうとしていた。